上野泰「佐介」
角川書店「増補 現代俳句大系」第8巻(1981年・刊)より、8番めの句集、上野泰の第1句集、「佐介」を読みおえる。
先月23日の記事(←リンクしてある)で紹介した、前田普羅「能登蒼し」に継ぐ句集である。
原著は、1950年、書林新甲鳥・刊。1946年~1950年の、326句を収める。
著者は、従軍の経験もあるが、戦後に俳句と本格的に取り組んだ。口語調、比喩の多用、題材の選び方などに、戦後の自由さを感じる。
なお題名の「佐介」は、当時住んでいた、地名との事。
以下に5句を引く。
春著きて孔雀の如きお辞儀かな
緑陰の大きな下の靴磨き
黒揚羽花を蔽ひてとまりけり
巌石の如き冬雲日をかくし
春の野ののつかつてをる籬かな
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