カテゴリ「ノンフィクション」の90件の記事 Feed

2015年1月10日 (土)

萩原朔太郎・書簡集(7)

 筑摩書房「萩原朔太郎全集」第13巻(書簡集。1977年・刊)より、7回めの紹介をする。

 昨年11月30日の記事(←リンクしてある)、同(6)で、81通読了を報せて以来である。

 今回は、昭和6年(1931年)初めの399番~昭和10年(1935年)末の524番、126通を読みおえた。

 室生犀星との交流が続き、個人誌「生理」(5冊のみ)の発刊があり、世田谷区に家を建てた(母、妹アイ、と住む)。また津村信夫、丸山薫、堀辰雄ら「四季」の文人とも交流が始まった。

 序文、色紙など、世話的な事もこなしているのが知れる。再婚話の応答もある。

 何より「恋愛名歌集」、詩集「氷島」の発行があった。

 この書簡集には、765番まで収められている。

Aダウンロード・フォト集より、雪景色の1枚。

2014年11月30日 (日)

萩原朔太郎・書簡集(6)

 筑摩書房「萩原朔太郎全集」第13巻(書簡集、1977年・刊)より、6回めの紹介をする。

 先の11月10日の同(5)の記事(←リンクしてある)では、212番~317番(大正15年末)の、106通を紹介した。

 今回は、昭和2年初めの318番~昭和5年末の398番、81通を読みおえる。

 室生犀星との篤い交流は続き、終生の友人だった。また離婚があり、父の死があった。

 朔太郎は父の死後、出京して妹アイと暮らした。これまで出京、帰郷を繰り返していたが、その後は東京におもに暮らしたようだ。

 内面の悩みを述べた書簡もあって、関心を持つ。また室生犀星の夫人・室生とみ子に宛てた礼状は、微笑ましい。

Photoフリー素材サイト「足成」より、キャベツの1枚。

2014年11月18日 (火)

エッセイ3編

 Google play ブックスより青空文庫発で、タブレットにダウンロードし、3名3編のエッセイを読みおえた。

 この11月12日付け記事で、中原中也「在りし日の歌」を紹介して以来の、タブレットにダウンロードしての読書である。

 作家・岡本かの子(1889年~1939年)の「秋雨の追憶」は、松茸狩り(当時は素人にも松茸を見つけられたようだ)の話など、4章より成るエッセイである。かの子がスターだったから、さりげない事をを書いても読まれたのだろう、と推察する。

 詩人・尾形亀之助(1900年~1942年)の「跡」は、妻に去られ、5歳の娘と、定職もなく詩作も年2、3編で、親の仕送りで生活した昨年を振り返った1編である。

 彼は生涯、働かなかった詩人、として有名である。思潮社より、全集が出版された。

 ひるきたけやす「ゆっくりはしれば そらもとべる」は、人生論風の短章を集めた本である。「何のために生きるか」「効率化の果て」など。

 タブレットには30冊くらいの、無料の本(著作権切れ、新本の立ち読み章など)が入っている。ダウンロードする時、内容は確認できないので、作者名と作品名で選ぶ。

 今回の3編も、エッセイとも判らず入手して、短いものだから読みおえた。

Photoフリー素材サイト「足成」より、葱の1枚。

2014年11月10日 (月)

萩原朔太郎・書簡(5)

 筑摩書房「萩原朔太郎全集」第13巻(書簡集、1977年・刊)より、5回めの紹介をする。

 4回めの紹介の記事(←リンクしてある)は、先月10月22日付けである。

 今回の紹介は、212番(大正6年)~317番(大正15年・末)の、106通である。

 室生犀星との篤い交流があり、結婚があり、詩集「青猫」アフォリズム集「新しき欲情」の出版があった。

 福田正夫宛て291番では「谷崎潤一郎氏とよく逢っています」と書かれ、また若き日の中西悟堂(「日本野鳥の会」創立者)や富士川英郎(ドイツ文学者、リルケの作品等を翻訳)に宛てた書簡など、(僕には)意外な事が知られる。

 次は昭和に入ってよりの書簡である。

Photoフリー素材サイト「足成」より、木通(アケビ)の1枚。

2014年10月22日 (水)

萩原朔太郎書簡・154番~211番

 筑摩書房「萩原朔太郎全集」第13巻の書簡集(1977年・刊)より、154番(大正5年)~211番(大正6年)の、58通を読みおえる。

 先の9月17日の記事(←リンクしてある)「同・64番~153番」に続く、4回めの紹介である。

 同郷の詩人・高橋元吉に宛てた、神・罪悪などについての長文の手紙もある。

 また、室生犀星と共に白秋門下の三羽烏と呼ばれた、大手拓次との文通・交流が始まっている。

 211番は、岩野泡鳴・宛てで、出版したばかりの第1詩集「月に吠える」への批評に対し、老大家に対しへりくだって礼を述べている。

 この書簡集は厳密に校訂され、誤字などは余さず指摘されているが、朔太郎書簡には誤字がとても多い。湧き来る思いを述べていると、辞書に当たる暇はなかったのだろう。

Photoフリー素材サイト「足成」より、ススキの1枚。

2014年9月17日 (水)

萩原朔太郎・書簡:64番~153番

 筑摩書房「萩原朔太郎全集」第13巻(1977年・刊、書簡集)より、3回めの64番(大正2年)~153番(大正5年)を読みおえる。

 今月4日の記事(←リンクしてある)、「同:26番~63番」に継ぐ。

 北原白秋には、悩みを訴える書簡もあるが、同人誌の原稿、同人費に関わるものが多くなっている。大正4年1月9日から14日まで、白秋が前橋を訪れた際には、家族ともども歓喜した事がわかる。

 同郷の詩人・高橋元吉(たかはし・もときち、1893年~1965年)に宛てた長文の手紙、149番では『罪が許された』と書き、152番では「私が「救ひ」を得たことの、実は一種の幻影にすぎなかったことです、…」と大きく揺れている。

 朔太郎は文学の先輩・友人に、書簡では内面を隠さなかったようだ。

Photoフリー素材サイト「足成」よりの、柘榴の1枚を、トリミングして。

2014年8月25日 (月)

萩原朔太郎書簡・明治編

Cimg7888 写真は、「萩原朔太郎全集」第13巻(書簡集)である。もう20年以上も前かに買った本である。

 当時の僕は貧しくて(今も貧しいが)、5巻本の裸本の朔太郎全集を買って、第1巻の全詩集を読み、アフォリズム集などは読まなかった。

 書簡集が欲しくなり、函汚れ・本体背痛みのこの本を、ようやく買えた。

 朔太郎(1886年~1942年)の、明治45年(27歳)までの書簡、25通を読みおえる。

 学校も止めて、仕送りで暮らす有閑階級ながら、妹・津久井幸子に宛てた延々たる演劇評など、青年の孤独な鬱勃たる思いが伝わる。

 明治45年の書簡には、その妹に宛てた長い手紙2通と、従兄・萩原栄次に宛てた葉書1枚のみ残っており、朔太郎の孤独な生活が思われる。

2014年8月14日 (木)

リチャード・モリス「宇宙の運命」

Cimg7858 リチャード・モリス「宇宙の運命」を読みおえる。副題は「新しい宇宙論」。

 講談社ブルーバックス、1991年16刷。

 今年7月8日の記事「ホーキング、宇宙を語る」、7月28日の記事「ホーキングの最新宇宙論」につながる読書である。

 宇宙は開いているか閉じているか、膨張する宇宙、ビッグバン、ブラックホール、星(銀河)の運命、異星の生命の可能性、等の問題について、提唱者、実験確認者の名前を挙げて論述されている。

 物理学は数学をその言語としており、「ゲーデルの証明」によって、ある数学系が矛盾する定理を導く場合がある事、真ではあるが真である事の証明できない命題がなければならない事が示されており、物理学にも限界があるのではないかと、著者は述べている。

 僕の読む宇宙論解説書は古いので、僕の取り付ける新しい本を、読んでみたい。

2014年7月28日 (月)

「ホーキングの最新宇宙論」

Cimg7841 「ホーキングの最新宇宙論」を読みおえる。

 日本放送出版協会・刊、1991年・14刷。

 僕は今月8日の記事(←リンクしてある)で、「ホーキング、宇宙を語る」を紹介している。

 「最新宇宙論」では、1990年に博士が来日したおりの講演、他に最新物理学の啓蒙的な小文を幾つか、載せている。

 彼は一般相対論と量子力学を統合する事によって、宇宙を解明しようとしているようだ。

 ビッグバン、あるいは宇宙が収縮するとしてその極点のビッグクランチでは、空間や時間といった概念は意味をなさず、科学理論はすべて通用しなくなるだろう、と述べている。

 博士は、「宇宙には境界がなく、はじまりも終わりもない」という説を主張している。

2014年7月13日 (日)

村上春樹「約束された場所で」

Cimg7811 村上春樹のインタビュー集に対談を添えた、「約束された場所で」を読みおえる。

 文春文庫、2001年・刊。

 7月6日の記事(←リンクしてある)で紹介した、「アンダーグラウンド」に継ぐ本である。

 「アンダーグラウンド」で被害者に対する時、今回のオウム真理教信者・元信者にインタビューする時、セラピスト・河合隼雄と対談する時、「まえがき」「あとがき」で独白する時、オウム真理教に対する姿勢が、それぞれ違うように見受けられる。

 彼は国際的作家であり、慎重になるのもわかり、そして「オウム擁護者」というレッテルを貼られる事なく、事件の1部を白日に曝した。

 この2冊を読んだあとも僕は、イメージを大きく変えずに、彼の小説を読んで行くだろう。

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