竹山広「葉桜の丘」
ながらみ書房「定本 竹山広全歌集」(2014年・刊)より、第2歌集「葉桜の丘」を読みおえる。
第1歌集「とこしへの川」は、先の5月25日の記事(←リンクしてある)で紹介した。
「葉桜の丘」は、1987年、雁書館・刊。357首。
彼はクリスチャンの家庭に生まれた。1941年(21歳)、結核病を発病、療養。
1945年、浦上第一病院に入院中、原爆被爆。1948年(28歳)、結婚。1978年、長女・ゆかり死去。
多くの悲惨を乗り越えられたのは、表には出していないが、信仰の力ゆえか、と思われる。短歌の徳も与っているだろう。
以下に7首を引く。
文字植うる眼(まなこ)いくたびおしぬぐひ鈴懸に鳴る風を仰ぎつ
ま夜中の冷蔵庫などさしのぞくいかなる闇をわたる若者
逝きし子も学びゐる子も杳かにて夜ごと夜ごとの闇くだる天
鼻ごゑを売りまくるこの若者をののしりたれば心ほどけつ
子に点す蠟燭の焔(ひ)をたわめたる扇風機の風われに戻りく
ひとの歌を崇めしばしば毒づきて夏もしんそこ食ふものうまし
核実験にあらがひ坐るわれらただみづからの背骨(はいこつ)を味方に
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