講談社文庫、1999年・1刷。
とにかく大部だった。文庫本で777ページ、2段組み。
いったんはスルーしようと思った本だが、のちの彼の理解になるかと、古本を買って読んだ。
読みおえて1番感ずるのは、村上春樹の「物語る」事への凄まじい執念である。死傷者多く、凄惨な事件の被害者へインタビューし、話の時間的にまとめ、ある程度の長さにまとめ、彼の特徴である豊かで穏やかな文体に直す。
インタビューではないけれど、犯罪のドキュメンタリーとしては、カポーティ「冷血」のほうが、優れていると思う。
いったん取材を受けながら、書物化されることを拒んだ人々は、自分の経験を物語化されることを、拒否したのだろう。
村上春樹の、オウム真理教関連のインタビュー集2冊、「アンダーグラウンド」(講談社文庫、1999年・刊)と、「約束された場所で」(文春文庫、2001年・刊)を買った。
「アンダーグラウンド」の単行本を買っていて、読み始め少しで、これらインタビュー集は読まなくていいかな、とスルーしてしまった(彼の全小説やエッセイ、翻訳の1部を読んでいるけれども)。
しかし彼が受けたインタビューの1部を集めた、「夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです」等を読んでいると、これら2冊のインタビュー集も、彼の小説を読んで行く上に必要かと、注文した。
2冊とも、Amazonのマーケットプレイスへ注文した。しかし「アンダーグラウンド」の本紙は古びているし、「約束された場所で」では本文の上に線引きが10ページ以上あった(それも自己評価「良」で)。Amazonマーケットプレイスの廉価本の市場は荒れているのだろうか?
「約束された場所で」は、彼の文庫本ばかりを積み上げた中にあったので(ムダをした)、それで読んで行こうと思う。
読書すべき本が、あまりに多い。
ビル・クロウ「さよならバードランド」(村上春樹・訳)を読み終える。
新潮文庫、1999年・刊。
同じ著者、同じ訳者の「ジャズ・アネクドーツ」を、このブログの2009年8月16日の記事(←リンクしてある)で紹介している。
ビル・クロウは1950年代より活躍したアメリカのジャズ・ベーシストで、のちにミュージシャン・ユニオンの代表、ジャズ評論家としても活躍した。
本書には多くのジャズメン(女性歌手などを含む)のエピソードが重ねられている。時には皮肉を交えながら、ジャズを愛した者たちの物語を成す。
「そして僕のベース・ソロの終わるころにはもうめためたに遅くなっていたので、ズートはあきらめて肩をすくめ、…」の1例の通り、訳文はくだけていて、座談を聴くようだ。翻訳者の、言葉と心の豊かさを、よく表わしている。
日本エッセイスト・クラブ編「’10年版ベスト・エッセイ集 散歩とカツ丼」を読みおえる。
文春文庫、2013年10月・刊。51編。
今月7日の記事(←リンクしてある)で紹介した、「’09年版 死ぬのによい日だ」に継ぐ本である。
その記事では、「’10年版」の文庫本古本を求めていた。Amazonには、文庫本の新本とマーケットプレイスの古本があった。しかし送料を入れた値段は、そう違わないので、新本を買った。
本書の読後感は良い。いつの時代にも、希望を失わない人が多い。
僕の感情に由るのか、本の編集に由るのか、同じシリーズでも、心の和む本と、そうでない本がある。
この本は先に記したように、今年10月・刊なので、次の「’11年版」の文庫本が出るのは来年10月頃だろうから、このシリーズともしばらくのお別れである。
日本エッセイスト・クラブ編「’09年版ベスト・エッセイ集 死ぬのによい日だ」を読みおえる。
文春文庫、2012年・刊。55編。
先月10日の記事(←リンクしてある)で紹介した、「’08年版 美女という災難」に続くシリーズ本である。
エッセイでは回顧的になりやすいように思えるが、将来を視野に入れた作品も少しある。
本業で盛んな、中島誠之助、三浦しをんらは、エッセイでも勢いがある。
同シリーズの「’10年版」は、文庫本で(それも出来れば古本で)出ているのだろうか。
文春文庫、2011年・刊。
今年2月25日の記事(←リンクしてある)で、「’07年版 ネクタイと江戸前」を紹介し、しばらくの休眠に入って以来の、再開である。
長い不況の中、諦めムードなのか、有名無名の人々が、思い思いの事を綴っている。
塚本哲也「思い出は生きる力」、永六輔「妻への手紙を書き続けて」が、老妻に先立たれた男の恋々を描いて哀れである。
「’09年版」の古本が、安く出ていたら、買おうと思っている。
「コスモス短歌会」より、「第十一宇宙花」が届く。5年ごとに発行のアンソロジーである。「自選歌集」1659名、「物故会員作品抄」136名、各5首ずつの掲載である。他に「コスモス叢書一覧」「コスモスの賞一覧」等。
鯖江市の詩人、T・晃弘さんより、同人詩誌「青魚(せいぎょ)」No.79、10冊が送られてきた。僕はソネット2編を載せてもらっており、もう1つのブログ「新サスケと短歌と詩」(このブログのリンク集にある)で追いおい発表したい。
Amazonのマーケットプレイスに注文した、日本エッセイスト・クラブ編「’08年版ベスト・エッセイ集 美女という災難」が届いた。このシリーズの「’07年版」まで、25冊を取り上げて来たので、拙い感想を再開したい。
吉永みち子のエッセイ集「気分はグリーングラス」を読みおえる。
集英社文庫、1993年・刊。
彼女の本は、2011年3月8日の記事(←リンクしてある)にアップした、「気がつけば騎手の女房」以来、2冊めである。
彼女は、母、妻(のちに離婚しているが)、子(母に対して)、吉永厩舎(夫が騎手を引退し、調教師になったので)のおかみさん、ノンフィクション作家として、超多忙だった時期である。
忙しさや、ストレス解消行動も、話題にする。
僕が惹かれたのは、畑で葉菜や苺を育てる、野菜栽培の話だ。
彼女は、様々な公務(〇〇審議会の委員、等)、テレビ・ラジオへの出演(レギュラーも多い)も果している。
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