「梅崎春生全集」第1巻(6)
沖積舎「梅崎春生全集」(全・8巻)の第1巻(1984年・刊)より、最終6回めの紹介をする。
同・(5)は、先の4月20日の記事(←リンクしてある)で、7編を紹介した。
今回に読んだのは、「眼鏡の話」、「上里班長」、「ある失踪」、「演習旅行」、「大夕焼」、「年齢」の、6編である。
戦闘の切迫感ではなく、配属中にメガネのレンズを失くした話、残飯をめぐる話、1兵の失踪帰還の話(逃亡となれば大事件だった)、規律の既に乱れかかった兵の小競り合いの話と、小事だが軍では大事件のストーリーが続く。
「大夕焼」は、配属中に因縁のあった島へ、18年経て旅する話である。「年齢」は敗戦直後、帰郷する列車の中で、歳若い元・上司に意趣返しをして嫌な思いをする話である。
戦闘行為が無かった、期間が短かった等、関わりが薄くても、戦争に受けた傷が深い兵はいただろう。
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