橋本多佳子「紅絲」
角川書店「増補 現代俳句大系」第8巻(1981年・刊)より、13番めの句集、橋本多佳子「紅絲」を読みおえる。
今月17日の記事(←リンクしてある)、山口波津女「良人」に続く。
この全集に載る彼女の句集としては、第6巻の「信濃」の記事(←リンクしてある。2013年3月。まだ字が小さい)に継ぐ。
「紅絲(こうし)」は、彼女の第3句集。1951年、目黒書店・刊。
山口誓子・序、413句、神田秀夫・跋、後記を収める。
誓子の指導、奈良俳句会での西東三鬼、平畑静塔らとの研鑚の成果か、この句集は当時、句界で絶賛を受けたとされる。
しかし戦後の荒々しい活気が去ってしまい(僕の作品読書の印象と、想像による)、世の保守化が進むと、奇妙な句集という印象が残る。
幸い「橋本多佳子全句集」を保持しているので、これからも読み続けるだろう。
以下に5句を引く。
拠るものゝ欲しけれど壁凍るなり
女(め)の鹿は驚きやすし吾のみかは
花椎やもとより独りもの言はず
髪切虫押え啼かしめ悲しくなる
燦々とをとめ樹上に枇杷すゝる
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