カテゴリ「タブレット本」の36件の記事 Feed

2015年12月 5日 (土)

角川「短歌」12月号・Kindle版、読了

Photo 角川「短歌」2015年12月号・Kindle版を、おおよそ読みおえる。

 購入は、先月11月26日の記事(←リンクしてある)でアップした。

 特集「平和のうた」の中の「レポート・緊急シンポジウム 現代の危機に抵抗する短歌」は、重要なレポートである。「言葉の危機」の時代として、講演、提言、鼎談がなされた。書籍化、せめて冊子化されないものか。

 また角川短歌賞受賞・第1作の、鈴木加成太「夢の花火」30首では、「すぐ次を欲しがるもっと華やかでうつくしいひかりの玉砕を」など、時代の危機が心の危機として現れている。

 なお来年1月号より、僕は本阿弥書店「歌壇」に戻る積もりだ。角川「短歌」に現在の最高の短歌がある訳ではなく、最適な特集がある訳でもない、とわずか4ヶ月の期間だったが、そう思えるからだ。

2015年11月30日 (月)

若山牧水「砂丘」

 Kindle本「若山牧水大全」より、第8歌集「砂丘」を、タブレットで読みおえる。

 今月21日の記事(←リンクしてある)、「秋風の歌」に継ぐ。

 原著は、1915年(大正4年)、博信堂書房・刊。248首。

 経済的にはともかく、精神的には(短歌上では)落ち着いた時期であったらしい。自序の末で牧水は「このままで今少し澄み入った作歌の三昧境に進みたいものである。」と述べている。

 以下に7首を引く。

蜩なき杜鵑なき夕山の木がくれ行けばそよぐ葉もなし

尾長鳥その尾はながく羽根ちさく真白く昼をとべるなりけり

いしたたきちさきめうとの頬を寄せて啼くよ浅瀬の白石のうへに

飽かずしも酌めるものかなみじか夜を眠ることすらなほ惜みつつ

植物園のかれくさ原に居る鶫をりをり動き遠くとばなく

秋の夜のほのつめたさにいざなはれ友恋しさは火のごとく燃ゆ

ひそひそと山に分け入りおのづから高きに出でぬ悲しや春日

Photoフリー素材サイト「Pixabay」より、オレンジの1枚。

2015年11月26日 (木)

角川「短歌」12月号・Kindle版

Photo Amazonより、角川「短歌」2015年12月号・Kindle版を、発売日の昨日(11月25日)に購入して、パソコンにダウンロードし、タブレットに同期した。

 同・11月号の購入・ダウンロードは、先の10月30日の記事(←リンクしてある)にアップした。

 特集の「平和のうた」では、表紙には書いてないが、「レポート・緊急シンポジウム 現代の危機に抵抗する短歌」がある。

 先の角川短歌賞受賞・第1作として、鈴木加成太さんの「夢の花火」30首も期待される。

 「特別付録・全国短歌結社マップ」は、紙本のみの付録らしい。書籍の電子化という、世の流れに逆らっているようだ。

2015年11月21日 (土)

若山牧水「秋風の歌」

 Kindle本「若山牧水大全」より、第7歌集「秋風の歌」を、タブレットで読みおえる。

 今月13日の記事(←リンクしてある)、「みなかみ」に継ぐ。

 原著は、1914年(大正3年)、新声社・刊。377首。

 短歌新聞社・版「若山牧水全歌集」を、参考しているけれど、A5判1ページに20首詰め込んであるので読みにくい。10インチタブレットでは、横長1面に7首~9首と、読みやすい。画面を拡大するのではなく、字の大きさを調整できるので、僕は字をやや大きくして読んでいる。

 自序で牧水は、「単に生命の表現または陰影であるといふより、われとわが生命を批評して居る如き傾向を生じてきたと思ふ。」と述べている。

 以下に7首を引く。

或時は寝入らむとする乳吞児の眼ひき鼻ひきたはむれあそぶ

七月のあさくさの昼いとまばらにひとが歩めりわれがあゆめり

音に澄みて時計の針のうごくなり窓をつつめる秋のみどり葉

くだものの皮を離れぬ秋の蜂ちさきをみつつ涙ぐみける

くつきりと秋のダリアの咲きたるに倦める心は怯えむとする

青き幹かの枝を切れかの葉を裂け真はだかにして冬に入らしめ

われと身を噛むが如くにひしひしと春のさびしき土ふみ歩む

Photo_2フリー素材サイト「Pixabay」より、林檎の1枚。

2015年11月15日 (日)

Kindle版「立原道造詩集」再読

 先の10月14日の記事(←リンクしてある)の通り、Kindle版「立原道造詩集」を読みおえ、そのままタブレットに残して、先日に再読了した。

 10インチのタブレットの横長1面に1編のソネットが収まるので、読みやすく、味わいやすい。

 僕の好きな1連は、「午後に」の初連であり、以下に引用する。

ある日 悲哀が私をうたはせ

否定が 私を酔はせたときに

すべてはとほくに 美しい

色あひをして 見えてゐた

 彼は「夢見たものは……」の初め2行で、「夢見たものは ひとつの幸福/ねがつたものは ひとつの愛」と素直にうたっており、24歳の短い生涯で、それらは得られたのだろうか。

 これからもこの本を読み続けて、ここで報告したい。

Photoフリー素材サイト「Pixabay」より、林檎の1枚。

2015年11月13日 (金)

若山牧水「みなかみ」

 Kindle本「若山牧水大全」より、第6歌集「みなかみ」を、タブレットで読みおえる。

 今月3日の記事(←リンクしてある)で紹介した、「死か芸術か」に継ぐ。

 原著は、1913年(大正2年)、籾山書店・刊。506首。

 牧水は父親重体の報を得て帰郷し、やがて父が亡くなる。1家でただ独りの男子の牧水に、1家の生活がかかるが牧水に方策はなく、苦悶懊悩の中に成された作品である。

 作品は、破調というより乱調の歌がほとんどで、定型の歌を見つけるのが難しいくらいである。その定型の歌より、以下に6首を引く。

草山に膝をいだきつまんまろに真赤き秋の夕日をぞ見る

父よなど坐るとすればうとうとと薄きねむりに耽りたまふぞ

おお、夜の瀬の鳴ることよおもひでのはたととだえてさびしき耳に

やうやくに馬の跫音のきこえきぬ悲しき夜も明けむとすらし

斯くばかり明るき光さす窓になにとて悔をのみ思ふらむ

酒の後、指にあぶらの出でてきぬ、こよひひとしほ匂へ朱欒よ

Photoフリー素材サイト「Pixabay」より、林檎の1枚。

2015年11月 5日 (木)

角川「短歌」11月号・Kindle版

Kindle 角川「短歌」2015年11月号・Kindle版を、おおよそ読みおえる。

 巻頭作品31首では、尾崎左永子、岡井隆、2氏に信頼を寄せている。

 期待の「第61回 角川短歌賞 発表」は、清新な50首だった。阪大短歌会に属し、就職活動中の様子を描いている。

 ただし優れた50首を挙げているけれども、「新しい才能の出現!」という感じではなかった。寺山修司や中城ふみ子(古いね)みたいな天才が、毎年現れていたら、歌壇は天才歌人で溢れかえっていただろう。

 「選考座談会」の記事が、勉強になった。ただし副題に「他者と向かい合う歌」とある(若手歌人に向けた言葉だろう)けれども、仕事を辞して籠もりがちな僕には、籠もる秀歌もあるだろう、という気持ちになる。

2015年11月 3日 (火)

若山牧水「死か芸術か」

 Kindle本「若山牧水大全」の全歌集編より、第5歌集「死か芸術か」をタブレットで読みおえる。

 原著は、1912年(大正元年)、東雲堂書店・刊。388首。

 先の10月24日の記事(←リンクしてある)で紹介した、「路上」に継ぐ。

 僕なら、「死か生か」「芸術か生活か」の対立項を考えるが、牧水は命懸けで芸術に向かうよりなかったのだろう。

 砒素を秘め持ち、行くでもない帰るでもない漂泊の旅のうち、死ぬ気も失せたようだ。

 以下に7首を引く

蒼ざめし額つめたく濡れわたり月夜の夏の街を我が行く

秋の入日、猿が笑へばわれ笑ふ、となりの知らぬ人もわらへる

かなしくも我を忘れてよろこぶや見よ野分こそ樹に流れたれ

あをあをと海のかたへにうねる浪、岬の森をわが独り過ぐ

友よいざ袂わかたむあはれ見よ行かでやむべきこのさびしさか

帰らむと木かげ出づれば、となりの樹、かなしや藤の咲きさがりたる

曇り日やきらりきらりと櫓の光りわがをち方を漕ぎゆく小舟

Photo_2フリー素材サイト「Pixabay」より、林檎の1枚。

2015年10月30日 (金)

角川「短歌」11月号・Kindle版

Kindle Amazonより、角川「短歌」2015年11月号・Kindle版を、10月26日に(発売は25日。今月は日曜日に当たるので、どうだったか)、Kindle for PCで購入・ダウンロードし、タブレットに同期した。

 価格が、670円より723円に値上がりしている。「角川短歌賞 発表」の増ページに拠るかと思ったが、旧・10月号も724円に値上げされている。ほぼ8%なので、今更だが消費税分という事か。

 初めから読み始めているので、まだ読んでいないのだが、「第61回 角川短歌賞 発表」が楽しみで、大いに期待している。

 電子雑誌の場合、ある部分を飛ばして読み、あとで戻る、という読み方が難しい。もちろん目次ページがあるので、そこから読みたいページへ飛べるのだけれども。メモを残す必要があるかも知れない、初心者の僕の場合は。

2015年10月24日 (土)

若山牧水「路上」

 AmazonのKindle本「若山牧水大全」より、第4歌集「路上」を、10インチ・タブレットで読みおえる。

 今月8日の記事(←リンクしてある)、「別離」に継ぐ。

 原著は、1911年(明治44年)、博信堂書房・刊。483首。

 牧水は、歌集「別離」の名声、編集する「創作」の隆盛、の中で、恋愛・健康・創作等に苦悩した時期という。旅の歌が多く、苦悩を表わす歌も収める。

 以下に7首を引く。

海底に眼のなき魚の棲むといふ眼のなき魚の恋しかりけり

手を触れむことも恐ろしわがいのち光うしなひ生を貪る

摘草のにほひ残れるゆびさきをあらひて居れば野に月の出づ

ゆふぐれの河にむかへばすさみたるわれのいのちのいちじろきかな

衰ふる夏のあはれとなげやりのこころのすゑと相対ふかな

かたはらに秋ぐさの花かたるらくほろびしものはなつかしきかな

山かげの小川の岸にのがれ来てさびしやひとり石投げあそぶ

Photo「フリー素材タウン」よりの、大菊の1枚をトリミングして。

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