竹山広「眠つてよいか」
ながらみ書房「定本 竹山広全歌集」(2014年・刊)より、第9歌集「眠つてよいか」を読みおえる。
第8歌集「空の空」は、先の7月27日の記事(←リンクしてある)で紹介した。
「眠つてよいか」は、2008年、ながらみ書房・刊。347首。
「あとがき」には、「前歌集『空の空』を出してまもなく、脳に出血があり、さらに二ヶ月後、再出血という事態を招き、行動の自由を奪われてしまった。」と述べる。
家うちを歩く事は出来たが、ひとりでの外出は適わなかったようだ。
全歌集は、あと遺歌集「地の世」を残すのみである。
以下に7首を引く。
一年に一、二度むすぶネクタイを結びをり渡世円満のため
樹樹の葉を濡らすだけでも降らぬよりましよと雨の肩をもつ妻
三階のエレベーターが一階に降りきて三階に昇りくれたり
幹だけにされて旱天に突つたてり憤怒の棒のやうなる楓
死ぬときは死ぬとかならず言つてよと泣きゆきし妻しづかになりぬ
十五歩の廊下を十たび行き戻りして昼まへのリハビリ終る
診らるるはわがしわしわの躰にて大事なことはみな妻がきく
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