原子公平「浚渫船」
年刊句集「福井県」第54集を読みおえ、今年3月17日の記事(←リンクしてある)、石原八束「秋風琴」以来の、「現代俳句大系」(角川書店)第10巻(1972年・刊)に戻る。
今回、僕が読んだのは、原子公平「浚渫船」である。
原著は、1955年、風発行所・刊。
金子兜太の序、554句、細見綾子の跋、あとがきを収める。句の前半は、戦前の作品である。
原子公平(はらこ・こうへい、1919年~2004年)は、戦後、「社会性俳句を推進、論作ともに活躍する」(三省堂「現代俳句大事典」2005年・刊に拠る)。
以下に5句を引く。
四方(よも)の蟬鳴き出づる朝父死せり
根深汁すすり泣く喉(のど)痛みけり
月白の丘に煮炊きの火の手見ゆ
牡蠣飯も当座の気負いも母に享く
母と乗るロマンスカーや稲稔る
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