サスケの本棚

　柴雪子・第１歌集「ひとすじの道」（２００５年、ながらみ書房・刊）を読みおえる。彼女は「未来」所属。

　彼女の夫は、新婚１年３ヶ月で出征し（そのとき彼女は子を宿していた）、ついに還らなかった。彼女は、教職を勤めながら一人で息子を育て、その子も結婚し３人の孫がうまれた。

　しかし一人息子は、６年の癌闘病のすえ、５５歳で亡くなった。

　これほどの苦しみを味わいながら、歌集「ひとすじの道」の後書きで彼女は、「こんなに大勢のみなさんの温もりに支えられて生きて来たんだと実感いたしました。心から幸せ者と気付きました。」と述べている。

　短歌の功徳の大いさに、改めて驚嘆する。

　昨日に「コスモス愛知」第５２３号が、今日に「コスモス　第十宇宙花」が、家に届いた。

　室井滋（女優）の第３エッセイ集、「東京バカッ花」を読みおえる。彼女の、モノクロ・カラーの写真が多数載っているので、どの女優さんか、ようやくわかった。

　この本のエピソードは、学生時代、７年で中退した直後の、切実な話が多い。たとえば、大学４年の時に４８歳で亡くなった父の事など。かなりの文才があるようだ。

　ただしエッセイの話に、ついほろり、とするほど僕は甘くない。彼女の女優としての活躍を、願うのみである。

　エクセルによる、蔵書文庫本データベースへの入力が、１，３００件に到った。文庫本の蔵書は、２，０００件くらい、ありそうな気がする。

　１件につき、１３項目（だったかな）を入力するし（入力を終えたあと、整列させてさらに、２項目を追加の予定）、空いた時間に入力しているので、データベース化がなかなか進まない。

　いつ始めたのか覚えていないし、記録もない。今年じゅうに蔵書文庫本のデータベースが出来上がるかどうか、わからない。

　牧羊社「現代俳句選集Ⅵ－４８」和久田隆子・句集「遠江」（平成３年・刊）を読みおえる。

　彼女は昭和１０年生まれ、浜松市在住、俳誌「笹」創刊同人。

　「遠江」は、彼女の第３句集。この本は、以前に「BOOK OFF」で買ったのだが、前の読者による〇印、書き込みがたくさんあって、とても鑑賞しづらい。読者は、本に書き込みや線引きを、しないで貰いたいものだ、次の読者のために。研究用は別として。

　「ヨーロッパ１２句」と題する連作が優れているようだ。環境の変化は、新鮮な気持ちにさせるものか。

　「BBOK OFF」で、この牧羊社「現代俳句選集Ⅵ」シリーズ、全５７冊のうち、２０冊ほどを買ったが、おりおりに読んで、１冊を残すのみとなった。

　　拙作を１首。

鮮やかな作品ありて刺激にとなるゆゑ読めり句集あれこれ

　　　　　「コスモス」２００６－６月号より

　本阿弥書店の「歌壇」２００８－９月号を読みおえる。

　特集の「熟年世代、初秋に詠う」は、見方によっては熟年の自分は、岩田正さん、小島ゆかりさんの文章と、３０名×７首の作品を関心をもって読んだ。

　また、特別企画「私の古典の楽しみ方」も、日本古典を読むのが好きな自分は、期待をもって読んだ。

　河野裕子さんへのインタビュー「私の会った人びと⑮岡井隆」と、「千代國一・歌集『鳥の棲む樹』自選２００首」を、興深く読んだ。

　５名の巻頭作品（２０首ずつ）を含め、通常立ての作品も、もちろん。

　今号は、自分としては、１冊の多くを読んだ。

　「日本の古本屋」を通して、東京都の古本屋「八勝堂書店」に注文していた本、「鮎川信夫全集」８冊揃い（１９８９年頃、思潮社・刊）が届いた。箱、帯、月報揃い、本体にパラフィン紙カバー。

　鮎川信夫は、戦後詩をリードした「荒地」グループの主要メンバーで、詩作品もさることながら、理論面で戦後の詩界をリードした。

　以前に別に買った、全集第１巻「全詩集」を今、読んでいるところで、その詩が馴染んでくるので、詩論、時評など散文も読んでみたくなったのだ。近いうちに読みたい。

　値段も全集としては、手頃だった。

　写真は８冊の箱の背を並べたもの。