詩誌「野行き」vol.3
福井市在住の詩人、A幸代さんが、個人詩誌「野行き」vol.3を送って下さった。
平成24年2月・刊。
初めより順に、「あじさい」「月夜」「じゃまもの」「釣り」「音」の、5編を載せる。
穏やかな心境、レトリックは進み、知的好奇心が生きているなど、彼女は秀でた境地にいるようだ。
亡き父を思い遣る「釣り」にも惹かれるが、今回は以下の「月夜」全編を引用する。なお、作者のご了解は得てある。
月夜A幸代
冬の夜一人で家路を急いでいた
糺の森の中を通るのが
いつもの帰り道
ふと足もとを見ると葉を落とした木々の枝が
網目状に影を広げている
皓皓とした月夜だ
その中を歩いていた
月と木と自分とがつながる深い夜に包まれて
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