「梅崎春生全集」第2巻(1)
沖積舎「梅崎春生全集」第2巻(1984年・刊)より、1回めの紹介をする。
初期の戦記物を集めた第1巻の紹介は、先の5月4日の記事(←リンクしてある)、同・第1巻(6)で過ぎた。
この第2巻は、戦前の習作と、戦後の初期の風俗ものを集めたようである。
今回、僕が読んだ、「地図」、「風宴」、「微生」、「不動」の4編(発表年代順)は、いずれも梅崎春生が「桜島」で戦後文壇にデビューする以前、1943年までに同人誌等に発表された、今となっては習作と見做される作品である。
「地図」、「風宴」に見られる死のテーマ、「微生」に見られる戦時下の鬱屈、「不動」の怠惰など、後に繋がる心情があるようだ。
また風景・情景の描写の上手さ、わずらわしい心理の描写、なども後に繋がるものだろう。
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