カテゴリ「詩集」の190件の記事 Feed

2016年3月24日 (木)

「シュメール神話集成」(4)

 ちくま学芸文庫「シュメール神話集成」より、「イナンナの冥界下り」を読みおえる。

 同(3)「エンキとニンフルサグ」は、今月15日の記事(←リンクしてある)で紹介した。

 「イナンナの冥界下り」359行は、欠けている所も少なく優れているが、残念な事に結末部分を欠いている。この本では、断片A、Bを付して、少しだけでも助けにしようとしている。意志的な冥界下りの説話は、まだ読んだ事がなかったようだ。

 ストーリーは長くなるので、ここでは述べない。ネットでこの題名で検索してください。神話の枠組みに沿った部分もあるようだ。121の訳注を頼りに、読み進めた。

Photo「フリー素材タウン」より、椿の1枚。

2016年3月15日 (火)

「シュメール神話集成」(3)

 ちくま学芸文庫「シュメール神話集成」の、「エンキとニンフルサグ」を読みおえる。

 今月11日の記事(←リンクしてある)、同(2)に継ぐ。

 この278行には、幾つかの欠行があり、多くの欠語がある。欠語は、推定と補足に拠る訳語が挟められるが、それでも訳できず欠損の部分もある。

 これまで読んで来た神話では、整っている方である。

 夫神エンキが、妻神ニンフルサグのために、都市ディルムンに豊かな水を祈りによって齎す。エンキの好色と、ニンフルサグの呪い、そしてエンキの病気と癒しが語られる。親しみやすい1編である。

Photo「フリー素材タウン」より、椿の1枚。

2016年3月11日 (金)

「シュメール神話集成」(2)

 ちくま学芸文庫「シュメール神話集成」より、「洪水伝説」を読みおえる。

 1昨日の、同(1)に継ぐ。

 「洪水伝説」の粘土板原文は、不完全である。数えられる260行の内、4個所の計154行の破損があり、261行以下も破損している。

 残る106行にも破損個所が多く、解説、39個の訳注、推定に拠る補足、翻訳等を施している。読者として、欲求不満の残る1編である。

 「旧約聖書」の「ノアの方舟」の原型とされる。大嵐と大洪水も、チグリス川・ユーフラテス川の流域のシュメール民族なら、納得できる。

Photo「フリー素材タウン」より、椿の1枚。

2016年3月10日 (木)

「トラークル全集 Ⅵ 遺稿」より「「一九〇九年集」

 青土社「トラークル全集」(1987年・刊)より、「Ⅵ 遺稿」の「一九〇九年集」を読みおえる。

 今月4日の記事(←リンクしてある)、「トラークル全集 Ⅴ」より「評論」、に継ぐ。

 この第Ⅵ章は、すべて詩稿であり、戯曲ほかの遺稿には第Ⅶ章が当てられている。

 「一九〇九年集」は、1909年のすべての詩稿とは限らないが、37編の詩を収める。

 色彩語の多用はなく、ナルシスティックな感傷を感じさせる部分があり、旧世界の没落を予感しているらしい部分もある。

Photoフリー素材サイト「Pixabay」より、ラナンキュラスの1枚。

2016年3月 9日 (水)

「シュメール神話集成」(1)

Cimg8750 1昨日(3月7日)に受け取りを紹介した、ちくま学芸文庫「シュメール神話集成」より、初めの「人間の創造」と「農牧のはじまり」を読みおえる。

 紀元前2千年紀の作品が多いシュメール神話の中で、「人間の創造」は紀元前19世紀~17世紀の、比較的新しい神話である。

 人間は、2人の神を殺した血で造られ、理由はこれまで神々が行って来た、国土を豊かにし、神々を祭る仕事をさせるためである。尾崎亨・訳。

 「農牧のはじまり」(杉勇・訳)は、欠損を含めて61行であり、「はじまり」の肝心な11行程が欠損している。

 農牧の繁栄の源は神意であるとされ、頭首となる者の出現も語られる。

2016年3月 7日 (月)

「シュメール神話集成」

Cimg8750 1昨日の記事「シリア国立博物館」で、大量の粘土板文書に触れ、「ギルガメシュ叙事詩」以外の文学がないかと書いた。

 リンクを遡ってゆくと、「ウル哀歌」という作品に辿り着いた。

 Amazonで「ウル哀歌」で検索すると、この「シュメール神話集成」に出会い、購入した。

 ちくま学芸文庫、2015年11月・刊。神話16編を収め、「ウル哀歌」は「ウルの滅亡哀歌」として載っている。ネット検索の威力大である。

 杉勇・尾崎亨・訳。原文の破損(複数行を含む)、原文あるも翻訳困難があり、注や解説を含めて、たいへんな労作と僕は思う。

 少しずつでも、ここで紹介して行きたい。

2016年2月27日 (土)

「茨木のり子全詩集」

Cimg8736 Amazonに2月17日に注文した(記録あり)、「茨木のり子全詩集」が、3日くらいで届いた。

 花神社、2013年2刷。464ページ、2段組み。

 茨木のり子の全詩集、未収録詩編、翻訳詩、年譜等を収める。

 この全詩集を買うのにためらいがあったのは、筑摩書房「言の葉」全3巻を、買って読んでいたからである。(読了してすぐに、孤独死が伝えられたのは、ショックだった)。

 しかしこの本を少し捲ってみて、買って良かった、と思う。

 文学者は結局、作品によってしか評価されない。

 ただし昨年6月20日の記事(←リンクしてある)で報せた「吉野弘全詩集」他、手をつけていない全詩集等がたくさんあって、他も含め心急かれる思いである。

2016年2月10日 (水)

「トラークル全集 Ⅳ」

 青土社「トラークル全集」(1987年・刊)より、第Ⅳ章を読みおえる。

 第Ⅲ章は、今月1日の記事(←リンクしてある)で紹介した。

 第Ⅳ章の扉ページには、「Ⅳ その他の生前に発表された詩」と記されている。12編の詩を収める。

 いつ、どこに発表された作品か、記されていないので、評しにくい。

 色彩語の多用もなく、文法的に完結した詩句が多く、素直な表現が多い。

 全1009ページ+書誌の内、340ページに至る。

Photo「フリー素材タウン」より、梅の1枚。記事の内容とは無関係。

2016年2月 8日 (月)

海道剛「日新殘筆」

Cimg8719 10日ほども前か、海道剛さんの詩集「日新殘筆」が届いた。

 2015年12月28日・刊。私家版。短詩29編を収め、34ページ。

 海道剛さんは福井県・在住の詩人で、元・詩誌「螺旋」の仲間だった。詩誌「螺旋」は、1996年に第60号を発行したまま、長い眠りに就いている。彼は発表する詩誌もないまま、詩を書き続け、まれに詩集を届けてくれる。

 開いたままの封筒で郵便受けにあったから、彼自身が届けてくれたのだろう。僕は在宅中だったから、声を掛けてくれればよかった。

 作品は、漢詩風な短章に、いかに繊細さを出すか苦心しているようだ。

 以下に1編を引く。


無題


月 印

 山 江に

   有り

 寒 暖に

2016年2月 1日 (月)

「トラークル全集 Ⅲ」

 青土社「トラークル全集」(1987年・刊)より、第Ⅲ章を読みおえる。扉ページには、「Ⅲ 一九一四年から一九一五年に「ブレンナー」誌に発表された詩」と書かれてある。

 前章の詩集「夢のなかのセバスチャン」については、先月14日の記事(←リンクしてある)にアップした。

 第Ⅲ章は、14編の詩より成る。詩人の純粋な魂は、第1次世界大戦従軍(薬剤師見習いとして)の悲惨に耐えず、拳銃自殺未遂を起こし、送られた野戦病院でコカインの過剰摂取により自殺した(1914年)とされる。

 現実に対応しない表現主義の詩人は、現実に対応しきれなかったか。

 詩人の没落≒家族の没落(家業は傾き、妹も3年後・自殺)≒国家の没落(オーストリア・ハンガリー帝国は、4年後に解体)≒旧世界の没落、と捉えてよいだろう。

Photoダウンロード写真集「フォト満タン」より、雪景色の1枚。

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