カテゴリ「詩集」の190件の記事 Feed

2014年10月 1日 (水)

高橋修宏「MOTHER HOTEL」

Cimg8020 富山県にお住いの詩人・高橋修宏さんが、詩集「MOTHER HOTEL」を送って下さった。

 ともに「北陸現代詩人賞奨励賞」を受賞している、関わりからだろうか。

 巻頭の「黙契」から、題名を含めて、「黄金の斧が降りおろされ」「夥しい血に染まり、」「その沖に巨大な火柱がたつまで」等、言葉が大きく重い。

 「蜜の島」の2行、「腐蝕しつつ馥郁と香りたつ絶望/岩だらけの島に蒔かれた蜜の種子」も、その例である。

 そのような詩が26編、127ページにわたって展開されると、読書の胃が重くなる。時代はもっと軽い詩を求めているように、僕は考える。

 第6詩集であり、俳誌に参加し3冊の句集もあるので、詩の語調もよく、レトリックに破綻のない、重い詩集である。

2014年9月29日 (月)

立原道造「暁と夕の詩」

 Google Playブックスより青空文庫発で、タブレットに無料ダウンロードし、立原道造のソネット集「暁と夕の詩」を読みおえた。

 この「暁(あかつき)と夕(ゆふべ)の詩」は、詩人が生前に構想していた「風信子(ヒヤシンス)叢書」の、第2集にあたる。

 わずか10編のソネットを収める。14行詩を10編くらいまとめて、1詩集としたほうがお洒落な感じかも知れない。

 1939年(昭和14年、第2次世界大戦の起こった年)に24歳の若さで逝いた詩人らしく、滅んでゆく優しさ、はかないものへの挽歌を、うたい続けたと僕は考える。

 タブレットでは、フォントサイズを+25%とした。活字本と違う字体で、少し違和感があった。

 今月25日の記事で紹介した、「優しき歌 Ⅰ Ⅱ」と合わせて、あと風信子叢書第1集の「萱草(わすれぐさ)に寄す」を読めれば、彼のソネットのおもな詩編は読める事になるのだが、今はサイトに見つけられずにいる。

Photoダウンロード・フォト集より、紅葉の1枚。

2014年9月25日 (木)

立原道造「優しき歌 Ⅰ Ⅱ」

 例によって、Google Playブックスより、立原道造の詩集「優しき歌 Ⅰ Ⅱ」を青空文庫を通して、タブレットに無料でダウンロードし、読みおえた。

 僕は彼のファンで、角川書店の6冊本全集を通読し今も持っており、角川文庫で詩集を読み、それを電子書籍化したCD(ミス事故で消えてしまったけれど)でも読んできた。

 今、別の版の角川文庫(中村真一郎・編)で比べると、編集が少し違う。

 「Ⅰ」は、文庫本では既発表ソネットのうち未編集(詩人の手では)詩編であり、「Ⅱ」が本来の「優しき歌」11編(「序の歌」を含む)である。

 今その巻末の「Ⅹ 夢みたものは…」の、最終2連6行を引く。

告げて うたつてゐるのは

青い翼(つばさ)の一羽の小鳥

低い枝で うたつてゐる


夢みたものは ひとつの愛

ねがつたものは ひとつの幸福

それらはすべてここに ある と

Photo「フリー素材タウン」より、白花の彼岸花(リコリス?)の1枚。

2014年9月10日 (水)

広部英一・単行詩集未収録詩篇(5)

 思潮社「広部英一全詩集」(2013年10月・刊)より、単行詩集未収録詩篇(5)を紹介する。

 先の8月21日の記事(←リンクしてある)で紹介した、同(4)に継ぐ。

 「浅春」(1992年)~「眩しい光の中で」(1996年)の53編である。

 老いを意識するのか、悔いの言葉を挟む。

 また自然に親しみ、見守る人物は母児だったりする。

 またアイデアの目立つ作品は、詩集に収めなかったようだ。真情を伝える作品として、詩を考えていたようだ。

Photoフリー素材サイト「足成」より、柿の1枚。

2014年9月 3日 (水)

やまうちかずじ「わ音の風景」

Cimg7907 県内の詩人、やまうちかずじさんが、第1詩集「わ音の風景」を送ってくださった。

 思潮社、2014年8月・刊。帯。109ページ。

 4章18編を収める。

 彼が30数年ぶりかに詩に戻って来た時、僕は同人詩誌「青魚」を紹介した。

 彼はその後、「青魚」を離れ、詩塾「山吹文庫」に学び、同人詩誌「木立ち」におもに詩を発表している。

 生活の行の連に、博識な(ウェルギリウスから吉本ばななに至るまで)引用を挟み(古典和歌からも)、レトリックをちりばめて、詩編を立ち上げている。

 彼が今後も活躍するよう期待する。

2014年8月30日 (土)

「岡井隆詩集」

Cimg7900 楽天ブックスより、現代詩文庫200「岡井隆詩集」を買った。

 思潮社、2013年・刊。

 この本は長らく、Amazonの「ほしい物リスト」に入っていた。

 楽天のポイント(期限付きを含む)が少しあったので、それも使って、楽天ブックスで買う事にした。

 岡井隆は歌人として著名である。彼の全歌集4冊(思潮社)を、揃いの版ではないが、僕は読んできた。

 彼は詩人としても、実力があるらしい。

 旧かな遣いの詩を書きながら、その衝迫力は大きい。

 なお写真では、光の反射を避けるため、ビニールカバーを外してある。

2014年8月24日 (日)

秋亜綺羅「ひよこの空想力飛行ゲーム」

Cimg7887 宮城県にお住いの詩人、秋亜綺羅さんが、詩集「ひよこの空想力飛行ゲーム」を送って下さった。

 思潮社、2014年8月・刊。

 彼は前の詩集「透明海岸から鳥の島まで」(思潮社、2012年・刊)で、丸山豊記念現代詩賞を受賞している。

 また個人誌「季刊 ココア共和国」を発行していて、ここ数号を僕も頂いており、このブログで紹介している。

 この詩集には、2012年~2014年の作品、16編が収められる。見開き2ページに納まる詩や、数ページにわたる長い詩、2編の散文形式の詩がある。

 冒頭の「青少年のためのだからスマホが!」は、双六ゲームなどに絡めながら、東日本大震災と生を描いている。

 最後に置かれた「来やしない遊び友だちを待ちながら」(副題 または伊東俊への弔詩)は、初出の「ココア共和国」15号が届いた時にも、このブログで紹介した。冒頭の5行を引用する。


あなたが海底に住むニワトリだったら1を

あなたがきこりを食べるシロアリだったら2を

あなたが日曜ごとに布団を干すカブトムシだったら3を

押してください

最期に#を押してください


 「~だったら」までのシュールと、「~〇を押してください」という電話自動音声の先端風俗を結びつける、インスピレーションを得た時、彼の心はどんなに躍っただろう。

 散文形式の「秋葉和夫校長の漂流教室」の中で、「たとえ誰にも書けなかった詩を書くことができたとしても、世界で初めての仕掛けをひらめいたとしても、…」と書いているくらいだから。

 

2014年8月21日 (木)

広部英一・単行詩集未収録詩篇(4)

 思潮社「広部英一全詩集」(2013年・刊)より、単行詩集未収録詩篇(4)として、「光は万遍に」(1983年)~「水仙」(1992年)の、36編を読みおえる。

 先月30日の記事(←リンクしてある)、同(3)に継ぐ。

 「光り」「光る」という語が目につく。宗教的なものではないだろう。

 生への意欲と、詩人の純粋さを守るため、ひたすら美による救済を願ったようだ。

A葡萄の季節のようだ。フリー素材サイト「足成」より。

2014年7月30日 (水)

広部英一・単行詩集未収録詩篇(3)

 思潮社「広部英一全詩集」(2013年・刊)より、単行詩集未収録詩篇(3)として、「菜の花の黄色に」(1972年)~「晩夏」(1982年)の48編を読みおえる。

 今月22日の記事(←リンクしてある)、同(2)に続く。

 前回分より「舟小屋」「水浴」、今回の「菜の花の黄色に」「午後」「今夜」などの、少年少女の死・消失のテーマは、或いは当時(1972年頃)、学生運動が敗北したあとの若者を気遣うものだろうか、と思う。

Imgp0635庭に咲く、赤花一重の木槿の1枚。

2014年7月 3日 (木)

「竹中郁詩集」

Cimg7782 古い蔵書から、再読だと思うのだけれども、「竹中郁詩集」(現代詩文庫 第二期 近代詩人篇1044)を読みおえる。

 思潮社、1994年・初版。

 写真では、照り返しを入れないため、ビニールカバーを外してある。

 竹中郁(たけなか・いく、1904年~1982年)は、神戸の裕福な竹中家の養子となり、生涯、上品さと清潔さを保った。

 僕は若い頃、この本ではなかったように思うが、彼の詩を愛読した。

 1時、全詩集を買って読みたいと思ったが、今はその気持ちはない。

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