鈴江幸太郎「柘榴の家」
「鈴江幸太郎全歌集」(初音書房、1981年・刊)より、4番めの歌集、「柘榴の家」を読みおえる。
今年4月6日の記事(←リンクしてあり)で紹介した、「白夜」に継ぐ歌集である。
原著は、1951年、高槻発行所・刊。420首。
末子を得て、また療養園の歌会に参加するなど、人間味のある作品を読むことができる。
以下に7首を引く。
戦(たたかひ)に子を失ひ窯(かま)を家を焼きくるしみて更に成りし工房
鳥が音のごとき短きみどり子のこゑに立ちゆく幾度(いくたび)となく
わが腕に眠りゆく子の笑ふとも見ゆればこゑに出でし嘆きか
工場とも事務とも孤立せる室にサイレンが鳴ればひとり晝餉す
瀬の音はさみしき音かひとりのみ酔ひて眠らむときにひびきて
怒りつつかくしづかなる我の言葉おのれ寂しむ齢(よはひ)となりぬ
杉山の空澄みあかり川原の温泉(いでゆ)にをれば月ものぼらむ
本文と無関係。
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