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2016年8月の30件の記事

2016年8月21日 (日)

橘曙覧「襁褓艸」

 kindle本「橘曙覧全歌集」より、第2集「襁褓艸」を、タブレットで読みおえる。

 第1集「松籟艸」は、8月3日の記事(←リンクしてある)で紹介した。

 このkindle版では、詞書(ことばがき)が元のままのようで、それらを省略した幾つかの全歌集註釈版に優るようである。

 まれに国粋的な歌があって、戦時中に利用されたかと思う。

 以下に5首を引く。

朝かぜにゆられて落(おつ)るささ栗に小笠(おがさ)うたるる秋のみ山路

はしたなくしか鳴(なき)たてて山里の垣ねすぎゆく此夜ごろはも

見に来よときのふいひける山寺のもみぢゝりぬと聞くはまことか

一日経ば一日近づく故さとの空なつかしみ道いそぐらむ

さき出(いで)てまだいはけなきをみなへしいかでか君にまかせらるべき

Photo「フリー素材タウン」より、夕陽の1枚。

2016年8月20日 (土)

「コスモス」9月号「月集」読了

 8月15日の記事(←リンクしてある)で紹介した歌誌2冊の内、結社歌誌「コスモス」2016年9月号の、作品欄トップ「月集」を読みおえる。

 ここで「月集」と呼ぶのは、「今月の四人」「月集スバル」(2つは選者、選者経験者の欄)、「月集シリウス 特別作品」(12名×5首)、「月集シリウス」(4首or5首)の、4欄の事である。

 「月集シリウス 特別作品」には、柏崎氏夫人の挽歌、K・絢さんの出産の歌もあって、心うたれる。

 僕が付箋を貼ったのは、次の1首。「月集シリウス」のM・則子さんの5首より。

軒は鳩、納戸は守宮と住み分けて夫の生家の店子となれり

 人間も住み分ける事に足らえば、争いはごく少なくなる筈だが。

Photo「フリー素材タウン」より、ひまわりの1枚。

2016年8月19日 (金)

「日本の天然記念物 1」

Cimg8982  写真集として、「世界の博物館」(講談社、全23巻)が過ぎたので、同じ講談社の「日本の天然記念物」(全6巻)より、「1 動物 Ⅰ」を見おえた。

 A4判よりわずかに大きい、大型本である。1984年・2刷。

 僕は絶滅危惧種の本(できれば写真集)が欲しい時期があったのだが、高価過ぎたので、少し趣旨が違うが、このシリーズを買って、眺められる時期を待っていた。

 この巻では、哺乳類、鳥類を収めている。

 おっとりしたカモシカから始まり、鹿、猿の生息地、イリオモテヤマネコ等の離島の哺乳類、等が紹介されている。

 鳥類では、白鳥、鶴の類からワシタカ類、海鳥の生息地、等。

 家畜・家禽では、野性馬、秋田犬等の日本犬、オナガドリ等の在来鶏、等が紹介されている。

 なお僕は、自然保護活動を目指す意図はない。

2016年8月18日 (木)

ムクゲ2種とミニ薔薇

Photo

Photo_2

 庭では、ムクゲ(木槿)の花が、盛りである。

 左の写真は、白花八重。白花の花笠咲きに、バイラスが入ったのかも知れない。

 右の写真は、自然生えの花。左の白八重と、赤花一重の、交雑かも知れない。

Photo_3

 左の写真は、夏のミニ薔薇。

 花は小さく、色も淡いが、季節を考えれば、致し方ない。

茨木のり子「見えない配達夫」

 花神社「茨木のり子全詩集」(2013年・2刷)より、第2詩集「見えない配達夫」(1958年、飯塚書店・刊)を読みおえる。

 第1詩集「対話」は、先の8月12日の記事(←リンクしてある)で紹介した。

 「真夏の夜の夢」では、「その臭さ 醜さ/ああ いっそせいせいする/ホモ・サピエンスというものは/おしなべて同じ愚鈍の 飽きっぽい/忘れっぽい ぐうたらべえの種族なんだ」と、知識人による大衆蔑視を明らかにする。同編の日本の未来への希望も、進歩的詩人の力では、どうにもならなかった。

 「わたしが一番きれいだったとき」は、美しい1編だ。長生きに未来を託すのは、少し変だけれど。

 「怒るときと許すとき」は、結婚した女性の愛情と悲しみと決意を描いている。現今の女性首長、国家元首の時代を先取りしたようだ。

Photo「フリー素材タウン」より、ひまわりの1枚。

2016年8月16日 (火)

金子兜太「少年」

 角川書店「現代俳句大系」第10巻(1972年・刊)より、17番めの句集、金子兜太「少年」を読みおえる。

 先行する加藤楸邨「山脈」は、先の8月11日の記事(←リンクしてある)にアップした。

 原著は、1955年、風発行所・刊。497句。

 「少年」は、共著を除いて、金子兜太(かねこ・とうた、1919年~)の第1句集であり、後年の発展・活躍を細かく知らない僕は、その点からの評価は成しにくい。

 以下に5句を引く。

わらんべの蛇投げ捨つる湖の荒れ

パンの実の灯を得て青し手紙開く

方々にひぐらし妻は疲れている

河氷り橋脚汚れ吾等生きる

共に小さき妻子の冷えた手を握る

Photo「フリー素材タウン」より、ひまわりの1枚。

2016年8月15日 (月)

歌誌2冊

Cimg8976

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 Amazonに予約注文してあった、総合歌誌「歌壇」(本阿弥書店)2016年9月号が、8月12日に発送案内があり、翌13日(土曜日)に届いた。

 読みおえたなら、ここで紹介したい。

 同日、同誌の10月号を予約注文した。

 また同時に、結社歌誌「コスモス」2016年9月号が届いた。通常は17日くらいに届くので、驚いた。盂蘭盆会の関係で、毎年8月は、早く届くのだった。

 僕の歌は、10首出詠の内、3首選だった。内容は、もう1つのブログ「新サスケと短歌と詩」の、8月14日付け記事(←リンクしてある)に横書きながらアップしたので、ご覧ください。

2016年8月14日 (日)

「コスモス」8月号「その一集」読了

 結社歌誌「コスモス」2016年8月号より、「その一集」通常蘭(特選欄・以外)を読みおえる。

 同・「COSMOS集」読了は、先の7月30日付けの記事(←リンクしてある)にアップした。

 「その一集」と「月集シリウス」の間に、もう1クラスを作って、「その一集」の過密を解消したら、どうだろうか。

 僕が付箋を貼ったのは、次の1首。I・光正さんの4首より。

バイオにて化けし色濃き花避けて岡虎尾買ふ地下の花屋に

 僕は大輪の華やかな花を買いがちだが、上の1首も1見識と思う。助詞の省略を補って読めるのは、読む側の修練故だろうか。

Photo「フリー素材タウン」より、ひまわりの1枚。

2016年8月13日 (土)

竹山広「地の世」

 ながらみ書房「定本 竹山広全歌集」(2014年・刊)より、第10歌集「地の世」を読みおえる。

 第9歌集「眠つてよいか」は、今月6日の記事(←リンクしてある)で紹介した。

 「地の世」は、2010年、角川書店・刊。304首。

 「地の世」は、2010年に90歳で亡くなった竹山広の遺歌集である。

 前年、「現代短歌大賞」を受賞している。

 「十字架上のおんくるしみの末端に加へたまへと祈りたり今日は」の1首があるごとく、善悪の意味で、敬虔なクリスチャンだった。歌にはあまり詠まなかったけれども。

 このあと全歌集には、すべての歌集の解題、略年譜、初句索引、全歌集*目次細目、等を収めている。

 以下に7首を引く。

臍を見て妻が戻しし南瓜はどなたの腹にをさまりたらん

介護3に格上げされて横たはる未明を走り去るオートバイ

のぼるかと見えし園児ら陸橋の下に並びて別れゆきたり

床上に飯を食はむと起きて座ることにさへわが妻にすがるを

図書館に並べられゐむわが本よ誇らしき顔を見せつつ並べ(注・蔵書一切を譲って)

妻としてありしこの世の歳月のくるしかりにしこころを語れ

歌人としてここまで至りえしことをわが生涯のよろこびとせよ

Photo「フリー素材タウン」より、ひまわりの1枚。

2016年8月12日 (金)

茨木のり子「対話」

Cimg8964 花神社「茨木のり子全詩集」(2013年・2刷)より、第1詩集「対話」を読みおえる。

 全詩集の購入は、今年2月27日の記事(←リンクしてある)にアップした。購入に至る経過を書いたので、是非読んでいただきたい。

 「対話」は、1955年、不知火社・刊。

 彼女は1926年、医師の長女として生まれ、19歳の時に敗戦、23歳で医師と結婚。

 24歳頃に「詩学研究会」に投稿を始め、1953年(27歳頃)に詩誌「櫂」創刊に参加。第1詩集の発行に続く。

 「根府川の海」では、動員時代への哀憐と反発心を描く。

 「ひそかに」では、「ついに/永遠の一片をも掠め得なかった民族よ」と、帰還兵を嘆くけれども、戦後文学の隆盛を、否定する気持ちがあったのだろうか。

 「或る日の詩」「小さな渦巻」が、詩作を語るに至る作品なのは、初期過ぎて危ぶむ。

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