広部英一「わが山 ふくいの詩」
思潮社「広部英一全詩集」(2013年10月・刊)より、4番めの詩集「わが山 ふくいの詩」を読みおえる。
先月26日の記事(←リンクしてある)で紹介した、「邂逅」に続く詩集である。
原著は、1982年、福井新聞社・刊。ソネット20編を収める。
広部さんのこの詩集は、山岳エッセイストの増永迪男さんとの対談、増永さんのエッセイ、詩編に付した「ノートから」、7氏による散文「集音マイク」、と共に収載されて(初出は福井新聞)上梓されたためか、あまり注目を集めていないようだが、僕はとても優れた詩集だと思う。
対談の中で広部さんは、「最近は、その見えないものが、つまり死者の魂が僕には見えるわけですね。」「『母』と書いていますが、僕にとって『母』はかけがいのない人間の魂の象徴となって来ました。」等、創造の秘密を明かしている。
また各編に付された「ノートから」では、着想を得た場面などを明かしている。
詩想の純粋さ、表現の高度において、この詩集は優れている。ソネットという詩型によって、作品が引きしめられてもいるのだろう。
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