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2015年12月 8日 (火)

近藤芳美「営為」

 岩波書店「近藤芳美集」第4巻(2000年・刊)より、3番めの第16歌集「営為」を読みおえる。

 先の11月25日の記事(←リンクしてある)にアップした、「磔刑」に継ぐ。

 原著は、1990年、六法出版社・刊。551首。

 国内の旅、外国(トルコ等、中国、イタリア)への旅の歌に挟まれて、日常の歌があるようだ。

 晦渋な詠みぶりも、推敲を重ねての作品と言われる。

 以下に7首を引く。

ヒッタイト廃墟の岩の塁をたどるひとつひかりと風と曝るるかた

砂嵐ときなく地平にめぐるまを塩湖のたたえ蒼く氷(ひ)のごと

痛々しき病苦ののちの死のねむり君をめぐりて時のひそかなる

小さき劇ありて雨過ぐる街帰る今日生きてゆく若者を見て

明けにかけむ踊りのむれに妻も入る郡上の盆の軒濡れながら

よろこびに満ちたる笑みはこの世のもの莫高窟の闇に浮かびて

アッシジを目指す道にして遭う雷雨空裂く稲妻はオリーブの野に

Photoフリー素材サイト「足成」より、山茶花の1枚。

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