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2008年12月 9日 (火)

丹波真人・歌集「花顔」

003  丹波真人(たんば・まさんど)氏が下さった第3歌集「花顔」(2003年、不識書院・刊)を読みおえる。

 装丁は上品で、1ページ2首など、贅沢な作りの本である。

 「棧橋」96号の近江八幡批評会のおり、1泊めに同室となり、親しく語り合ったご縁で、お約束どおり歌集を送って下さったのである。

 美しいものに憧れる繊細な心が、社会との軋轢もありながら短歌を詠み出だすとき、鮮やかな自然詠や深い生活詠が生まれる。

 付箋をつけた作品より、以下に4首を引く。

風なくてたまさかに散る紅き葉のいちまいとどめ揺るる蜘蛛の巣

したがへて共に歩めるわれの影塀にちかづきつと立ち上がる

やまばとの優しく啼くを朝床に刻かけて聴く職やめし身は

口あけて夜も覚めずに臥す猫よけものといへど深む老いざま

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