杉山岳陽「晩婚」
角川書店「増補 現代俳句大系」第9巻(1981年・刊)より、10番めの句集、杉山岳陽「晩婚」を読みおえる。
先の1月17日の記事(←リンクしてある)、加藤知世子「冬萠」に継ぐ。
原著は、1953年、竹頭社・刊。1949年~1952年の、327句を収める。
杉山岳陽(すぎやま・がくよう、1914年~1995年)は、戦災で財一切を失くし、翌年には両親を亡くした。
石田波郷の勧めで上京した頃の「流離」、当時は晩婚の37歳で妻を得、長男を得た喜びを吟じた「櫟かげ」の2章を立てる。
レトリックはありながら、正直な句である。戦前・戦後を通して大家、という俳人より余程良い。
以下に5句を引く。
野火遠し膝折牛のやがて立つ
妻を得て秋風をきく泪かな
晩菊のかなしく妻を擁きけり
風たちて身重の妻の銀河さす
秋風のけふよりわれに妻子あり
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