「ヘミングウェイ全短編2」
高見浩・訳「ヘミングウェイ全短編2」(新潮文庫、平成8年・刊)を(同「1」に続いて)読みおえた。
この集には、短編小説集「勝者に報酬はない(14編)」と、3編の中篇小説「世界の首都」、「フランシス・マカンバーの短い幸福な生涯」、「キリマンジャロの雪」が載せられている。
1928年に父親が拳銃自殺したあと、彼の小説に「死」が大きな主題として現れる。「世界の首都」では、スペインの貧しい真面目な少年が、あっけなく死ぬ様が描かれる。「キリマンジャロの雪」では、自身を思わせる作家の死が描かれる。なおこの小説の最後のどんでん返しは見事だが、純文学としてはどうだろうか。
短編「父と子」は、題名そのままの父から子へと受け継がれるものの物語である。
「フランシス・マカンバーの短い幸福な生涯」では、男女の不和がテーマだと思われる。2番目の妻ポーリーンと別れ、3番目の妻となるマーサ・ゲルホーンと行動を共にした時期の反映があるだろう。
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