カテゴリ「読んだ本」の1643件の記事 Feed

2016年7月 2日 (土)

竹山広「千日千夜」

 ながらみ書房「定本 竹山広全歌集」(2014年・刊)より、第5歌集「千日千夜」を読みおえる。

 第4歌集「一脚の椅子」は、先の6月28日の記事(←リンクしてある)にアップした。

 「千日千夜」は、1999年、ながらみ書房・刊。486首。

 阪神淡路大震災など時事を詠むのは、被爆、敗戦の体験を経て来ていることが大きいのだろう。

 生活詠が豊かだが、人生を振り返る詠も多くなる。

 以下に7首を引く。

居合はせし居合はせざりしことつひに天運にして居合はせし人よ

戦ひし十五年戦はぬ五十年過ぎて思へば是非あきらけく

若き死を羨みしことかつてなし力尽きはてて死ぬべきわれは

寝たきりになりて長生きする夫を死ねよと思はざるはずのなし

切支丹の芋喰らひよと嘲られことばなかりし少年も老ゆ

何をなし終りてそこに置かれたる電話の横のモンキースパナ

癒えて帰るわれを疑はず待ちくれし三千日のかけがへもなし

Photo「フリー素材タウン」より、蓮の1枚。

2016年7月 1日 (金)

「梅崎春生全集」第2巻(3)

 沖積舎「梅崎春生全集」第2巻より、3回めの紹介をする。

 同(2)は、6月4日付けの記事(←リンクしてある)にアップした。

 今回、僕が読んだのは、「ある顛末」、「贋の季節」、「亡日」の3短編である。

 「ある顛末」、「贋の季節」は、戦後の窮乏と荒廃の様を、特殊なシチュエーションで描いたものであろう。後者は、皮肉が籠もっているかも知れない。

 「亡日」は、召集令状が来たその日に、出征用酒配給切符で得た酒を携えて、旧友を訪ねて酔う話である。二人とも、日本の敗戦を信じていて、暗い酒となる。

Photo「フリー素材タウン」より、蓮の1枚。

 

2016年6月30日 (木)

「COSMOS集」読了

 結社歌誌「コスモス」2016年7月号より、「COSMOS集」を読みおえる。

 その前の「その一集」特選欄・読了は、先の6月25日の記事(←リンクしてある)にアップした。

 「COSMOS集」は、「その二集」と「あすなろ集」の特選欄である。この集が、「コスモス」で最も元気があるようだ。

 特選ではないが、「あすなろ集」昇級してすぐ亡くなられたT・加寿美さん(わがF支部会員)の4首が、名前に故を付されて載った。

 僕が付箋を貼ったのは、次の1首。T・泉さんの「陽と風」5首より。

子の口にスプーン運べり被災地へ物資とどくる人が発つ日も

 共に、命を大事にすることでは同じである。

Photo「フリー素材タウン」より、蓮の1枚。

2016年6月28日 (火)

竹山広「一脚の椅子」

 ながらみ書房「定本 竹山広全歌集」(2014年・刊)より、第4歌集「一脚の椅子」を読みおえる。

 前の第3歌集「残響」は、6月14日の記事(←リンクしてある)にアップした。

 「一脚の椅子」は、1995年(75歳)、不識書院・刊。449首。

 1996年、歌集「一脚の椅子」により、第4回「ながらみ現代短歌賞」を得ている。

 彼はスロースターターだったが、確実に実績を積んだ。

 以下に7首を引く。彼は生活詠にも優れている。

はづしたる眼鏡を枕べにおけば心得て眼の眠らむとする

ビール一本もて余すわれに加勢して計らひのなく妻の酔ひゆく

三週間のべ五万機の空爆に耐ふるはいかなる怒りにかあらむ

この道に斑猫の飛ぶころとなり通院の足歩歩をよろこぶ

(を)ざかりとなりし二人子盆にきて四日もゐるといふではないか

原爆の傷痕(きず)にておのがなきがらと決められゐたり暁(あけ)の眠りに

ゲートルに巻き締められしことのなき脛をならぶる駅伝走者

Photo「フリー素材タウン」より、蓮の1枚。

2016年6月27日 (月)

若山牧水「その他の随筆など」(1)

 Amazonのkindle本「若山牧水大全」の第3部「その他の随筆など」より、初めの10編をタブレットで読みおえる。

 前回の同「樹木とその葉」(3)は、先の6月22日付け記事(←リンクしてある)にアップした。

 第3部が「随筆など」とある通り、今回の10編(「秋草と虫の音」~「姉妹」)にも随筆だけでなく、小説風の「一家」、小説の「姉妹」、写生文風の「鴉と正覚坊」、重厚な紀行文である「熊野奈智山」「木枯紀行」などを含む。

 書かれた時期はわからない。

 なお第3部は、全27編である。

Photo「フリー素材タウン」より、蓮の1枚。

2016年6月26日 (日)

「トラークル全集 Ⅷ 書簡」(1)

 青土社「トラークル全集」(1987年・刊)の「Ⅷ 書簡」より、1回めの紹介をする。

 同「Ⅶ 遺稿(戯曲ほか)」は、今年5月19日の記事(←リンクしてある)にアップした。

 収められている全145通の書簡の内、年代順に初めより、32通を読みおえる。

 1通めの、ギムナジウム時代の友人、カール・フォン・カルマー宛ての手紙で既に、「…残念ながら ぼくは又、クロロフォルムに逃げてしまった。…ぼくにはもう、破滅が間近に見えているのだから。」と書いている。

 彼はギムナジウムを退学した後、薬局での3年間の薬剤師見習いを経て、ウィーンの大学で2年間学び、薬学のマギスターとなる。

 幼い時からの親友、エルハルト・ブシュベックが、トラークルを励まし続けたようで、トラークルは数十通の書簡を送った。

Photo_2

「フリー素材タウン」より、蓮の1枚。

 

2016年6月25日 (土)

「その一集」特選欄・読了

 結社歌誌「コスモス」2016年7月号の、「その一集」特選欄を読みおえる。

 「その一集」特選も、在クラス会員数が増えて、難関になっているようだが、どうか。

 僕が付箋を貼ったのは、次の1首。O・康子さんの5首より。

先生の病を具(つぶさ)に知らざればわが信じゐき再会の日を

 「先生」とは、Oさんと同県の選者で、4月15日に亡くなられた、柏崎驍二氏である。特選5首とも、挽歌である。

Photo「フリー素材タウン」より、蓮の1枚。

2016年6月24日 (金)

kindle版「立原道造詩集」4読

 Amazonよりダウンロードした、kindle版「立原道造詩集」を、タブレットで4読しおえた。

 同・3読は、今年1月31日の記事(←リンクしてある)にアップした。

 今回に読んだ中では、心理的抵抗より心理的敗北感のある作品に惹かれた。公式的に区切ってはいけないけれども。

 青年の純粋な心には、時代の影が鮮やかなのだ。

 彼は、肺結核を自覚し、早い死を予感していたような所がある。

Photo「フリー素材タウン」より、蓮の1枚。

2016年6月22日 (水)

若山牧水「樹木とその葉」(3)

 Kindle本「若山牧水大全」より、随筆集「樹木とその葉」を3回めで読みおえる。

 なお同(2)は、6月13日の記事(←リンクしてある)にアップした。

 間に挟まれた7編の詩以降、「酒の讃と苦笑」~「自然の息自然の聲」「跋」に至る随筆22編である。

 自跋でも「註文を受けて書いたものばかりである。…幼く且つ拙いものゝみである。」と書いている。紙誌に歌人のエッセイを載せると、歌を詠む人以外の読者も得られたのだろう。

 酒の話、家族の話などもあるが、紀行文に優れていた。

Photo「フリー素材タウン」より、蓮の1枚。

2016年6月20日 (月)

「歌壇」7月号

Cimg8897 6月17日(3日前)の記事で紹介した歌誌2冊のうち、総合歌誌「歌壇」(本阿弥書店)2016年7月号を読みおえる。

 特集は「破調が短歌にもたらすもの」である。

 僕は句割れ、句跨りの歌は、作った事があるが、意図的な字余り、字足らずの歌は作らない。「57577」に収まれば、短歌は内容、形式、何でも有り、という考えである。

 インタビューも2回目となって、高野公彦(以下・敬称略)が、「コスモス」編集室分室初代住込みとなる経緯、ペンネームの経緯など、詳しく語られている。

 水原紫苑の作品連載が7回目となる。歌壇より時代への生贄のような気がするが、そうでないかも知れない。

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