丹波真人・歌集「花顔」
丹波真人(たんば・まさんど)氏が下さった第3歌集「花顔」(2003年、不識書院・刊)を読みおえる。
装丁は上品で、1ページ2首など、贅沢な作りの本である。
「棧橋」96号の近江八幡批評会のおり、1泊めに同室となり、親しく語り合ったご縁で、お約束どおり歌集を送って下さったのである。
美しいものに憧れる繊細な心が、社会との軋轢もありながら短歌を詠み出だすとき、鮮やかな自然詠や深い生活詠が生まれる。
付箋をつけた作品より、以下に4首を引く。
風なくてたまさかに散る紅き葉のいちまいとどめ揺るる蜘蛛の巣
したがへて共に歩めるわれの影塀にちかづきつと立ち上がる
やまばとの優しく啼くを朝床に刻かけて聴く職やめし身は
口あけて夜も覚めずに臥す猫よけものといへど深む老いざま
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