民俗学者・詩人のK久璋さんが送って下さった詩誌2冊(先の5月25日付け記事あり)より、「角(つの)」第29号を読みおえる。
2013年5月20日・刊。
O純さんの「ひと粒」は、机の下の炒り豆1粒(おそらく豆まきの残りだろう)を噛む話である。あまりにもトリヴィアルな話ではなかろうか。
登場人物も自分ひとりである。僕が家庭の1場面を描いても、妻、あるいはまれに子供が登場する。それで、どうという問題でもないが。
K久璋さんの「生成」は、短詩6編を載せる。「天彦」5号の「生成」1~11に比べて、よくないと僕は思う。短詩ではエスプリを効かせなければならないが、1編の行数が明らかに多くなっている。東日本大震災を取り込もうとするのは、評価すべきか、否定すべきか。
県内にお住まいの詩人、民俗学者であるK久璋さんが、詩誌「天彦」5号、「角」第29号を送ってくださった。
まず「天彦(あまびこ)」5号を紹介する。
美浜 詩の会、2013年3月・刊。
詩は8名の11編、3編のエッセイを収める。
O純さんの「露の玉」は、里芋の葉の上の露がころげて地に滲み入るまでを描く。寂光のさす境地であろう。
K久璋さんの「生成 Ⅰ」は、短い詩を11編連ねて、暗喩の世界を築く。ルナールの「博物誌」を、僕は連想した。
第1連を引く。
1 石に押しつぶされているのではない
シジフォスのように
石を持ち上げているのでもない
石の下の隙間を虫けらが塒にしているだけだ
「あとがき」に拠れば、「美浜詩の会」は公民館講座からサークル化して5年を経る。地方からの初心者を含めての発信は、大事なことである。
兵庫県に在住の詩人・S陽子さんが、お便りを添えて、同人詩誌「アリゼ」第154号を送って下さった。
今年3月23日の記事(←リンクしてあり)で、同誌第153号を、紹介して以来である。
詩は23名の24編、「船室」と題する批評欄に6編、「船便り」と題するエッセイ欄に8編、他に受賞紹介等を収める。
この時代に、外に打って出ようとしなければ、家族に籠ったり、回顧的になったり、ファンタジックになったりせざるを得ない。
O昭代さんの「星の恋 ー七夕伝説ー」(全7連)より、冒頭の2連を引く。
星の林がきらめいている星たちのささやきが聞こえてくる
「今夜は あのひとに逢えるだろうか?」「愛しいあの方にお逢いできるでしょうか?」
県内に在住の詩人・T篤朗さんが、お手紙を添えて、「群青の会」宛てに、同人詩誌「果実」68号をを送って下さった。
昨年11月3日に、同誌67号を紹介して(記事あり←リンクしてある)以来で、年2回の発行である。
同人6名は、元教員である。
B5判、36ページ。
F則行さんの「入学式」、N明徳さんの「雪道」、K不二夫さんの「箱をつぶす」、W本爾さんの「赤いポスト」、それぞれ事象に言づけて思いを述べる。
T篤朗さんは6編の詩を寄せている。
その中の「家族」では、通りかかった村の家で、父親の帰宅を待つ子とその母親の会話に、心に灯ったものを描く。
この時代に、家族は最後の砦になり得るだろうか。
先の4月14日、「群青の会」会合のおり(その時の記事←リンクしてあり)、同人AUさんから借りた詩誌、「現代詩図鑑」第11巻・第1号を、読みおえる。
2013年2月、ダニエル社・発行。
U今日子さんの詩時評、25名の詩、2人の招待らしい詩人の詩を、載せている。
W那智子さんの短い(2行ないし3行)詩9編を並べた、総題「プレリュード」が面白い。以下に1編を引く。
まぼろし
遠い犬を
見たのが
最後である
またSさざえさんの「生誕」第2連には、つぎのように書かれる。
それらが
配列されて
生れた わたし
満ち引く潮の不出来な作品
自分を完璧な人間だと思っている人は少なく、多くの人が自分の欠け足りない面を自覚しながら、生きているのだろう。
今月14日の「群青の会」会合のおり(記事←リンクしてある)、同人のAUさんより頂いた詩誌、「間隙」2013年春 第34号を読みおえる。
2013年2月、間隙出版・発行。72ページ。沖縄県・在住のA盛勝さん編集。
AUさんは、詩2編とエッセイ2編を寄せている。
詩「コイン」はお洒落な作風であり、「駅舎」は人生探求的である。
エッセイ「はちみつ」と「親を許すということ」は、生の今昔を、穏やかに描いている。彼女は和んだ心境に至ったのだろうか。
「間隙 創刊号・第2号より」30ページが付され、熱気が伝わってくる。あまり懐古的・回顧的にはならない方が良いと、僕は思うけれども。
急遽、同人詩誌「群青」の発行母体「群青の会」で、会合が持たれる事になった。
今日の午前10時、喫茶店「モントリオール S店」に、メンバーの僕(数分、遅れた)、こぐま星座さん、AUさんが集まった。
まず、「群青の会」宛てに来た、パンフレット「福井ふるさと文学館(仮称)基本計画」(平成25年3月付け、福井県教育委員会より)を2人に見せる。
また「群青の会」宛ての、詩誌「水脈」47号をこぐま星座さんに譲り(AUさんは近く入手する可能性があった)、詩誌「ココア共和国」vol.12もこぐま星座さんに譲った(AUさんはすでに保持していた)。
こぐま星座さんより、沖縄の土産話などを聞いた。
AUさんが最近に入手した、詩誌、詩集より、僕は詩誌「現代詩図鑑」2013年冬号を借りた。
またAUさんが参加している同人詩誌「間隙」第34号を頂く。
そのあと、社会や生き方を語り合って、語り尽きなかったが、それぞれ午後の用事もあり、11時半頃に散会した。
季節に合わせて。
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