上村占魚「かのえさる」
沖積舎「上村占魚全句集」(1991年・刊)より、第9句集「かのえさる」を読みおえる。
今年6月26日の記事(←リンクしてある)、「天上の宴」に継ぐ。
原著は、1984年、舷燈社・刊。606句。
題名は、還暦を迎えたので、その干支より。
戦後の「第二芸術論」等に対し、社会性俳句、根源俳句、前衛俳句等の潮が大きかった時代に、彼は写生徹底を貫いた。
以下に5句を引く。毎年1句、春夏秋冬新年の1句を、選んだ積りである。
そだちよき海雲(もづく)に海の色かはる
瑠璃鶲空のふかみへきざみ鳴く
浮き沈む毱藻(まりも)にも秋ふかみつつ
飲みかけの湯呑の中の冬日かな
皺ふかき梅干(うめぼし)沈む福茶かな
「フリー素材タウン」より、蓮の花の1枚。
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