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2010年1月の28件の記事

2010年1月 8日 (金)

有馬敲・詩集「白い闇」

002  有馬敲・詩集「白い闇」を読みおえる。

 白地社、1981年・刊。

 箱、帯、箱と本体にパラカバ。(箱のパラカバは除去)。

 この詩集は、129編のソネット(4行、4行、3行、3行、の4連の詩)の連作で、各作の初めに題はなく、ナンバーのみが打たれている。

 作中の主人公(作者と少し違うかも知れない)は、職場で疎外感に悩み、退社後は酒場で倒れこむまで呑んで、憂さを晴らそうとする。

 連作の後のほうでは、ドロップアウトしてしまったのか、故郷を訪ねる詩などが出てくる。

 最近では文学者でも、無頼派、破滅型は認められないようだ。社会において自己を抑制するほうが人間らしい、という発言もある。勤勉・健康型の文学者の初めは、僕の知るかぎりでは、大江健三郎である。

2010年1月 7日 (木)

「鮎川信夫全集Ⅵ 時評Ⅱ」

003  「鮎川信夫全集Ⅵ 時評Ⅱ」を読みおえる。

 思潮社、1989年・刊。

 箱、帯、月報、箱と本体にパラカバ。

 この本には、「時代を読む」「最後のコラム」「私の同時代」3冊ぶんを収める。

 この全集では、「時評 Ⅰ Ⅱ」となっているけれど、本人としては、日本で数少ないコラムニストのつもりだったろう。

 鮎川信夫はある時期から詩作を止めたから、週刊誌等でのコラム連載は、自分の思いの発表の場として、量的には大きかっただろうが、質的にはどうだったろうか。

 コラムそのものが、発表当時の大衆の嗜好に受けても、たいていは後世に残らないものだから。

2010年1月 6日 (水)

有馬敲・詩集「島」

002  有馬敲・詩集「島」を読みおえる。

 砂子屋書房、1982年・刊。

 箱、帯補修、本体にパラフィン紙カバー。

 40歳代末になって、京都府の住家から、四国松山に出稼ぎに来た時期の、一人暮らしと周囲への遍歴を描く。

 詩人として知られながら、或いはそれ故にか、生活は拙ないようである。

 「島」とは、四国と、周囲の小島を指す。

 詩「瞽女ヶ峠」では、平家落人になぞらえて、また他の詩では、中世の遠流びとになぞらえて、住家を離れ四国で一人暮らしする中年男を哀れんでいる。

 また人間的である故に、社会秩序と相容れないという、自負もあるようだ。

2010年1月 5日 (火)

詩集2冊と俳誌1冊

 最近に僕が入手した本を紹介する。

  • 有馬敲・詩集「白い闇」白地社、1981年・刊、箱、帯
  • 同・同「島」砂子屋書房、1982年・刊、箱、帯補

 「BOOK OFF 米松店」で買った本。

 彼は知られた詩人で、作品を読んでみたい気持ちのところへ、立派な詩集が格安だったので、棚にあった2冊を買った。

  • 季刊俳誌「幹」№214、平成22年1月・刊

 福井県現代俳句協会会長の、Y透思朗氏が送って下さったもの。

 彼は人柄が大きいので、親しみを感じている。

 「幹」は、福井県の現代俳句の根拠地である。

2010年1月 4日 (月)

詩誌「アリゼ」第134号

002  兵庫県・在住の詩人・S陽子さんが、同人詩誌「アリゼ」第134号を送って下さった。

 2009年12月、「アリゼの会」発行。

 詩18編、他にエッセイなど。

 通読して、明るい感じを受けた。

 前号について絶望的雰囲気と言ったり、今号について明るいと言ったりするが、読者のその時の心理状態のみに由るのではない、と思っている。

 日本の政権交代、アメリカの大統領交代が、日本の庶民に明るさをもたらしたのかも知れない。この2つは、生活と、更に世界情勢に大きな影響がある。

 もっとも僕は、日本の新政権に、危うさを感じるのだけれども。

 S陽子さんは、欠かすことなく詩誌「アリゼ」を送って下さって、ありがたい事である。

2010年1月 3日 (日)

図録「アルタイの至宝展」

002  図録「アルタイの至宝展」を見おえる。

 2005年、西日本新聞社・刊。

 ロシアのアルタイ地方の遺跡から出土した遺物(マンモスの全体骨格、刺青のあるミイラ、各1体を含む)の、巡回展示である。

 新旧石器時代の精巧な石器、後世の銀製の器・装身具に惹かれた。

 実は、この展覧会がF市美術館であった時、僕は見に行っている。

 新聞記事かテレビの紹介しか知らなかったから、遺物の価値も美しさも、よくわからなかった。

 この図録を見て、記憶を呼び覚ますだけである。

 当時、僕はこの図録を買わなかった(買えなかった)。

2010年1月 2日 (土)

「岡井隆全歌集 Ⅱ」

002  「岡井隆全歌集 Ⅱ」を読みおえる。

 思潮社、1987年・刊。

 この巻には、「天河庭園集 新編」「鵞卵亭」「歳月の贈物」「マニエリスムの旅」「人生の視える場所」「禁忌と好色」の、6冊の歌集が収められる。

 岡井隆は、政治的前衛であるとともに芸術的前衛であるという、困難な道を歩いた。

 大きな膂力で成果を挙げながら、そのヒズミが私生活に現れて、九州逃避行と作歌中断になったものと僕は思っている。

 これで思潮社の1972年版「岡井隆歌集」と合わせて、12冊ぶんの歌集を読みおえたことになる。

 近年、これも思潮社から、4冊本の「岡井隆全歌集」が出ており、また新歌集も出ているけれども、それらを読むには僕に、時間的・精神的な余裕がない。

2010年1月 1日 (金)

「村上春樹、河合隼雄に会いにいく」

006  新年明けましておめでとうございます。

 今年もよろしくお願いします。

 さて元日より、読みおえた本の報告である。

 対談録「村上春樹、河合隼雄に会いにいく」

 新潮文庫、平成21年19刷。

 僕の期待した、全共闘運動に対する村上春樹の思いは、あまり語られていないようだ。

 また彼の作品の幻想性について、自身が「それがどういう意味を持っているのかということが、書いている本人にもわからない」場合があると述べている。

 そういうことを否定する人もいるけれど、僕の詩の場合でも、何を指しているか後から推測がつく場合があるので、それもあるかと思う。

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