カテゴリ「読んだ本」の1643件の記事 Feed

2016年7月19日 (火)

竹山広「遐年」

 ながらみ書房「定本 竹山広全歌集」(2014年・刊)より、第7歌集「遐年」を読みおえる。

 第6歌集「射禱」は、先の7月10日の記事(←リンクしてある)にアップした。

 「遐年」は、2004年、柊書房・刊。650首。なお題名は「長生き、長命、長寿」等の意である。

 健康の不安(原爆被爆症を含めて)がありながら、詠いぶりは自在さを増しているようだ。

 イラク戦争を詠んだ35首連作「茶の間の戦争」がある。

 以下に7首を引く。

そんなにも赤くりつぱな唇に仕上げて何を言ひにきたのか

八月も九月も臥して末の子が買ひてくれたる甚平も着ず

束ねたるいのちをビルに射込むまで迷ふをゆるさざりし憎悪や

晩酌をやめし理由を問ひくるる人も絶えたり一年過ぎぬ

差し出だす手に電話機を渡すとき芹の香のする妻とおもひき

あはれひとも時代病めりと歌ひをり病まぬ時代のあるもののごと

ストーブに焼きて朝夕食ふ餅のあな飽かずよと呆れつつ食ふ

Photo

「フリー素材タウン」より、山景の1枚。

2016年7月17日 (日)

「その二集」読了

 結社歌誌「コスモス」2016年7月号より、「その二集」を読みおえる。

 先行する「あすなろ集」の読了は、昨日の記事にアップした。

 これで「新・扇状地」(2名×15首)を含め、今号の通常の短歌は、すべて読みおえた事になる。

 「その二集」は、入門欄であり、誰もがここから始まる。未来が待っている。

 僕が付箋を貼ったのは、次の1首。S・仁さんの3首より。

花冷えの所為にし妻ははにかみつつ腕からめくる夜ざくらの下

 仲の良いご夫婦で、あてられる。

Photo「フリー素材タウン」より、山景の1枚。

2016年7月16日 (土)

「あすなろ集」読了

 結社歌誌「コスモス」2016年7月号より、「あすなろ集」の作品を読みおえた。

 先行する「その一集」読了の記事(←リンクしてある)は、先の7月11日にアップした。

 「あすなろ集」の会員数は、少しずつ増えているかも知れない。

 好悪両面で若さがあるので、僕の良い刺激になる。

 「少し努力すれば昇級できる」と言われており、昇級を含めて励まれたい(僕の場合を含めて)。

 僕が付箋を貼ったのは、次の1首。T・麗子さんの3首より。

手料理を持ち寄る五人花見とはほど遠きカラオケパーティとなる

 ふだんの不満が噴き出して、カラオケパーティで盛り上がったのだろう。

Photoフリー素材サイト「Pixabay」より、朝顔の1枚。

2016年7月15日 (金)

小池光「思川の岸辺」

Cimg8928 先の7月7日の記事(←リンクしてある)で、購入を紹介した、小池光・歌集「思川の岸辺」を読みおえる。

 角川書店、2016年・2版。542首。

 第67回・読売文学賞・受賞。

 夫人を亡くした挽歌集として、絶唱もあるが、出版サイドの煽りもあったようだ。

 娘さんの結婚、お孫さんとの交流、常の猫との暮らしなどが詠まれる。

 歌集の真中あたりか、「六十を過ぎしころより明らかにわが幸運は続かずなりぬ」と嘆いたが、本歌集によって読売文学賞を受賞している。

 以下に7首を引く。

 収載歌数も多く、たくさんの付箋を貼ったのだが、例に付いて7首に絞った。

ひよどりの水浴びをするありさまを突然みては妻とわれわらふ

ちちははとはらからとのみ集ひたる簡素の宴に時は流れて

母親となりたる志野をみるときに志野かはゆしとせつにおもへり

白鷺の眠る木ありてことしまた白鷺ねむるきみはなくとも

ああ和子悪かつたなあとこゑに出て部屋の真ん中にわが立ち尽くす

「ブ!」といひてブロッコリーに食ひつける二歳の孫をわが持てりけり

一日に九時間ばかりも眠るわれくるしみやまぬ夢を見ながら

 

2016年7月13日 (水)

若山牧水「その他の随筆など」(2)

 kindle本「若山牧水大全」第3部「その他の随筆など」の後半を読みおえ、2回めの記事アップをする。

 同(1)は、先の6月27日の記事(←リンクしてある)にアップした。

 今回に読んだのは、「水郷めぐり」~「湯槽の朝」の17編である。童謡集「小さな鶯」、小説「古い村」等を含む。

 重厚な紀行文は、山岳文学(僕は読んではいないが)に入るのではないだろうか。

 これでkindle本「若山牧水大全」のすべてを読みおえた事になる。

Photoフリー素材サイト「Pixabay」より、朝顔の1枚。

2016年7月12日 (火)

山田航・編著「桜前線開架宣言」(2)

 山田航・編著「桜前線開架宣言」を読みおえ、2回めの記事アップをする。

 同(1)は、先の7月5日の記事(←リンクしてある)にアップした。

 同書は、2015年、左右社・刊。

 今回、僕が読んだのは、1980年代生まれ歌人19名、1990年代生まれ歌人2名の、各56首だった。

 世代の違いは、歌の感興の違いが大きい。1980年前後生まれの歌人に少し共感するのは、一人息子の世代だからだろうか。

 他に2首、付箋を貼った。加藤千恵「傷ついたほうが偉いと思ってる人はあっちへ行って下さい」。服部真里子「人の手を払って降りる踊り場はこんなにも明るい展翅版」。

Photo_2

フリー素材サイト「Pixabay」より、朝顔の1枚。

2016年7月11日 (月)

「その一集」読了

 結社歌誌「コスモス」2016年7月号より、「その一集」を読みおえる。

 「その二集」と「あすなろ集」の特選欄である「COSMOS集」は、先の6月30日の記事(←リンクしてある)にアップした。

 いつもは「その一集」の途中で、「コスモス」次号が届き、ここへは記事アップしないのだが、今号は読みおえられた。

 「その一集」は会員が多く、「コスモスの吹き溜まり」とも呼ばれ、桶の中の鰻のような感じだ。「その一集」より「月集シリウス」へ昇級する会員に比べ、「あすなろ集」より「その一集」へ昇級する会員の数が圧倒的に多い。愚痴を話しても致し方ない。

 僕が付箋を貼ったのは、次の1首。A・清さんの3首より。

爆買ひの「爆」の字面のうとましさ空爆に遭ひし世代の吾は

 同じ言葉でも、経験により、受け取り方が違うものだ。

Photoフリー素材サイト「Pixabay」より、朝顔の1枚。

2016年7月10日 (日)

竹山広「射禱」

 ながらみ書房「定本 竹山広全歌集」(2014年・刊)より、第6歌集「射禱」を読みおえる。

 第5歌集「千日千夜」は、先の7月2日の記事(←リンクしてある)にアップした。

 歌集「射禱」は、2001年・刊の生前版「竹山広全歌集」に未刊・第6歌集として収録された。457首。

 「全歌集」により斎藤茂吉短歌文学賞、「射禱」により詩歌文学館賞、迢空賞を受賞した。

 80歳を越え、自らの老いを意識した歌が多いようだ。

 以下に7首を引く。

植ゑて三年待ちたる梅の二つ咲き三つ咲き今朝は八つをかぞふ

孫よわが幼きものよこの国の喉元は熱きものを忘れき

右ひだり近視度の差の縮まらぬ老いてしぶときふたつのまなこ

曲らなくなりしは骨か筋肉か斯かるからだを足に運ばす

この橋かどうかためらひゐたるまにルーズソックスは渡り終りぬ

核の世をつひに無力に生きたりとおもふ朝より汗によごれて

まゐつたと言ひて終りたる戦争をながくかかりてわれは終りき

Photoフリー素材サイト「Pixabay」より、朝顔の1枚。

2016年7月 6日 (水)

「故宮博物院」

Cimg8925 講談社「世界の博物館」(全23巻)より、第21巻「故宮博物院」(1989年6刷)を見おえる。

 第20巻「インド国立博物館」は、先の6月18日の記事(←リンクしてある)にアップした。

 台湾の故宮博物院の写真集は多いが、この本は中共の故宮博物院の紹介で、貴重である。

 紫禁城など建築と内部の紹介にページを多く費やしている。

 僕の興味のある、玉(ぎょく)、唐三彩、書などは紹介されているものの、点数が少なくて惜しい。

 古代の青銅器が、印された文字とともに、関心を引く。

 178ページ、写真387枚(カラー、モノクロを交え)。

2016年7月 5日 (火)

山田航・編著「桜前線開架宣言」(1)

Cimg8668 昨年12月28日の記事(←リンクしてある)で、購入を報せたままだった、山田航・編著「桜前線開架宣言」を、ぼちぼちと読む。

 2015年、左右社・刊。1970年以降生まれの40歌人を、それぞれ56首と解説で紹介している。

 今回読んだのは、1970年代生まれの、大松達知より光森裕樹に至る、19歌人である。

 いわゆるニューウェーブと呼ばれる歌人の作品に、関心はあるが、心酔する事はない。

 著者は、寺山修司から短歌に入ったと書いているが、僕は石川啄木から入った、旧い歌詠みである。

 あと21歌人が残り、これからも読みゆき、ここで紹介したい。

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