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2009年8月28日 (金)

村山美惠子「有涯」

003  村山美惠子さんの歌集「有涯」を読みおえる。

 平成17年、短歌研究社・刊。

 著者は、昭和11年生、大阪府・在住、結社誌「水甕」選者。

 この本は、彼女の「溯洄」「漂寓」「惜秋」に続く、第4歌集である。

 彼女の歌の特色は、良家の婦人らしい、おっとりしたところにあるのだろう。

 僕の立場(百姓の次男、現場労働者)からすると、反発する面もあるのだけれど。

 以下に、付箋を貼った6首を引く。

東京のほこりの匂ひ頭に満てり髪洗はむと湯に浸すとき

大丈夫走らないでと言はれつつ車の間を縫ひ渡りゆく(中国旅行詠より)

屋根を打ち樹を打ちわれの心打つ落ちつつ雨は弱音を吐かず

檸檬握り載せ場を捜すどの部屋も崩れむばかり山をなす本

無事帰国せりてふメール散歩より戻り来れるごとくに穏し

置き捨ての椅子の人形に亡き夫の嵌めてやりにしままの腕時計

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