中村汀女「汀女句集」
角川書店「増補 現代俳句大系」第5巻(昭和56年・刊)より、8番めの句集、中村汀女「汀女句集」を読みおえる。
原著は、昭和19年、甲鳥書林・刊。
高浜虚子の書簡文序、星野立子の序、1125句、あとがき、を収める。
彼女の第2句集だが、第1句集「春雪」の作品もすべて収録した。
転勤族の夫に付いて各地を回り、子供たちを育て、戦時下にありながら、豊かな俳句を創り続け得たのは、生活が苦しくなかった丈ではなく、彼女の聡明さと優しさに由るのだろう。
以下に5句を引く。
夜の客に手探りに葱引いて来し
秋風にある噴水のたふれぐせ
横浜に住みなれ夜ごと夜霧かな
振りかへり消ゆる土筆もありにけり
(直前の2句と合わせ、反戦句か?)
寒鮒が売れ新宿の灯の早し
プロの構図である。
コメント