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2011年12月の28件の記事

2011年12月21日 (水)

子規「歌よみに与ふる書」

Cimg5544 今月17日の記事「歌書2冊」に挙げたうち、正岡子規の歌論「歌よみに与ふる書」を読みおえる。

 岩波文庫、2007年31刷。

 この本には、「歌よみに与ふる書」10章と、「あきまろに答ふ」、「人々に答ふ」、「曙覧の歌」、「歌話」、5編の歌論を収める。

 「歌よみに与ふる書」を再読し、誤伝のある事などもわかった。また「七たび歌よみに与ふる書」の中で、以下の言葉がわかりやすかった。

 「この腐敗と申すは趣向の変化せざるが原因にて、また趣向の変化せざるは用語の少きが原因と被存(ぞんぜられ)候。故に趣向の変化を望まば、是非とも用語の区域を広くせざるべからず、用語多くなれば従つて趣向も変化可致候」。

 また「歌話」にて、「言霊の幸はふ国」という言葉を、やり込めている。

 彼は短歌を、日本当代一流の文学に、世界文学の1つに、したかったのだろう。

2011年12月20日 (火)

「群青の会」会合

Cimg5539 今年10月11日に「詩の研究会」を持ってより、「群青の会」のメンバーが集まっていなかった。

 こぐま星座さんの勤務日の変更や、AUさんの家庭の事情に由る。

 年内に1度会っておきたいという声があって、日時の調整の結果、今朝の8時半より、喫茶店Kに僕を含めて3人が集まった。

 最近の個人の文学活動を報告したり、それぞれの行く末の心掛かりな事を話したりした。詩と、詩の世界が、現実を越えて、自由であり豊であらねばならない事なども。

 AUさんが今年に詩集を上梓した反響(詩壇の評価が高い)として送付された詩集のうち、6冊を僕が借りて読む事になった。

 僕は前回の記事でも書いた、有馬敲・詩集「転生記」を彼女に貸した。

 来年1月よりの、「詩の研究会」再開を約束して、10時に散会した。

2011年12月18日 (日)

有馬敲「迷路から」

 今年11月30日の記事で紹介した、有馬敲さんに頂いた3部作詩集「転生記(てんしょうき、1993年・刊)より、第2部「迷路から」を読みおえる。

 11月30日の記事で、「ほとんどがソネット形式の詩である」と書いたが、ここまで読んで、459編すべてがソネット詩であることがわかった。

 第1部「終りのはじまり」117編の読了を報告したのは、今年12月7日の記事である。第3部「白い闇」は、単行本詩集で読みおえているので、省略したい。

 第2部「迷路から」は、213編のソネットより成り、心の苦しむ仕事、体調の不良、宿酔、帰郷、地方への旅(詩の朗読会を含むようだ)などを描きながら、カタルシスを得られず、まさに「迷路」をさまよう姿である。

 はじめの方の「3」を引く。

  迷路から 3

     有馬敲


ステンレスの机 椅子

見えない鎖につながれて

くりかえしの手仕事を

いつまでも課せられている


のどが渇く

いやす水をもとめて

手洗いへ席を立ってゆくと

(おお わずかばかりの自由)


廊下の空気はここちよく

あかあかと蛍光灯がともり

軽い音楽まで流されている


祝福せよ 徒刑囚を

前かがみに白い便器をまたぎ

全身から水分を絞り出す

2011年12月17日 (土)

歌書2冊

Cimg5539Cimg5541
















 

 
初積雪の残る景の中、「KaBoS ワッセ店」へ行き、2冊の歌書を買った。

 総合歌誌「歌壇」(本阿弥書店)2012年新年号は、8氏の新春巻頭作品、小島ゆかりさん☓正木ゆうこさんの対談、など華やかである。

 表紙のデザインがシンプルであり、今年はこの路線なのか。

 もう1冊は、正岡子規の「歌よみに与ふる書」(岩波文庫、2007年31刷)である。

 表題作は以前に読んだが、その他に4編の歌論が収められているので。すでに古いのかも知れないが、僕は短歌の素養がないので、基本から始めねばならない。

2011年12月15日 (木)

「甲骨文・金文」

Cimg5534Cimg5536














 

 今年5月30日の記事 で少し触れた、「中国法書選」60冊のうち、①「甲骨文・金文」を「楽天ブックス」より買った。

 二玄社、2011年17刷。

 左の写真が表紙、右の写真は金文の1部である。

 古い漢字に、僕は興味がある。現代書道に取り入れている書家もある。

 古漢字の活字化、金文では読み下し文と訳もついており、親切である。

 ひととおり鑑賞しおえたなら、また報告したい。

2011年12月14日 (水)

中島斌雄「樹氷群」

 角川書店「増補 現代俳句大系」第4巻(昭和56年・刊)より、5番めの句集、中島斌雄(なかじま・たけお)「樹氷群」を読みおえる。

 原著は、昭和16年、甲鳥書林・刊。

 自序、昭和6年より昭和15年に至る388句、長い長い自跋(句歴、俳論を含む)を収める。

 彼の句には反戦、とまで言えなくても、厭戦的傾向がある。

 それは東大大学院を修了し教諭・教授を務めた知性か、旅行(登山、スキーを含む)を楽しめる家庭的余裕からか。

 以下に6句を引く。

しんしんと霜おく気配筆を擱く

妻はたゞ栗拾ふことひたすらに

妻の手の冷たしバスは山に入る

英霊還る川涸れ鴉あまたあさる

歓送の渦の外(と)寒く老婆負はれ

林檎樹下妻よリユックの麵麭食まう

2011年12月13日 (火)

「上田桑鳩作品集」

Cimg5533
 書の写真集「上田桑鳩作品集」を見おえる。

 昭和57年、教育書籍(株)・発行。

 本にはビニールカバーがあるが、縮んでおり、また照り返しを避けるため、写真では外してある。

 彼は、1899年・生、1968年・没。

 19歳で書に志し、1940年に奎星会を結成・主宰した。

 彼は戦前より、様ざま試みを敢行したようだ。

 さらに戦後の新しいムーブメントに動かされ、前衛書道の途を猛進したようだ。

 図番43の「幽」など、僕には抽象に見える。

 日本画も良くし、数点を収める。

2011年12月12日 (月)

ジム・フジーリ「ペット・サウンズ」

Cimg5524_2
 「アマゾン」より、ジム・フジーリ「ペット・サウンズ」が届く。

 新潮文庫、村上春樹・訳、平成23年12月1日・刊。

 アマゾンの「本」のコーナーで、「村上春樹 文庫」で検索し、「発行の新しい順(?)」で並べると、この本が出て来たので、さっそく注文した。

 村上春樹は最近、ミステリーの翻訳に集中していたようで、小説の発表を待っている僕には、困った事だ。

 この訳書は、ビーチ・ボーイズのアルバム「ペット・サウンズ」に寄せながら、繊細なリーダー、ブライアン・ウィルソンへのオマージュめいた伝記である。

 ビーチ・ボーイズの曲は記憶になく、また少年的なピュアさを僕は強調したいと思わないので、今すぐ読みたい、という程ではない。

 また機会を見つけて読もう。

2011年12月11日 (日)

県支部12月歌会

Cimg5522
 今日の午後1時よりK会館の1室で、「コスモス短歌会」F支部の、12月歌会が持たれた。

 僕は2ヶ月ぶりの参加である。

 事前1首出詠13首、歌会参加者11名だった。

 Iさんが清書(パソコンで)したプリントを基に、13首を1首ずつ、司会のU支部長に指名された2名ほどずつが批評を述べ、支部長が講評し添削例を示し、会は進んだ。

 会員の疑問や反論に、支部長は理を尽くして述べ、皆が納得したようだった。

 会の発言が盛り上がり、常より遅い4時過ぎに散会となった。来年以降も精進する事を誓って。

2011年12月10日 (土)

岡井隆「宮殿」

 「岡井隆全歌集」第Ⅲ巻より、5番め、最後の歌集「宮殿」を読みおえる。

 2006年、思潮社・刊。2重箱、月報、資料集成Ⅱあり。

 原著は、1991年、沖積舎・刊。

 第Ⅲ巻月報に載る、荻原裕幸・石井辰彦を含む鼎談で、荻原裕幸が「珍しく歌壇の反応が少なかった歌集ですよね」と発言し、岡井隆自身も「『宮殿』は、普及したけれども評判が悪い」と発言している。

 編集者が、春夏秋冬の4部に編集し直した歌集である事が、従来の歌壇のやり方に反しているため、と捉えるようだ。

 以下に8首を引く。

誰も居ぬ闇にむかひてうなづいて大川端へ消ゆる関取り

財に向き動くこころはいひわけのあまたを持ちてさあれさすらふ

才能を蕩尽したる彼(かれ)といへ浪費に耐ふる才華すがしく

聴衆にいびきかく人ひとり居て上田三四二論ずつたずた

片腕のしびれてさむる昼熟睡(うまい)あはれレッスン?情死のための

固きパン朝々に割(さ)きいつしかに慣るるがごとしあはき旅愁の

昨日見て今日うたがふを係恋の常とわらひて手帳閉ぢたり

たましひの闇市へ行く思ひかな二百人ほど待つとし聞けば

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