カテゴリ「歌書」の467件の記事 Feed

2014年10月19日 (日)

「あすなろ集」読了

 結社歌誌「コスモス」2014年10月号の「あすなろ集」(既読の特選欄を除く)を読了する。

 今月10月15日の記事、「その一集」読了、に継ぐ。

 すでに同誌11月号、総合歌誌「歌壇」11月号が届いており、そのあとの「その二集」は読めない。

 「あすなろ集」では、言葉が稚い作品もあるが、それだけフレッシュさもあるという事で、それを失くさないで成熟へ向かってほしい。

 僕が付箋を貼ったのは、次の1首。新潟県のK・清さんの作品(140ページ下段)から。

介護四の八十六の妻を看る九十二のわれ老老介護

 事実を並べて、現代社会の厳しい1面を見せ、作者の優しさも窺わせる。

Photoフリー素材サイト「足成」より、とうもろこしの1枚。

2014年10月18日 (土)

歌文集「やまぐに」

 大和書房「斎藤史全歌集」(1998年5刷)より、歌文集「やまぐに」を読みおえる。

 先月9月12日の記事(←リンクしてある)、未刊歌集「杳かなる湖」に継ぐ。

 原著は、1947年、臼井書房・刊。

 18章150首(のちに145首)の短歌に、12編の随筆を挿んでいる。1946年の作品である。

 1945年に長野県に疎開し、終生住むこととなった地での、戦後出発の短歌を読める。

 酷寒の物資乏しい地での厳しい生活と、鍋・釜が買え塩の配給が貰える、復活の希望が、詠まれたと僕は考える。

 以下に6首を引く。

白梅のことしも咲くと目にとめて言ひつくしがたき思ひもあるを

伏せ馴れしまぶたを上げてみづみづし春至り来る山河を見む

(う)せはてし想ひをたどるりんご樹の花あかり道すでに昏(くら)みぬ

土よごれ染みたる顔をいら立てて野良の女になりきれず我は

若き等の踊りのむれにまぎれ入り手打ちはやせばたのしきに似る

あくせくとわれの日毎の手仕事よ冬すでに近む雑草の色

(注:旧漢字を新漢字に替えた所があります)。

Photoフリー素材タウンより、菊の1枚。

2014年10月15日 (水)

「その一集」読了

 結社歌誌「コスモス」2014年10月号の、「その一集」を読みおえる。

 先の9月26日の記事(←リンクしてある)「『コスモス』10月号」で、「月集スバル」「月集シリウス」、各集・特選欄等の読了を、報告して以来である。

 今回はペースが遅いので、次号が来るまでに、今号を全部読みおえるのは無理だろう。

 今回、僕が付箋を貼ったのは、次の1首。石川県のK・啓子さんの作品(68ページ・上段)。

ヨガでする死体のポーズの五分間に眠る人あり鼾のきこゆ

 現実の死が、眠るように安らかであれば良いのだが。

Photoダウンロード・フォト集より、黄葉の1枚。

2014年10月 4日 (土)

「歌壇」10月号

Cimg8024 総合歌誌「歌壇」(本阿弥書店)2014年10月号を読みおえる。

 巻頭20首の歌人では、尾崎左永子さんを信頼している。

 この「歌壇」でだったか、日本古典(「栄花物語」だったか?)の現代語訳を連載していて、しっかりした訳だと、周囲の事はおぼろだが、感じた覚えがあって。

 人は妙なところから、信頼を得るものだ。

 特集「四国と淡路島の旅のうた――西行と白峯伝承」を読む。

 佐佐木幸綱の総論「西行の四国の旅」に力量を感じた。「佐佐木幸綱の世界」全16巻から、僕は歌集篇のみ買って読んだから、評論には接していなかった。

 それに次ぐ7氏の8首と小文では、身内を贔屓する訳ではないが、米田靖子さんの「日照雨」8首と小文「カブトエビ」に最も惹かれた。

 伝承に言及すること少なく、眼前の景を詠みながら、古えを偲ばせる。

2014年9月28日 (日)

伊勢方信「月魄」

Cimg8014 角川書店の「21世紀歌人シリーズ」より、伊勢方信「月魄」を読みおえる。

 2008年・刊。1首1行、1ページ2首組、231ページ。

 伊勢方信(いせ・ほうしん)第6歌集、「月魄(げっぱく)」403首。

 彼は「朱竹」代表、「笛」会員、他、文学上の様々な役職を担っている。

 嵐の予兆を告げる叫びではなく(勝手な言い分だが)、6年後の今は、滅びゆくものへの優しい挽歌がふさわしいと、ここのところ読んでいる立原道造のソネットの連想で思う。

 ただし自分だって、まだまだ生き延びる積もりではいるのだが。

 以下に6首を引く。

旱魃のダム湖の底ひに光りゐる水が小さき皺をひろぐる

合歓はやも散りてしまへり観音の肩にさはなる蕊を降らして

バーゲンのバッグ求めて重ね貼りの値札はづすを妻はたのしむ

槌の跡尖りてかなしとベルリンの壁の残片みやげに貰ふ

死のかたち美に遠き世をミイラ化と語尾あげて告ぐアナウンサーは

どんでんがへしなきしあはせを歩みきて踏む霜柱音なく崩る

2014年9月26日 (金)

「コスモス」10月号

 今月16日に届いた、結社歌誌「コスモス」2014年10月号の、いつもの所を読みおえた。

 初めより「その一集」特選欄まで、「COSMOS集(「その二集」「あすなろ集」の特選欄)」、「新・扇状地(2名×15首)」など。

 新と真を追求してやまない集団である。

 僕が付箋を貼ったのは、次の1首。「月集 シリウス」より、神奈川県のK・絢さんの作品(18ページ下段)。

結婚式などを行ふ三十も半ばのわたし落ち着いてゐる

 彼女とは、季刊同人歌誌「棧橋」の批評会で会い、親睦会でお酒を注いだ事もある。お酒を控え、幸せな生活を過ごしてください。

Photo「フリー素材タウン」より、菊の1枚。

2014年9月24日 (水)

I・寿和子「連鶴 その二」

Cimg7978 1昨日の記事に書いた通り、「コスモス短歌会F支部」10月歌会の直前、支部・最高齢(96歳)のI・寿和子さんが、支部退会の挨拶にみえた。

 そのおりに支部に託された歌集「連鶴 その二」2部のうち、1部を最初に僕が読ませてもらった。

 写真では、姓にあたる所を、紙片で隠してある。

 軽装版、41ページ。

 「コスモス」掲載歌、「文化書道 短歌部」入選作品、「コスモス」支部・出詠歌、他を収める。

 彼女が水墨画をよくし、全国の南画展で特選を得る程の腕前とは、この歌集の作品で僕は初めて知った。

 3人の子ども、9人の孫、7人の曾孫に恵まれた彼女の、今後のご健康とさらなるご長寿を願う。

 以下に3首を引く。

生涯の得難き日なり東京にて南画特選の表彰を受く

雪の日の甘酒うまし香に立ちてのみどを辿り心身温む

冬の衣をぬがす如くに男の孫はハミングし乍らタイヤ取り換ふ

2014年9月19日 (金)

歌誌2冊

Cimg7929  結社誌「コスモス」10月号が、3連休明けの16日に届いた。土曜日の13日に、発送してくださったらしい。(毎月は、15日に発送と推測している)。

 僕の歌は、今年初めての特選だった。作品は、ブログ「新サスケと短歌と詩」(このブログのリンク集にあり)の、9月18日付け記事にアップしてある。

 また総合歌誌「歌壇」(本阿弥書店)10月号が、16日注文、17日に届いた。

 今回はAmazonでなく、楽天ブックスへ注文した。わずかだが、ポイントがあったので、使ったもの。

2014年9月15日 (月)

「その二集」読了

 今月11日の記事(←リンクしてある)に紹介した、「あすなろ集」読了に続き、「その二集」を読了した。

 これで結社歌誌「コスモス」2014年9月号の、通常掲載の短歌は、すべて読んだ事になる。

 海外では台湾在住の方2名、北海道より鹿児島県まで。

 僕が付箋を貼ったのは、次の1首。新潟県のS・春雄さんの3首中より(173ページ上段)。

自然界で朱鷺巣立ちしとニュース告ぐ野鳥となるまで試練の続く

 身近なニュースを告げる事も、短歌の役の1つと思う。朱鷺を見守る視線が、厳しく暖かい。

Photoフリー素材サイト「足成」より、洋梨の1枚。

2014年9月12日 (金)

斎藤史「杳かなる湖」

 大和書房「斎藤史全歌集」(1998年5刷)より、「杳かなる湖」74首(のちに75首)を読みおえる。

 1940年~1943年の作品を収めた歌集「朱天」―先の8月28日の記事(←リンクしてある)で紹介した―と、1946年以降の作品を収めた歌文集「やまぐに」の間をつなぐ、1943年~1945年の作品より、のちに拾って全歌集に、未刊歌集として収めたものである。

 後記に「短歌研究」側から勧められ、とあるので、誌上に発表され、未収録となったのだろうか。

 後記に「嘆きの歌は発表は出来ず、その間に散り失せた」とある。また発表されたであろう戦争詠が省かれていると、僕は推測する。

 以下に3首を引く。

花よりもさやけく降れる雪見ればいのち涸(か)れずと思ふひととき

赤黒く空にのぼれる火の下に死につつあるもわが東京は

(いら)つ子を物置の蔭につれて来て山見よといふ二階借りの身は

 (旧漢字を新漢字に替えた所がある)。

Photo「フリー素材タウン」より、秋の湖辺の1枚。

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