茨木のり子「見えない配達夫」
花神社「茨木のり子全詩集」(2013年・2刷)より、第2詩集「見えない配達夫」(1958年、飯塚書店・刊)を読みおえる。
第1詩集「対話」は、先の8月12日の記事(←リンクしてある)で紹介した。
「真夏の夜の夢」では、「その臭さ 醜さ/ああ いっそせいせいする/ホモ・サピエンスというものは/おしなべて同じ愚鈍の 飽きっぽい/忘れっぽい ぐうたらべえの種族なんだ」と、知識人による大衆蔑視を明らかにする。同編の日本の未来への希望も、進歩的詩人の力では、どうにもならなかった。
「わたしが一番きれいだったとき」は、美しい1編だ。長生きに未来を託すのは、少し変だけれど。
「怒るときと許すとき」は、結婚した女性の愛情と悲しみと決意を描いている。現今の女性首長、国家元首の時代を先取りしたようだ。
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