関川夏央「現代短歌そのこころみ」
集英社文庫、2008年・刊。
この本が「アマゾン」より届いた、9月4日に、このブログで紹介している。
著者は評論家で、歌人ではない。歌壇以外からの批評も、時に有効だろう。
歌誌「短歌研究」(編集者・中井英夫)の「50首詠」募集で、中城ふみ子と寺山修司が登場する「1954年の衝撃」から説き始め、「短歌パラダイス」「新聞歌壇」に触れつつ、歌人としては穂村弘に至る。
論調は物語風で、情動的に説得力がある。
個人的基軸がやや保守的のようで、それは意識して読まねばならない。
また紙幅などの制限とは言え、岡井隆、塚本邦雄を取り上げていないことは、ものたりない。
小章「未完の歌人たち」の末尾の、次の1文が痛かった。
「歌われた歌と歌った歌人の人生について思いをいたすとき、短歌とは残酷な文学であると思わないではない。」
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