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小島なおさんの歌集「乱反射」を読みおえる。作風は「柔よく剛を制す」の今の世をよく表している。第50回「角川短歌賞」受賞、「コスモス」誌へいきなりの6首デビュー、そして角川書店より第一歌集出版と、幸福な出発をした彼女へ、僕もエールを送る。
恩田静さんの第二歌集「風のゆくえ」(平成17年 短歌新聞社刊)を読みおえる。彼女は1920年生まれ、「湖笛」「未来」所属の歌人。古典文法、新かな遣い。言葉の運び方に独特なものがある。地味な歌を地道に詠いつづけ来て、一つ境地に達していることは尊い。
新潮社「世界詩人全集」第5巻「プーシキン レールモントフ マヤコフスキー 詩集」を読みおえた。貴族的な構えから悩み苦しみを訴えるプーシキン、レールモントフよりも、作品上では陽気に振舞って最後には自殺してしまったマヤコフスキーが、僕には親しい。プーシキンの叙事詩「パフチサライの泉」は興深かった。やはり載っている作品の量が少ない。
「現代俳句選集Ⅵー4」田口省悟・句集「露しぐれ」(牧羊社・刊)を読みおえた。彼は「風樹」という句誌に属している。その結社のモットーが「生きる証し」「一期一会」である。「生きる証し」は「コスモス短歌会」のモットー「生の証明」とほぼ同じであり、また「一期一会」もわたしの好きな言葉である(たとえばネット上で碁を打つときに、そのようでありたいと願っている)。良質な句集に出会えた思いである。
このシリーズの句集が「BOOK OFF」に安く出ていたので、十数冊を買い求めた。短歌を読むことに倦んだ時に取り出して読んでおり、刺戟を受けている。
歌誌「棧橋」№91を読みおえた。巻頭、福士りかさんの96首詠「かうふく」の量と質に圧倒される。三木裕子さんの24首詠「連休の鬱」に惹かれるものがあった。僕はまだ歌の素材に惹かれる域にいるようだ。
アメリカフヨウ(宿根草)の白花が咲いた。かなりの大輪であるが、あまり芸はない。名前の由来は、僕にはわからない。
綜合歌誌「歌壇」2007-8月号を読みおえた。「コスモス」の歌人では、木畑紀子さんが短歌作品「曙光」12首を、松尾祥子さんが「作品評 6月号 『近くを見る眼、遠くを見る眼』」(4ページ)を載せている。藤井常世さんの連載エッセイ「猫のいる風景」が軽妙である。
内田百閒「冥途・旅順入城式」(岩波文庫)を読みおえた。「冥途」「旅順入城式」二つの短篇集を収めた本である。夢譚ばかりで、当初から師・夏目漱石の「夢十夜」の影響が言われていたようだが、異質の作品である。近代性という点では、師に及ばない。
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