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2008年12月の30件の記事

2008年12月10日 (水)

「ヘミングウェイ全短編2」

003  高見浩・訳「ヘミングウェイ全短編2」(新潮文庫、平成8年・刊)を(同「1」に続いて)読みおえた。

 この集には、短編小説集「勝者に報酬はない(14編)」と、3編の中篇小説「世界の首都」、「フランシス・マカンバーの短い幸福な生涯」、「キリマンジャロの雪」が載せられている。

 1928年に父親が拳銃自殺したあと、彼の小説に「死」が大きな主題として現れる。「世界の首都」では、スペインの貧しい真面目な少年が、あっけなく死ぬ様が描かれる。「キリマンジャロの雪」では、自身を思わせる作家の死が描かれる。なおこの小説の最後のどんでん返しは見事だが、純文学としてはどうだろうか。

  短編「父と子」は、題名そのままの父から子へと受け継がれるものの物語である。

 「フランシス・マカンバーの短い幸福な生涯」では、男女の不和がテーマだと思われる。2番目の妻ポーリーンと別れ、3番目の妻となるマーサ・ゲルホーンと行動を共にした時期の反映があるだろう。

2008年12月 9日 (火)

丹波真人・歌集「花顔」

003  丹波真人(たんば・まさんど)氏が下さった第3歌集「花顔」(2003年、不識書院・刊)を読みおえる。

 装丁は上品で、1ページ2首など、贅沢な作りの本である。

 「棧橋」96号の近江八幡批評会のおり、1泊めに同室となり、親しく語り合ったご縁で、お約束どおり歌集を送って下さったのである。

 美しいものに憧れる繊細な心が、社会との軋轢もありながら短歌を詠み出だすとき、鮮やかな自然詠や深い生活詠が生まれる。

 付箋をつけた作品より、以下に4首を引く。

風なくてたまさかに散る紅き葉のいちまいとどめ揺るる蜘蛛の巣

したがへて共に歩めるわれの影塀にちかづきつと立ち上がる

やまばとの優しく啼くを朝床に刻かけて聴く職やめし身は

口あけて夜も覚めずに臥す猫よけものといへど深む老いざま

2008年12月 8日 (月)

「歌壇」2008-12月号

003  綜合歌誌「歌壇」2008-12月号(本阿弥書店)を読みおえる。短歌作品をおもに読んで、評論などの散文はあまり読まなかった。

 年末企画として、「2008年、私の収穫」というアンケート結果が載っている。今年の優れた歌集として、高野公彦「天平の水煙」、伊藤一彦「微笑の空」を挙げる歌人が多い。

 また評論集としては、穂村弘「短歌の友人」、吉川宏志「風景と実感」が多く挙げられている。

 地元の「勝木書店ワッセ店」に、たまたま「短歌の友人」があったので(歌書としては、入門書が3、4種あるのみ)、手にとって読んでみたが、買って読み通すほどの気持ちは湧かなかった。

 「歌壇」12月号に、「コスモス」関係としては、狩野一男氏の「一年」12首が載っている。

2008年12月 7日 (日)

花と実

003 005  シャコバ・サボテンが、まずしいながら花を咲かせた。この株は、ここ2、3年、まともに咲かなかった。今年の何がよかったのか。

 クリスマス頃に咲くので、クリスマス・カクタスの別名がある。カクタスは、サボテンの意。

 ご褒美に、来春はこの株を、植え替えしよう。

 万両が、色づきはじめた。この株も、夏に下葉が落ちて、実つきがわるい。もっと実は赤くなるかもしれないが、そのまえに落ちてしまう可能性があるので、今のうちに写真をアップした。

2008年12月 6日 (土)

買った本、頂いた本

 最近に買った本、頂いた本を、日にち順に以下に列挙する。

  • パソコン誌「日経PC21」2009-1月号(近所のローソンで買った。僕には上級だが、これから毎月買おうかと思っている)
  • 石田衣良「アキハバラ@DEEP」文春文庫(JR近江八幡駅近くの「がんこ(堂?)書店」で買った)
  • 丹波真人・歌集「花顔」不識書院(ご本人が送ってくださった)
  • 「現代詩年刊2009」思潮社(「勝木書店ワッセ店」にて。毎年、買うことにしている。資料的にも貴重。)
  • 馬場あき子・NHK取材班「秘宝 三十六歌仙の流転 絵巻切断」日本放送出版協会(「古書センター」にて。三十六歌仙絵巻に興味があったので)

2008年12月 5日 (金)

相馬沙緻・句集「二輪草」

007  牧羊社「現代俳句選集Ⅵ-46」相馬沙緻・句集「二輪草」(平成3年・刊)を読みおえる。

 箱、帯、本体にパラフィン紙カバー。1ページ2句、188ページ。

 著者は新潟県・在住、俳誌「海」同人。

 彼女の作品には、北陸の女性らしい、気丈さと優しさがある。

 以下に4句を引く。

奥山に雪解はじまる川の音

繕ひし泥まだ濡れて燕の巣

ペアルック着て若者の盆帰省

谷住みの降るも晴るるも雪嶺より

2008年12月 4日 (木)

「コスモス」2008-12月号

 歌誌「コスモス」2008-12月号を読みおえる。

 初めから「COSMOS集」までと、「新・扇状地」、他少々。

 皆さんの作品を読んでいると、自分の作歌の励みになる。

 「その二集」特選欄では、東京の岩崎佑太さんを始め、「コスモス」の未来を担うであろう若者たちが活躍していて、頼もしい。

2008年12月 3日 (水)

2008ユーキャン新語・流行語大賞

 一昨日に、「2008ユーキャン新語・流行語大賞」が発表された。

 天海裕希「アラフォー」と、エド・はるみ「ぐ~」である。

 「アラフォー」は「アラウンド40(フォーティ)」の略で、40歳前後の女性を指す。

 「ぐ~」は、「good」の意である。

 この2語を僕は、今回の発表(ヤフーのニュースにて)で、初めて知った。

 僕はテレビを観ないし(当地では日曜正午より放映の「何でも鑑定団」と、そのあとの「NHK杯囲碁選手権戦」のみは観る)、家で取っている地方新聞は読まないし、ましてや週刊誌を読むこともない。

 囲碁・将棋の新手・新型(特異な例だが)と違って、流行語はほとんどすべて、すぐに忘れられるものだ。

2008年12月 2日 (火)

公孫樹の落葉

002  去年の今ごろ、このブログに庭の公孫樹の黄葉をアップしたので、今年はその落葉をお目にかける。

 葉が濡れているので、あまりきれいに写っていない。

 公孫樹は裏庭に生えているが、大木なので、落葉が前庭にまで散らばっている。

 「コスモス」に入会したての10数年前には、この落葉を押し葉して栞に使ったが、今はそんな悠長な事はしていない。葉の成分が、紙魚よけになるらしい。

 銀杏の実は、今年は10個くらいしか落ちていなかったので、放ったままにしておいた。

2008年12月 1日 (月)

沢村貞子「寄り添って老後」

002  女優の故・沢村貞子のエッセイ集「寄り添って老後」(1991年、新潮社・刊)をよみおえる。

 著者は執筆前年に女優を辞め、執筆中に東京から横須賀の海の見えるマンションに引越している。

 事業を譲った夫とふたり、老後ののびやかな生活を送ったようだ。

 エッセイでは、老いの哀感と心意気をユーモアにくるんで描いて、老境私小説より面白いのではないか。女優としてのドラマを(ほとんどテレビで)、僕が少し知っているせいもある。

 彼女は1996年、87歳で亡くなった。調べてはないが、このエッセイ集が、彼女の最後の著書ではないか。

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