「梅崎春生全集」第2巻(4)
沖積舎「梅崎春生全集」第2巻(1984年・刊)より、4回めの紹介をする。
同・(3)は、先の7月1日付け記事(←リンクしてある)にアップした。
僕が今回読んだのは、「鏡」、「鬚」、「朽木」の短編小説3編である。
「鏡」は、社長・老金庫番・私(裏帳簿作成役)・給仕娘の4人の戦後の会社で、「私」が貧しい老金庫番を唆して、大金を盗ませる話である。
「鬚」は、仮病で4ヶ月、会社を休んだ「私」が、女に逢うために鬚を伸ばして、失敗する話である。
「朽木」は、「ふじ子」と同棲(?)する「私」が泥酔して、終電車の終点まで行ってしまい、ホームで夜を明かす話である。「ふじ子」との不遇な関係や、共に夜明かしする人々を描いている。
3編とも、自虐的な、破滅の縁まで行く、戦後らしい不幸の物語である。
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