サスケの本棚

　写真集「皐月盆栽」を見おえる。昭和４９年、日本さつき文化振興会・刊。Ａ４判、３１２ページ、箱入り。

　以前に紹介した「皐月銘木」正続よりも、きれいな花のたくさん咲いている写真が多い。

　皐月盆栽は１つの背理を有している。大きな花がたくさん咲くと、重要である樹姿が隠れてしまうのだから。

　ピンクの木瓜の花が咲いた。庭に木瓜の株は最多で１２種類あったが、２、３種類は失せたようだ。

　黄色の花の木は、種類がわからない。もともと庭木で、花を観賞するものではないが、黄の房花がおもしろい。

　白木蓮が咲きはじめている。下枝を少し切ってある。花が雨などで傷みやすいので、早めに写真を撮った。

　赤い花は椿「さつま紅」である。形が整っていて色鮮やかなので、素人受けするようだ。

　職場の花壇でも花が咲きはじめている。

　写真は、ミニ水仙（別名を聞いた気がする）、ヒヤシンス、黄花のラッパ水仙、の順である。この前にクロッカスが咲いたが、写真を撮り損ねた。

　この花壇は、荒れ地だった一画を、女性職員Ｍさんが整地し、苗、球根、苗木を植え育てて、花を咲かせているもの。

　園芸にしろ何にしろ、才能のある女性は好ましい。

庭で春の花木が咲き始めた。

　写真は、１つめが連翹（？）、２つめがヤブ椿、３つめが白花沈丁花である。

　黄の小花は連翹だとおもうが、はっきりしない。垣で仕立てるものらしい。

　ヤブ椿は、昨年春の鳥の来襲を免れた唯一の木（椿、山茶花のうち）である。

　白花沈丁花は春ごとに花を咲かせるのだが、株がすこしも大きくならない。植え場所がわるいのか、葉が落ちやすいせいだろう。

　台所の窓辺で、赤花のミニ薔薇が１輪咲いた。今月２日にホームセンターで莟１つ（すでに１、２輪、咲き散っていたようだ）の鉢を買って２０日あまり、ようやく咲いた。

　あとの写真は、庭のラッパ水仙（黄花）である。１０年くらい前に植えつけたあと、２回、増えた球根を堀り上げて分け、腐葉土と発酵牛糞を混ぜた土に植え直したので、株は元気である。

写真集「続　皐月銘木」を見おえる。栗原鉄之助・監修、昭和４８年、現代企画室・刊。

　今年の３月３日にここで紹介した正巻にたいする続巻である。

　皐月の盆栽では、きれいな花がたくさん咲いていても駄目で、根張りや、立ち上がりの幹の太さを重視する。

　なお初めの写真は箱の表、あとの写真は箱の背である。

　奥村晃作氏の評論集「戦争の歌　渡辺直己と宮柊二」を読みおえる。北冬舎「北冬草書３」、１９８ページ。

　渡辺直己の、戦闘への徹底したサボタージュは単なるズルケではなく、戦争への一つの抵抗である。宮柊二が度重なる激戦のなかで、弾に当たりさえしなかったのは、何の加護によるのだろう。

　戦闘をサボタージュした渡辺直己が爆死し、「一兵の生きの有様をまつぶさに遂げむ」とした宮柊二が生還したのも、運命の皮肉である。

　この本には、戦地での２歌人が述べられているだけではない。先達の奥村氏から僕たちへ「君たちもせいいっぱい生きて、せいいっぱい歌を詠みなさいよ」というメッセージである。

　庭の木槿の株元で４種のクリスマスローズが咲いた。冬の積雪のせいで、株が傷んだらしく、昨年ほどの花ではない。

　近頃は八重咲きのクリスマスローズの品種もあるが、高価な苗を買って、鉢で育てるほどの関心は今のところ無い。

　庭の白梅の花が咲いた。といってもこれは実梅の花である。匂いはわからない。僕は下水道とゴミ処理の仕事を３０年余り続けてきたので、嗅覚がとてもにぶくなった。

　梅の実を以前の３、４年は梅酒にしたが、それにも飽きて止した。僕は家ではほとんど酒をのまず、家には今、もらい物の缶ビールが一本あるきりである。宴会ではある程度、ビール専門で飲むけれども。