先日(2010年8月29日)、小説家の三浦哲郎が逝いた。享年79.
僕が初めて読んだ三浦哲郎の小説は、芥川賞受賞作の「忍ぶ川」(新潮文庫)だった。
そのあと、それ以前の短編を集めた文庫本も読んだ。
エッセイ風の本も含め、文庫本ばかり、10冊以上を読んだ筈だ。
しかし「夜の哀しみ」(新潮文庫・上下)で躓いてしまって、「百日紅の咲かない夏」(同)も買ったまま開いていない。
ただしその後にも出た短編小説集「短編集モザイク」シリーズ、3冊は読んだ。
一族の宿命を描く小説を大成した長編「白夜を旅する人々」など迫力があったが、その短編小説は絶品の味わいがあった。
もっと活躍を続けてほしい小説家だった。
午前中に「KaBos新二の宮店」へ行き、「歌壇」2010-9月号と、バルザック「ゴプセック 毬打つ猫の店」(岩波文庫)を買う。
「歌壇」の特集は、「短歌と酒の関係」と「追悼 加藤克己」である。
バルザックの小説は好きなほうで、これまでに数作を読んでいる。
昨日の記事の自己コメントにあるように、F県立図書館などのホームページを「お気に入り」に入れたので、その記事より、「高見順展」を観に行く。
左の写真はポスターの1部、右の写真は自筆詩稿ノートである。この他に、古い単行本なども展示されていた。
彼の全集は持っていないが、「高見順文学全集」6冊揃(講談社、昭和39~40年)を、「古書センター」で買った。今はどこに在るか、わからない。
高校文芸部員時代に、1年先輩の荒川洋治さん(高見順と同じ、現・坂井市三国町の出身)の案内で、高見順の生家と墓地のお墓を、彼を含めて4人で巡っており、その時の写真5枚(モノクロ)が残っている。台紙には、「昭和41年7月28日」と記されている。
また東尋坊遊歩道に、高見順の詩碑(川端康成・筆)が建立された時にも、式典と記念講演会に、仲間と参加した。
彼の本はあまり読んでいなくて、「死の淵より」を含む詩集と、中篇小説を1つ、読んだきりである。
午後に妻の車、妻の運転で、「福井市橘曙覧記念文学館」へ行く。
市内の足羽山の麓にこじんまりと建つのだけれど、僕は初めてだった。
橘曙覧(たちばな・あけみ)は、江戸時代末期の歌人で、正岡子規が称揚し、またアメリカのクリントン大統領がスピーチで(天皇を招いた宴での)引用し、おおいに盛り上がった(少なくとも福井県では)人物である。
歌業のなかでも、「独楽吟」連作が知られる。
館内の、住まい「藁屋」を1部復元したコーナーでは、縁下から生い出た竹をそのまま伸ばしたエピソードも表わされている。
「図書閲覧室」では、「橘曙覧全集」など、僕も所有している本も、少しあった。
展示室には、橘曙覧、親交のあった領主・松平春嶽の、真蹟が幾つかあった。
福井の橘曙覧・研究家、久米田裕(くめだ・ゆたか)さんの業績を紹介するコーナーもあって、彼の校注した全歌集から入った僕には、親しかった。
向かいにある「福井市愛宕坂茶道美術館」にも寄る。
写真は、双方の栞である。
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