カテゴリ「ノンフィクション」の90件の記事 Feed

2013年9月 6日 (金)

室生犀星「我が愛する詩人の伝記」

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 室生犀星の「我が愛する詩人の伝記」を読んでいる。

 中央公論社、1958年・刊。

 11人の詩人の伝記を収める。

 北原白秋、萩原朔太郎、立原道造など、ほとんど私生活でも交際のあった詩人たちで、それらのエピソードを交えて伝記を語られると、僕は惹き込まれる。

 僕はこの本の愛読者で、文庫本でも3回くらい買って読んだ。

 1冊は売り、1冊は詩の仲間に譲り、1冊は電子化してCDに収めた。

 今度、単行本を入手したので、枕頭に置いて読んでいる。パッと開いてパラパラと読むには本が良く、活字の大きい単行本は重宝する。

 立原道造たち、室生犀星のまわりに集まった詩人たちのありようを、伊藤整(詩人として出発した)は批判した。僕は長く、彼らのありようがユートピア的で、憧れていた。

 また千家元麿ら、民衆詩派の何人かも、紹介されている。

2013年8月31日 (土)

「家族の歌 河野裕子の死を見つめた344日」

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 「家族の歌 河野裕子の死を見つめた344日」を読みおえる。

 2011年、産経新聞出版・刊。

 体裁は、各人が短歌1首と本で見開き2ページくらいのエッセイの、リレー連載である。

 永田和宏、河野裕子、永田淳、永田紅、植田裕子(永田淳の妻)の、5氏の筆に成る。

 エッセイよりも短歌のほうが、心の奥深いところを表わせるようで、夫妻の相聞歌を中心に絞った「たとへば君 四十年の恋歌」(2011年、文芸春秋・刊)のほうが、感銘深かった気がする。この8月22日の記事に、載せてある。

 「家族の歌」は、歌人家族の思いやりや、河野裕子の病気を離れた事情(たとえば、永田紅の結婚)も読めて、関心深い世界ではある。

2013年6月27日 (木)

香山リカ「あなたのココロはダイジョーブ!!」

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 香山リカさんのエッセイ集、「あなたのココロはダイジョーブ!!」を読みおえる。

 1997年・刊、ハヤカワ文庫NF。

 彼女は、1960年生まれ、精神科医、現在・立教大学教授、他。

 先の6月15日の記事(←リンクしてある)、「おかしくってもダイジョーブ!!」の末に書いたように、Amazonに注文し、先日に届き、読んだ本。

 「ダイジョーブ」のあとに「!!」だから良いので、「?」だったら不安を煽るだろう。

 1994年~1996年の事象を評しているが、内容は深くても、表現は軽く(自信の無い事を断定的に語るより良い)、1瞬立ち止って、考えながら立ち去るのが健全なのだろう。

 彼女自身も、「日頃、ふざけたことばかり書いている私が…」と書いている。彼女の本音は、「80年代サブカルチュア世代の残党であり続けたい」という所らしい。

 阪神淡路大震災、サリン事件の考察に、僕は改めて不安になったのだけれど(当時は短歌会に入会したばかりで、そちらに張り切っていた)。

 1996年6月の項の「本はどのように消えていくのか」で、既に(Windows95の時代です!)電子本の普及に言及している所は、さすがである。

2013年6月15日 (土)

香山リカ「おかしくってもダイジョーブ!!」

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 香山リカのエッセイ集「おかしくってもダイジョーブ!!」を読みおえる。

 新ハヤカワ・ノンフィクション文庫、1994年・刊。

 彼女は精神科医、1960年・生、現在・立教大学教授・他。

 この本では、1990年~1993年の事態を、若い女性の精神科医の眼から取り上げて、評している。

 彼女は、当時の不安な若者にアドバイスして、安心させようとした。

 まだ1995年の阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件の前で、秋葉原通り魔事件等の前でもあり、彼女がどう評するか、続編のエッセイ集も出ているようだが、今の僕は買う気がない。

 (済みません、続編「あなたのココロはダイジョーブ!!」(ハヤカワ文庫NF)を、Amazonに注文しました)。

2013年5月29日 (水)

原田マハと囲碁年鑑

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 今、原田マハという女性作家の小説が、多く読まれているらしい。

 読書方面のブログランキングの記事に、多く出てくる。

 それで僕も、Amazonのマーケットプレイスで、古文庫本2冊(販価・各1円)を買ってみた。「夏を喪くす」(講談社文庫、2012年・刊)と「一分間だけ」(宝島社文庫、2009年・2刷)である。

 現に「夏を喪くす」を読み始めている。それぞれ読みおえたなら、ここで報告する。

 また「2013囲碁年鑑」が発売されている事を知り、Amazonに注文して取り寄せた。

 日本棋院、2013年6月1日・刊。

 プロ囲碁棋士のタイトル戦棋譜、他の情報が収められる。

 去年5月20日の記事、「2冊の本」によると、2012年版が47年ぶんめとあるので、この2013年版は、48年ぶんめとなる。

 今は所蔵するだけだが、いつか必ず、用いられる日が来るだろう。

2013年5月16日 (木)

折口透「自動車の世紀」

Cimg6981 折口透の自動車史「自動車の世紀」を読みおえる。

 岩波新書、1997年・刊。

 著者は、自動車誌編集者等を経て、当時の肩書は、自動車ジャーナリスト、現代史研究家、翻訳者。

 「自動車の世紀」とは、20世紀の事である。飛行機、鉄道等の世紀でもあろうが、生活に密着している点で、「20世紀の恋人」と称されるのだろう。

 新書の常で、概説的入門書である。エピソードで読者の興味をつないでいる所もある。

 初期の自動車業界では、天才的な技術者個人の考案で、事業が進歩する場合があった。最近までのインターネット業界のように。

 また戦争中、費用を惜しまない研究で新開発が進み、平和時の自動車に応用された。戦争を肯定する訳ではない。


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2013年4月28日 (日)

「リルケ書簡集 Ⅳ」

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 4冊本の「リルケ書簡集」の内、最後の「Ⅳ」を読みおえる。

 国文社、1988年・刊。

 箱、帯、281ページ。

 先の同「Ⅲ」の紹介は、今年2月18日の記事(←リンクしてあり)にある。

 リルケ(1875~1926)は、1922年2月、「ドゥイノの悲歌」10編、「オルフェウスへのソネット」55編、他を完成したあと、ヴァレリーの作品の翻訳等を成していた。

 ここに収められた書簡は感興深い。

 しかし併収された「ネルケ夫人へのナニー・ヴンダリー・フォルカルト夫人の手紙」、秘書だったジェニア・チェルノヴィトフによる「ライナー・マリア・リルケの最後の数か月」が、リルケの最晩年と逝去を描いて、感慨を起こさせる。

 その「最後の数か月」に拠ると、伝説的に語られる通り、リルケは薔薇の棘が刺さった指の傷から、白血病が悪化して逝いたようだ。

 最後に自作を1首。「コスモス」2013年1月号より。

アマゾンで詩人リルケの書簡集四冊を買ふ長く欲りゐき

2013年2月25日 (月)

エッセイ集「ネクタイと江戸前」

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 日本エッセイスト・クラブ編「’07年版ベスト・エッセイ集 ネクタイと江戸前」を読みおえる。

 文春文庫、2010年・刊。61編。

 翻訳家・川路圭子(かわじ・けいこ)さんの「春が来て」は、教育困難校レベルの高校で教える1年を描いた。こぼれ落ちる生徒も多く、「人生航路の無事を祈りたい」と書く。

 棋士・佐藤康光(さとう・やすみつ)は「ゲン担ぎ」を書いた。将棋棋士の中で、僕は彼のファンである。ただし僕は、「竜」と「馬」が、何が成った駒かわからない。

 「’83年版 耳ぶくろ」より、欠けることなく25冊を読んで来て、この本でこのシリーズの読書を一旦停止とする。

 僕の好きな、ほのぼの・しみじみする時間を、多く持てた。

 このシリーズに出会って、僕は幸運だった。

2013年2月18日 (月)

「リルケ書簡集 Ⅲ」

Cimg6778 4冊本の「リルケ書簡集」のうち、「Ⅲ」を読みおえた。

 国文社、1977年・刊。

 箱、帯、284ページ。

 今年1月20日付け記事、「Ⅱ」に続く本である。

 本巻の「ミラノの手紙 2」では、「旗手クリストフ・リルケの愛と死の歌」について、「秋のただ一夜のうちに、いわば霊感の嵐をうけて創られた…」と述べている。

 また「リリアーヌへの手紙 12」では、「ドゥイノの悲歌」「オルフォイスへのソネット」、その他の作品が完成した1922年2月の奇跡的執筆を、「わたしは、このように襲われた感動の巨大な嵐を経験したことはありませんでした」と書いている。

 僕の2010年6月13日付け記事「リルケ全集③詩集Ⅲ」で、その執筆を「霊感の嵐だったのだろう」と書いた事は、当てずっぽうでは無かったのである。

 妻子を養えず、貴族とうのパトロン(スポンサー)を必要とした彼の生を、償う以上の作品群を遺した、と言えるだろう。

2013年2月15日 (金)

エッセイ集「カマキリの雪予想」

Cimg6776 日本エッセイスト・クラブ編「’06年版ベスト・エッセイ集 カマキリの雪予想」を読みおえる。

 文春文庫、2009年・刊。

 先の2月12日付け記事、「’05年版 片手の音」に続く本である。この2冊の購入を、1月30日付け記事で紹介してある。

 フランス文学者・保刈瑞穂(ほかり・みずほ)の「クレソン」は、フランス文学者の文章は違うなあ、と思わせる香気・気品がある。

 瀬戸内寂聴の「目白台のアパートの円地さん」は、円地文子との交流を描く。末尾近くに、川端康成をけなすような言葉(両名の、どちらの言葉か、ぼかしてある)があるが、故・ノーベル文学賞受賞者への嫉妬であろうか。

 時実新子(川柳作家 故人)、鳥羽脩(元モルガン信託銀行社長 故人)など、職業の後に(故人)と付く作品がある。エッセイの紙誌への発表のあと、文庫化されるまでに亡くなった方である。メッセージが重い。

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