江國香織「赤い長靴」
文春文庫、2008年1刷。
彼女の小説の読了は、今月17日の記事(←リンクしてある)、「ぬるい眠り」以来である。
「赤い長靴」は、14章より成り、多く妻・日和子側から、少なく夫・逍三側から語られる。
妻(パートで働く)は、夫や夫の両親に「言葉が通じない」と感じている。
帰宅した夫に語りかけても、「うん」ぐらいの返事で、テレビかパソコンを観る。かつては、ちゃんと答えて、というように言っていたのが、今は反応がないと、くすくす笑うようになっている。
夫は、経済力と、外圧からの防御で、妻を守れば良い、とは言えないようだ。
疎通の少ない(それでいて閉鎖的な)夫婦を描いて、彼女には珍しい作品だと、僕は考える。
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