カテゴリ「詩集」の190件の記事 Feed

2014年6月29日 (日)

広部英一・単行詩集未収録詩篇(1)

 思潮社「広部英一全詩集」(2013年10月・刊)より、「単行詩集未収録詩篇」の、「沈黙の散策」(1953年・発表)より「星」(1962年・発表)に至る、44編の詩を読みおえる。

 先月6日の記事(←リンクしてある)、広部英一「『畝間』以後」、に続き、ようやく記事アップする。

 初期の詩には、モダニズム風の作品もある。

 「疲れてはいないの」以後の詩に、「おまえ」と呼びかける恋人との関わりを描く、作品がある。モデルの詮索はしない。

 広部さんは、コンセプト色のつよい詩集を刊行したからか、多くの詩集未収録詩篇がある。

Photo「フリー素材タウン」より、夕日の1枚。

2014年6月15日 (日)

詩集「芭蕉」の出版を祝う会

 昨日の午前に、短歌方面の小さい会があった。

 また午後2時より喫茶店「モントリオール S店」に、青山雨子さんの第5詩集「芭蕉」(2014年5月・刊)の出版を祝って、彼女と、詩誌仲間の僕、こぐま星座さんが集まった。

 F県詩人懇話会・主催で、大きな合同出版記念会があるだろう。

 コーヒー、紅茶とケーキを摂って、詩集「芭蕉」の感想を述べた。彼女の詩が次第に分かりやすくなってきた事、全国の詩人に送ったその感想に、高評価のものが多かったことなど。

 次第に話題はくずれて、仕事と詩の関連、3人の今後の詩集発行の事、昔の回想などが語られた。

 話題は尽きなかったが、冷房が寒く、時刻も3時半になったので、祝う会を仕舞い、散会した。

Photo「フリー素材タウン」より、花菖蒲の1枚。

2014年6月14日 (土)

「渡辺本爾詩集(1)」

Cimg7742_2 県内にお住いの詩人、渡辺本爾さん(詩誌「果実」同人、F県詩人懇話会・代表)が、「渡辺本爾詩集(1)」を送って下さった。

 渡辺さんの詩を好まれるある詩人が編集・発行し、続編も発行予定で、渡辺さんもそれらを任せ喜んでいると、挟まれた挨拶文にある。

 52ページに35編を収める。作品は、同人詩誌「果実」、詩集「僕の夜汽車」、年刊アンソロジー「詩集ふくい」から、採られている。

 特徴として、黒地あるいはモノクロ写真の夜景の上に白字で詩が印刷されている(雪景に黒字で印刷された2編もある)事は、読者の好き嫌いもあるだろうが、当事者が合意した事に口を挟めない。

 教員職や他の堅苦しい職を経た彼が、ホッと気をゆるめて、母恋や家族や自己内面を詩に描くさまがしのばれる。

 続編を含めて作品集となるらしいので、大いに期待する。

2014年6月13日 (金)

「愛の女神宵宮の歌」

 平凡社「世界名詩集大成(1) 古代・中世篇」(1960年・刊)より、1編の詩、「愛の女神宵宮(よみや)の歌」を読みおえる。

 6月9日の記事(←リンクしてある)、ユウェナーリス「諷刺詩集」に続く。

 「愛の女神宵宮の歌」は、中世の書庫の中より、エラスムスによって見出され広まったが、年代も作者も不明である。

 国原吉之助・訳、120余行。

 恋をそそのかす詩句のあと、カエサル家を讃える8行が入り、個人的暗さを告白して終わる。古典期の最後の残照と、中世の曙光が見られるとされる。

 現にこの詩のあとは、「中世ラテン詩人集」(キリスト教的)であり、更にそのあとは「ギリシア・ローマ」編と別れ「中世」編が始まり、今の僕は読む気持がない。

 北欧系の神話・英雄伝説を集めた「エッダ」は、1割ほどの抄訳なので、他の本で読みたい。

 この「世界名詩集大成」の端本が、何冊か棚にあるが、今は読み始める予定はない。

Photo「フリー素材タウン」より、花菖蒲の1枚。

2014年6月11日 (水)

堀内正子「雪の化身」

Cimg7739 県内にお住いの作家、堀内正子さんより、詩集「雪の化身」を頂いた。

 面識のない方だけれど、詩誌の住所録やアンソロジー詩集の名簿などであからさまにしているから、驚く事ではない。

 略歴によれば、彼女はこれまでに4冊の小説、1冊の童話集を上梓している。

 初めての詩集らしい。5章と「あとがきに代えて」で、全74編の大部である。

 素直な語り口調で、レトリックも取り入れて、詩編が編まれている。

 時に5音句7音句が多くなり、古さを感じさせる。

 歳を重ねられた女性の本音を語り、清々しい。

 「雪だるまとコンペイトウ」は、童話めいた佳品である。

2014年6月 9日 (月)

ユウェナーリス「諷刺詩集」

 平凡社「世界名詩集大成(1) 古代・中世篇」(1960年・刊)より、ユウェナーリス「諷刺詩集」を読みおえる。

 今月3日の記事(←リンクしてある)、マールティアーリス「エピグラム集」に続く。

 ユウェナーリスは16編の詩を遺し、第6歌が661行と長く、他は2、3百行程度の詩らしい。ここには第1歌、第3歌、第10歌を、さらに抜粋して邦訳してある。

 諷刺詩は、機知を効かせた短詩を1かたまり、というのが良いように僕は思う。

 更に物語的1編を、中断して訳されると、真意を受け取りにくい。

 ただし解説には、「ヨーロッパの諷刺詩の伝統の真の始祖となった。」とあり、抵抗詩に影響していたかも知れない。


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2014年6月 6日 (金)

青山雨子「芭蕉」

Cimg7728 県内にお住まいの詩人、青山雨子さんに頂いた第5詩集、「芭蕉」を読みおえる。

 2014年5月・刊、私家版。18編を収める。

 テーマ的に解きほぐそうとすると深くて、女性論、家族論、人間(個人として、類として)論にまで立ち入らないといけないので、ここでは深入りしない。

 表現的には、「あとがき」の中で彼女が書いているように、(連と連との)飛躍が大きい。

 また「人影」は、ストーリーはわかっても、舞台設定がわからなかった。

 必死に何かを訴えようとする中で、少し力を抜いた「朝顔」などは、わかる思いがする。

 これも「あとがき」で、「いつか私が見ている世界をお伝えできたらと思っています。」とあるように、時代的・世俗的・状況の移る中で、ある日ふいと彼女の作品が身近に感じられるかもしれない。

2014年6月 3日 (火)

マールティアーリス「エピグラム集」

 平凡社「世界名詩集大成(1) 古代・中世篇」(1960年・刊)より、マールティアーリス「エピグラム集」を読みおえる。

 先月29日の記事(←リンクしてある)、ペルシウス「サトゥラ」に継ぐ。

 「エピグラム」とは、「警句、寸鉄詩」の意味である。

 マールティアーリス(40年~104年?)は、短詩1570編を14巻に収めた、「エピグラム集」を遺した。

 短詩にインパクトはあるが、この本でも何十編と並べられ、個人を皮肉ったものが多いだけに、食傷してくる。

 1編を引く。

  貧乏 (5巻、81)

アェミリアーヌスよ、君もし貧乏なら、いつまでも貧乏でいるだろう。

当今は、金持ち以外には、富は得られないのだから。

Photo「フリー素材タウン」より、花菖蒲の1枚。

2014年5月29日 (木)

ペルシウス「サトゥラ」

 平凡社「世界名詩集大成(1) 古代・中世篇」(1960年・刊)より、ペルシウス「サトゥラ」を読みおえる。

 5月22日の記事(←リンクしてある)、オウィディウス「黒海からの便り」に続く。

 ペルシウス(34年~62年)は、反帝政ストア派の人々と近かった。没後、哲学の師・コルヌトスが6編だけを選んで(他の詩は捨てて)、詩集「サトゥラ」」として出版し、世の認める所となった。

 第1編(134行)、第3編(118行)が、長い詩のせいか、散文訳されている。

 雑多の比喩、隠喩、口語が入り混じっているとされ、翻訳もタメ口の(「~かい」「~だな」「~ぜ」等・他)語り口調でされているが、原文の調子を伝えているか。

 内容は、世の浮薄な趨勢に反発するものである。

Imgp0568キッチンの窓辺で、鉢のミニ薔薇(赤花だが、光線の具合かピンク色の花になった)の1輪。

5月16日の記事に写真添付した6回めに続き、7回めの開花となる。

2014年5月22日 (木)

オウィディウス「黒海からの便り」

 平凡社「世界名詩集大成(1) 古代・中世篇」より、オウィディウス「黒海からの便り」を読みおえる。

 5月18日の記事(←リンクしてある)、同・詩人「名婦の書簡」に続く。

 ローマで名声を得ていた彼が、アウグストゥス帝の怒りに触れ、黒海辺のトミス(今のルーマニアのコンスタンツァ)に追放され、嘆きの詩を作った。「哀しみの歌」「黒海からの便り」「イービス」の詩集等にまとめられたとされる。

 ここでは、「黒海からの便り」(全4巻、数10編)より、6編が訳されている。妻や友人に宛てられていて、生活の不如意、許されて故郷へ帰る願い、さらに詩興の衰えなどを訴えている。

 彼は結局許される事なく、流謫の地で没した。彼の詩は、ヨーロッパ文学に大きな影響を与えて来たとされる。

Photo「フリー素材タウン」より、薔薇の1枚。

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