カテゴリ「歌書」の467件の記事 Feed

2012年8月25日 (土)

平田利栄「海の駅舎」

Cimg6360 平田利栄さんの第2歌集、「海の駅舎」を読みおえる。

 2001年、雁書館・刊。445首。

 彼女は「人」所属、「人」解散後は「滄」「華」所属。

 父の死、老母のことを含め、生活を丹念に詠んで、好感が持てる。

 語彙の斡旋がやや不得手のようで、自身も自覚しているが、類型的句がやや多いようだ。

 たとえば「身じろがず待つ」「近ぢかと見ゆ」など。

 40代に入って初めての教職に就く、郷里の老母を家に引き取る、など優しく頑張り屋の方のようで、先が待たれる。

 以下に7首を引く。

廃線の枕木を焼く火の蒼し広場にひとりしやがみて目守(まも)

本番に弱き男のものがたり読みつつ思ひ当たる人あり

ふるさとの昼間のバスに乗り込める多くは通院帰りの人ら

身をかたく教へ子の名前聴きてゐる卒業合否判定会議

縁ふかき順序に釘を回し打ち父の柩はつひに閉ぢらる

村人につひになれざる母に似て我も方言つかふことなし

沖縄の幹線道路走りゆくナンバープレートなき米軍車

2012年8月22日 (水)

「歌壇」9月号

Cimg6344 総合歌誌「歌壇」(本阿弥書店)2012年9月号を読む。

 小島ゆかりさんの岡野弘彦氏へのインタビュー「歌は世につれ情(よ)は歌につれ」は、第5回めとなり、岡野氏の話が個人崇拝へ向かいそうな危うさを、僕は感じる。

 巻頭作品20首に、柏崎驍二氏の「家号」がある。

 高野公彦氏の「短歌練習帳」は、20回めに至った。先達の歌の知恵は受け継ぎたいが、設問形式である事が引っかかる。

 還暦を過ぎた僕は、もうテストを受けたくない。ただし、楽をして手に入る知恵は、ないかも知れない。

 特集「アラ卒歌人のうた」は内容も良く、編集も良い。ただ、わが身にはまだ遠い事のように、僕には思えてしまう。

2012年8月19日 (日)

歌誌とパソコン本

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 久しぶりに書店「KaBoS 新二の宮店」へ行った。駐車場も床面積も広いのだが、なぜか行かない。

 このブログで見ると、前回は2011年8月11日の記事で「先日に行ったが、何も買わなかった」とあり、更にその前は2011年3月14日の記事があるが、岩波書店のホームページより注文した岩波文庫、1冊を受け取っただけだった。

 今はネット書店より送料無料で送って貰えるし、町中やネットの古書店も多い。

 歌誌は毎月買う(ネット書店で買えるが、月に一度は町中の本屋へ行きたい)もの。

 「すぐわかるDVD&ブルーレイ活用」(2012年4月、アスキーメディアワークス、刊)は、本当はブログ関係の本がほしかったのだが適するものがなかったので、先行投資(?)の意味を含めて買った。

2012年8月17日 (金)

三國玲子「翡翠のひかり」

 短歌新聞社「三國玲子全歌集」(平成17年・再版)より、遺歌集となった第7歌集「翡翠のひかり」を読みおえる。

 原著は、昭和63年、短歌新聞社・刊。283首。

 彼女は入院中の病状好転期に、6階より飛び降りて自死した。享年63.

 次に引くしまいの作品にあるように、歌誌「求青」の編集責任者の任が重くすぎたのか。しかし彼女は先師の「潮汐」の有力歌人であったろうし、出版社で編集の経験もあったのだが。

 以下に6首を引く。

津軽野のみのりのうちにあざあざと疎開少女の悲しみ蘇る

一面の鏡となりてそそり立つビルディングあり兇事のごとく

苦しみてわが編みし書は書架にあり著者の大方はみまかりましぬ

ああ君は傍若無人うらうらとせし声ながらわが胸を刺す

誰も来ぬ誰にも会はぬ安けさも病みて二十日の髪うとましや

編集の無間地獄を念ふとも愚かに病みて刻を逝かしむ


 この全歌集には、そのあとに「略年譜」、「初句索引」、「巻末記」を収める。

2012年8月11日 (土)

「歌壇」8月号

Cimg6308 総合歌誌「歌壇」(本阿弥書店)の2012年8月号を読む。

 このブログの7月18日付記事で、購入を報告して以来、ずいぶんと日数が経ってしまった。

 特集は「会えた歌人、会えなかった歌人」である。

 他に「第九回筑紫歌壇賞発表」「追悼 武川忠一」があり、緊急記事に「追悼 米満英男」がある。

 歌集「花虻」で筑紫歌壇賞を受賞した福井和子さんは、1999年・第45回角川短歌賞受賞、「ヤママユ」編集委員など、ベテランの方である。筑紫歌壇賞が「遅れてきた新人賞」を自称していないから、口をはさめないが、それでは拍子抜けというか、つまらない。

 武川忠一氏は、厳しい論客でもあったようだ。

 米満英男氏の追悼に、副題「同人誌編集長をつらぬき、逝く」とある。それとは比べものにならないが、僕も同人3名のささやかな詩誌の編集役をしており、親しみを感じた。

 東北大震災が殆んど詠まれていないようで、不審だ。身近に大きな危機がありうる、という心構えを持つべきだろう。

2012年8月10日 (金)

「一握の砂・悲しき玩具」

 電子書籍化した(CDに収めてある)、石川啄木歌集「一握の砂・悲しき玩具」を読み返す。

 原本は、新潮文庫、平成9年・84刷である。

 僕はこの本を、文庫本で何度か読み返したし、2011年7月26日のこの記事で、電子書籍化した10冊に挙げたあと、それから読んだ事がある筈だが、管理画面の検索に掛からなかった。

 読みおえるまでに、10回くらいCDを開いた。

 「一握の砂」の中には、新しい発見があった。

 「悲しき玩具」は、前記より優れていると、僕は感じる。取り上げる事はトリヴィアルなものが多いが、込められた思いは深い。

その親にも、

親の親にも似るなかれ――

かく汝(な)が父は思へるぞ、子よ。

 これ以上の自己否定があるだろうか。

2
写真素材集サイト「足成」より、

季節外れの百合を一枚。

2012年8月 9日 (木)

三國玲子「鏡壁」

 短歌新聞社「三國玲子全歌集」(平成17年・再版)より、6番めの歌集、「鏡壁」を読みおえる。

 原著は、昭和61年、不識書院・刊。419首。

 社会問題、国内の旅、等の歌を交え、生活表面は穏やかながら、内面的には苦しい事もあったようだ。

 以下に6首を引く。

月見ぐさ夜さりの花の羞しさは一旬(いちじゆん)過ぎてさらに一旬

乗り換への階に手を添ふかにかくに二十五年を祝はれにけり

黄落の果てたる径の朝光を割きてつぎつぎランナーが過ぐ

形而下のことせめぎあふわがかたへカガリビバナもいつか崩れぬ

すぐそこに「死」が見えてゐし夜は去りてバラの切口火に燻しをり

街もろとも一瞬に爆ぜるかもしれぬ人ら歩むを見下ろしてゐつ

 残る歌集は、没後刊行の「翡翠のひかり」のみである。

2
写真素材集サイト「足成」より、

涼しげな滝の1枚を。

2012年8月 7日 (火)

写真集と歌集

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 先の8月4日(土)に、久しぶりに「BOOK OFF 米松店」へ行った。今年6月17日以来(記事あり)である。

 写真集「世界の猫カタログ」を買う。事情でペットを飼えないので、写真集で慰められたりしている。

 もの問いたげに見上げる瞳には、還暦2歳の僕も、可愛いと思う。

 なお「BEST43」となっているが、43種の内でも、毛色・模様の違いがあって、多くの系統がある。

 なお調べた所、このブログの2007年5月29日の記事「リヴァイアサン」の中に、犬の写真集「犬を選ぶためのカラー図鑑」購入の事が書いてある。

 もう1冊は、平田利栄・歌集「海の駅舎」である。「人」「滄」「華」所属。

 2001年、雁書館・発行。

2012年7月25日 (水)

三國玲子「晨の雪」

 短歌新聞社「三國玲子全歌集」より、5番めの歌集、「晨の雪」を読みおえる。

 原著は、1983年、不識書院・刊。500首。

 これらの歌の創られた時期、彼女は生活的には平安だったと思われる。

 しかし周囲の大事な人々の逝いた時期でもあった。

 父、姑、義兄、職場で深くかかわり合ってきた人々。そして短歌の師の鹿児島寿蔵。

 歌人は挽歌を創って、彼我の心を鎮めるものだが、詠いきれなかった、泣ききれなかった部分が、彼女の心にボディブローのように効いてきて、晩年の病気、自死という結末に至ったのだろうか。

 以下に6首を引く。

はつかにも蒲の絮飛ぶ日おもてに老いたるふたり黙して憩ふ

矜りかに孤立しをれとわが額(ぬか)に触れしは誰ぞ雪のあかつき

なりゆきをしかと見据ゑよ慌(あわ)つなといふのみの夫が今の支へぞ

白檀の印を刻みてたまひしは余生を測る父のこころか

吐きし血は黒く凝りぬ何の科(とが)ありてか姑のかくは苦しむ

ちちのみの父の畢(をは)りのひとひらを拾はむと待つ白き燈の下

2012年7月18日 (水)

少し買いました

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 一昨日(月曜日、海の日)に、「BOOK OFF 板垣店」へ行く。欲しいような本はなく、新しい作家の作品に入り込む勇気もなくて、DVD「踊る大捜査線 2 レインボーブリッジを封鎖せよ」を買った。

 昨日(火曜日、僕の指定休日)には、結社誌「コスモス」2012年8月号が届いた。

 また書店「KaBoS ワッセ店」へ行き、発売されたばかりの総合歌誌「歌壇」(本阿弥書店)2012年8月号を買った。

 同店内の古書店で、川上弘美「ニシノユキヒコの恋と冒険」(新潮文庫、2007年2刷)と、高村光雲「幕末維新懐古談」(岩波文庫、1995年2刷)を買った。

 この中で、内容を見たのはDVD「踊る大捜査線」だけだ。ネットや本から、ドラマへ移ると、実写版は妙にリアリティがある。僕が、ドラマに慣れていないせいも、あるだろう。

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