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2016年2月の28件の記事

2016年2月20日 (土)

「トラークル全集 Ⅴ」より「散文」

 青土社「トラークル全集」(1987年・刊)の第Ⅴ章より、「散文」4編を読みおえる。

 先の第Ⅳ章は、今月10日の記事(←リンクしてある)で紹介した。

 扉には「Ⅴ 散文・評論」と題され、1枚捲って「散文」と題されている。

 「夢の国 -一つのエピソード」、「黄金の杯 -バラバス・ある幻想」、「黄金の杯 -マリア・マグナレダ・ある対話」、「孤独」の4編である。

 4編の散文は、物語だが、散文詩めいて幻想的である。1編も比較的短い。

 僕は、立原道造の多くの物語を思い出した。角川書店「立原道造全集」(全6巻)第3巻(1971年・刊)に収められている。

 トラークルの没年(1914年)に立原道造は生れており、トラークルの「物語」を読んでいた可能性はある(学術的推論ではない)。

Photoダウンロード写真集「フォト満タン」より、冬景色の1枚。

2016年2月19日 (金)

相生垣瓜人「微茫集」

 角川書店「現代俳句大系」第10巻(1972年・刊)より、11番めの句集、相生垣瓜人「微茫集」を読みおえる。

 今月3日の記事(←リンクしてある)、佐藤鬼房「夜の崖」に継ぐ。

 原著は、1955年、近藤書店・刊。1941年までの「黄茅抄」91句、1948年よりの「白葦抄」343句を収める。

 相生垣瓜人(あいおいがき・かじん、1898年~1985年)は、「ホトトギス」より「馬酔木」に投句し同人となり、俳誌「海坂」を共宰した。

 当時、社会性俳句の盛んな時期、超然とした句境を示した。貧窮の句が戦後を思わせる。

 以下に5句を引く。

稲負ひて闇に追はれて来しふたり

つゆじもの消ぬべき文字のかそかなる

か程まで枯れ急がねばならぬにや

離りゆく遠く一団の冬として

枯菊を焚くなり淡き火を期して

Photo_2ダウンロード写真集「フォト満タン」より、冬景色の1枚。

2016年2月18日 (木)

歌誌2冊

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 Amazonに予約注文してあった総合歌誌「歌壇」2016年3月号(2月号は発売日に売り切れだったので、楽天ブックスで買った)が2月13日に発売され、翌14日(日曜日)に届いた。

 東日本大震災の、震災詠をめぐる特集、など。

 2月17日(水曜日)には、結社歌誌「コスモス」2016年3月号が届いた。4月号からの昇級者の発表がある。

 僕の歌は(10首出詠のうち)、3首選だった。内容は、もう1つのブログ「新サスケと短歌と詩」の、2月18日付け記事(←リンクしてある)にアップしたので、ご覧ください。

2016年2月16日 (火)

梅崎春生「赤い駱駝」「生活」「ルネタの市民兵」

 沖積舎「梅崎春生全集」第1巻(1984年・刊)より、3回めの紹介をする。

 2回めの紹介は、先の1月8日の記事(←リンクしてある)にアップした。

 今回は、「赤い駱駝」「生活」「ルネタの市民兵」の、3作品を読み終える。

 「赤い駱駝」は、「二見」という「全然軍人に適さない男」(召集前は童話を書いていた)が、終戦直後に発狂して自殺するストーリーである。

 次の「生活」に出て来る老兵たち(40代)が、軍隊で真実の自分を守るため、佯狂、馬鹿、耳が聞こえない、等の擬態を採ったのに、それが出来なかった。

 戦闘に参加する事がなかった小さな関わりに、戦争、敗戦の意味を問い詰めて自死に至ったのだろう。

 誰にともなく物語る口調で、文体に工夫がある。

 「ルネタの市民兵」は、比喩を重ねるなど重厚な描写で、捨石の1市民兵が、逼塞・逃亡から投降に至る過程を描いている。

Photoダウンロード写真集「フォト満タン」より、冬景色の1枚。

 

2016年2月14日 (日)

「エジプト博物館」

Cimg8724 講談社「世界の博物館」全23巻より、第17巻「エジプト博物館」(1989年5刷)を見おえる。

 前の「スペイン・ポルトガル博物館」は、先の1月26日の記事(←リンクしてある)にアップした。

 「エジプト博物館」は、180ページ、写真400枚(カラー、モノクロを交え)。

 巨大石像や金製品などに驚くが、あまり嫌味を感じさせない。

 1つは、自国で管理されている事。またエジプト王朝が紀元前525年にペルシアの属領となって終っている事。

 人気のツタンカーメン王の遺品に、王が9歳で即位・18歳で夭逝した少年王であった事への同情も加わっている為と思われる。

 「アラブの春」以降のエジプトは、どのような情勢だろう。

2016年2月13日 (土)

「コスモス」2月号「その一集」読了

 結社歌誌「コスモス」2016年2月号の、「その一集」(既報の特選欄を除く、通常欄)を読みおえる。

 この前の今号「COSMOS集」読了は、今月2日の記事(←リンクしてある)にアップした。

 この集を読んでも、皆が営々としかも楽しんで、何年も何十年も、歌を詠み継いでいる事を感じる。

 僕が付箋を貼ったのは、次の1首。M・真生さんの4首より。

猪に荒されし田は刈り取りの気力失せてか放置されをり

 猪が里に出るのは理由もあろうが、農家の心が折れるようでは、困った事態である。

Photo「フリー素材タウン」より、梅の1枚。

2016年2月12日 (金)

「ヴィヴァルディ作品集」より(1)

Cimg8721 今月4日の記事(←リンクしてある)で、購入を報せた「ヴィヴァルディ作品集」(全66CD)より1枚め、トリオソナタ(3声部からなるソナタ)1枚めを聴く。写真は、紙ジャケットの表である。

 「2台のヴァイオリンのためのソナタ」より、6曲、全43分余り。

 パソコンにかけて、身を横にしながら、計2回、聴いた。

 期待した奇想風な曲は初めはなかったが、6曲め「Sonata No.12 in D Minor RV63‘Follia’」は、哀愁と激しさのある、特に美しい曲だった。

2016年2月11日 (木)

近藤芳美「甲斐路・百首」

 岩波書店「近藤芳美集」第5巻(2001年・刊)より、第20歌集、「甲斐路・百首」を読みおえる。

 先の1月21日の記事(←リンクしてある)、「希求」に継ぐ。

 1996年、山梨日日新聞社・刊。

 歌誌「みぎわ」(1987年~、上野久雄・主宰)の創刊10周年記念号のため、上野久雄(1927年~2008年)に求められ、3回にわたって山梨県各地を吟行した成果である。自・まえがき、上野久雄・跋、吉田漱・解説を付す。

 近藤芳美は、家庭や自然を詠っていたい、と洩らした事があるらしく、100首は爽やかであり、政治・社会を詠った詰屈はない。

 以下に5首を引く

くきやけきみどりに濡るるかまきりのいまだ幼き石塔の道

仙娥滝落つるたぎちの岩の面をさらに一すじ滝たばしれる

ようやくに桜は老樹春更くる清春芸術村甲斐駒を背に

久遠寺の春寂しらに今日を来ぬきわまるさくら道のいずくも

落葉松の樅と栂とに変るころときのま暗し登山路にして

Photo_2「フリー素材タウン」より、梅の1枚。

2016年2月10日 (水)

「トラークル全集 Ⅳ」

 青土社「トラークル全集」(1987年・刊)より、第Ⅳ章を読みおえる。

 第Ⅲ章は、今月1日の記事(←リンクしてある)で紹介した。

 第Ⅳ章の扉ページには、「Ⅳ その他の生前に発表された詩」と記されている。12編の詩を収める。

 いつ、どこに発表された作品か、記されていないので、評しにくい。

 色彩語の多用もなく、文法的に完結した詩句が多く、素直な表現が多い。

 全1009ページ+書誌の内、340ページに至る。

Photo「フリー素材タウン」より、梅の1枚。記事の内容とは無関係。

2016年2月 9日 (火)

国木田独歩「湯ヶ原より」

 Google Play Booksよりタブレットへ、以前に無料でダウンロードした、国木田独歩「湯ヶ原より」を読みおえる。

 「僕」から「内山君」に宛てた書簡で、失恋を告白する態の短編小説である。

 湯ヶ原温泉に療養に来た学生と、その宿の女中である娘が、ともに憎からず思う、プラトニックな恋をした。翌年、再び逢いにゆくと、そのお絹さんは結婚するために帰郷すると宿を出たところで、僕は失恋する、というストーリーである。

 内容はうぶだが、友への語り口調で、口語文体の小説の困難な時期だったろう。

 フィクションの構成、レトリックもさりげない。

Photo「フリー素材タウン」より、蝋梅の1枚。

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