ウェルギリウス「田園詩」
平凡社「世界名詩集大成(1) 古代・中世」(1960年・刊)より、ウェルギリウス「田園詩」を読みおえる。
この本では、今月6日の記事、カトゥルス「詩集(抄)」に続く、詩集である。
ウェルギリウス(紀元前70年~19年)の「田園詩」全10歌のうち、この本では第1歌、第4歌、第7歌、第10歌の、4歌が翻訳されている。
解説によると、ウェルギリウスはオクタヴィアヌスの力で土地没収を免れ、「田園詩」第1歌の内容もそれを表わしているという。
また彼の畢生の大作「アエネイス」も、カエサル(シーザー)やオクタヴィアヌスを讃える意図だったそうだ。
僕は解説で、幻滅してしまった。思想や芸術が反権力性を失くしたら終りだ。
筑摩書房「世界古典文学全集」第21巻「ウェルギリウス ルクレティウス」(1965年・刊)を所蔵し、「アエネイス」を読む時を楽しみにし、集英社「20世紀の文学 世界文学全集」第7巻(1966年・刊)で、ヘルマン・ブロッホの長編小説「ウェルギリウスの死」を読む時を楽しみにしていたのに、かの古代ローマ詩人への憧れが失せてしまった。
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