小川洋子「シュガータイム」
先の4月23日のブログで購入を報告した2冊のうち、昨日に紹介した「歌壇」5月号に続き、小川洋子の小説「シュガータイム」を読みおえる。
中公文庫、2011年15刷。
大量の食事を欲求する大学生・私(過食症とはされず、太りもしない)が主人公である。
彼女と「吉田さん」はカップルであり、共寝はするけれども性関係はもたない、交際を続けていた。
その「吉田さん」が、彼の友人の精神科医に頼まれて、対話療法のパートナーとなった女性患者と接している内に、「僕たちは互いに含まれあっているのです」(別れの手紙より)という惹かれ方をし、その女性とソ連へ留学すると告げ、「わたし」は別離してしまう。
背丈の伸びない病気の弟・航平、友人の真由子を配し、彼女たち4年生の秋、彼女たちの大学の野球部リーグ戦最終戦を観覧し、別離の傷と過食からの解放を描いてフィナーレとなる。
あとがきで著者の書く「わたしがどうしても残しておきたいと願う何か」は、簡略化するのは失礼かも知れないが、「男女には性関係を越えた愛がある」という事だろうか。
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