小池光「廃駅」
砂子屋書房の現代短歌文庫「小池光歌集」より、第2歌集「廃駅」全編を読みおえる。
今月13日の記事(←リンクしてある)で紹介した「バルサの翼」全編、歌論4編、解説2編と共に収められている。
原著は、1982年、沖積舎・刊。1978年~1981年の作品を収める。
この歌集も、先の「バルサの翼」と同じく、逆年順編集である。不自然だし、僕は反対する。
読み進めると下手になるとは言わないが、明らかに完成度が下がってくる。作品が盛り下がるようで、読み進めるモチベーションが下がる。
以下に5首を引く。
北欧の白木の卓はかがよひて汗、涎、なみだのたぐひを弾く
元旦やひのまるといふ降伏の旗掲げつつ家いへしづか
人間(じんかん)に溺るる日日に水は立つただパスカルの定理にそひて
人体を皮膚つつみ閉ぢくちびるの紅花(こうか)うるほふゆふまぐれ来つ
水辺に夏しのび来て真夜中のなぐさめにさらふ力学あはれ
コメント