« 2016年4月 | メイン | 2016年6月 »

2016年5月の29件の記事

2016年5月20日 (金)

「梅崎春生全集」第2巻(1)

Cimg8842 沖積舎「梅崎春生全集」第2巻(1984年・刊)より、1回めの紹介をする。

 初期の戦記物を集めた第1巻の紹介は、先の5月4日の記事(←リンクしてある)、同・第1巻(6)で過ぎた。

 この第2巻は、戦前の習作と、戦後の初期の風俗ものを集めたようである。

 今回、僕が読んだ、「地図」、「風宴」、「微生」、「不動」の4編(発表年代順)は、いずれも梅崎春生が「桜島」で戦後文壇にデビューする以前、1943年までに同人誌等に発表された、今となっては習作と見做される作品である。

 「地図」、「風宴」に見られる死のテーマ、「微生」に見られる戦時下の鬱屈、「不動」の怠惰など、後に繋がる心情があるようだ。

 また風景・情景の描写の上手さ、わずらわしい心理の描写、なども後に繋がるものだろう。

2016年5月19日 (木)

「トラークル全集 Ⅶ 遺稿(戯曲ほか)」

 青土社「トラークル全集」(1987年・刊)より、「Ⅶ 遺稿(戯曲ほか)」を読みおえる。

 先の5月2日の記事(←リンクしてある)、「同 Ⅵ 遺稿」(3)に継ぐ。

 この「Ⅶ」には、11個の断片、3編の戯曲断片、2つのアフォリズムを収める。

 研究者は何かを汲み取るかも知れないが、読み部(よみべ)の僕には、貴重なものは読み取れなかった。

 なお初期に彼の戯曲2編が上演されたとされるが、戯曲台本は遺っていないようだ。

 1009ページの大部の全集も、残すは書簡と小伝のみとなった。書簡が145通、248ページ(注・付き)と長いので、分けて紹介する事になるだろう。

Photo 「フリー素材タウン」より、薔薇の1枚。

2016年5月18日 (水)

「シュメール神話集成」(8)

 ちくま学芸文庫「シュメール神話集成」(2015年・刊)より、8回めの紹介をする。

 同・(7)は、先の4月27日の記事(←リンクしてある)に、アップした。

 今回に僕が読んだのは、「シュルギ王讃歌」(103行)と、「グデアの神殿讃歌」(9章225行)である。

 シュルギ王(在世・紀元前2093年より48年間)と、グデア王(在世・紀元前2144年~2124年)の讃歌であり、いずれも王権を神から授けられたとして、絶対化している。

 記録としては、権力と宗教の在り様としては、興味深いかも知れないが、文学としては面白くない。

Photo 「フリー素材タウン」より、薔薇の1枚。

2016年5月17日 (火)

若山牧水「黒松」

 Kindle本「若山牧水大全」より、遺歌集「黒松」をタブレットで読みおえる。

 前作の第14歌集「山桜の歌」は、先の4月5日の記事(←リンクしてある)で紹介した。

 歌集「黒松」は、牧水の没後10年(昭和13年、1938年)に、改造社より出版された。ただしその前に全集に、夫人と高弟・大悟法利雄とが1千首をまとめて、収めていたらしく夫人の歌集後書からは推察される。

 1923年~1928年の作品で、自宅建設、詩歌誌発行等のため、全国、海外まで揮毫旅行を繰り返し、健康を害して1928年、数え年44歳で没した。

 最後の歌集であり、紙本の「全歌集」には多くの補遺があるが、僕は「大全」の随筆をタブレットで読んで行こうと思う。

 以下に7首を引く。

散りやすきこころとなりて昼はいね夜半を僅かに起きてもの書く

入りゆかむ千曲の川のみなかみの峰仰ぎみればはるけかりけり

明日去ぬる港とおもふ長崎の春の夜ふけに逢へる人々

うち群れて釣れるは何の来しならむ冬めづらしき今朝の釣舟

濡縁の狭きに立ちてをろがむよわが四十三のけふの初日を

松が枝に鴉とまりつおもおもと枝のさき揺れて枯葉散りたり

酒ほしさまぎらはすとて庭に出でつ庭草を抜くこの庭草を

Photo 「フリー素材タウン」より、藤の1枚。

2016年5月16日 (月)

永田和宏「新版 作歌のヒント」

Cimg8826 先の5月10日の記事(←リンクしてある)「最近買った2冊」で紹介した内、永田和宏「新版 作歌のヒント」を読みおえる。

 NHK出版、2015年2刷。

 47のヒントに、例を挙げての解説と思いを述べている。

 歌集の筆写を勧めているくらいで、簡単な上達法はない、としている。

 しかし「結句の力―オチをつけない」で「結句病」を戒め、「嘘から出たまこと―事実しか歌ってはいけないのか」ではフィクションを認め、更に最後に「作者だけの<思い>で歌を縛らない」では、読者の読みを信頼して「作品は作者が作るものではなく、読者が作るものだ」と言い切りたい、としている。

 僕は少年時代、戦後詩の影響のもとレトリックの濃い詩を作ったが、それからの転回でレトリックの強い作品を書こうと思わない。

 この本には、オノマトペ、リフレイン、比喩、他のレトリックについても解説されているので、参考にしたい人は多いだろう。

2016年5月14日 (土)

年刊句集「福井県」第54集(4)

 年刊句集「福井県」第54集(2016年3月、福井県俳句作家協会・刊)より、4度めの紹介をする。

 同(3)は、先の5月7日の記事(←リンクしてある)にアップした。

 今回は、前回に続き、121ページ~160ページの40ページ分、80名800句を読んだ事になる。

 大衆文芸とされる俳歌について、現代では大衆の知的レベルも上がり、結社の宗匠制でなくとも、同人制でも充分成り立つ。

 結社では、各号の採られる作品数、クラス進級を競う、競争制に拠って、進歩が早い場合があるだろう。

 僕が付箋を貼ったのは、次の1句。Y・嘉代子さんの「初鏡」10句より。

一重八重百日草に雨宿る

 百日草の種は、たいてい八重(千重?)だから、一重が混じるのは、こぼれ種から生えたものだろう。おのずと庭の荒れた一画を思わせる。

Photo 「フリー素材タウン」より、藤の1枚。

2016年5月13日 (金)

届いた2冊

Cimg8837

Cimg8839  最近、2冊の本が、手許に届いた。

 1冊は、「田谷鋭全歌集」。「コスモス」誌に挟み込みの葉書で注文した。

 柊書房、2016年5月・刊。

 価格が1万5千円(税・別)と高いので、「コスモス」先達歌人の全歌集といえど、ふだんなら買えない。たまたま雑収入があったので、注文できた。

 もう1冊は、村上春樹「雑文集」。新潮社、2011年・刊。ビニールカバー。

 発売当初、書店に平積されたが、「雑文集に1,400円は高いなあ」と思って(ネーミングのミスだと思う)、買わなかった。

 先日、Amazonのマーケットプレイスに、1円(+送料257円)で並ぶ中から、選んで注文した。価値ある文章も多いようだ。

 

2016年5月12日 (木)

石田衣良「アキハバラ@DEEP」

Cimg8833 先の4月15日の記事、「最近買った3冊」で紹介した3冊の内、石田衣良の小説「アキハバラ@DEEP」を読みおえる。

 文春文庫、2006年・刊。帯付き、542ページ。

 彼の小説では、2011年9月20日の記事(←リンクしてある)で紹介した「40」他、2冊を読んでいた。

 彼の連作「池袋ウエストゲートパーク」シリーズを、僕は読んでいない。

 「アキハバラ@DEEP」は、6人のオタク青年が、画期的なAI(人工知能)「クルーク」を創出して、それを奪い取ろうとするIT大企業と闘って、奪い返し、理念通り無料でネットの世界に公開する話である。

 その大企業が初め、代金として1人当たり2億円を提示するが、グループは譲らなかった。

 僕ならすぐに譲っていただろう。ただし文章は、アマチュアながら文学に関わる者として、お金を積まれても意に染まないものは書かない(書けない)。

2016年5月11日 (水)

詩誌「水脈」56号

Cimg8831 先日、「水脈の会」事務局より、詩誌「水脈」56号を頂き、ほぼ読みおえる。

 2016年3月、水脈の会・刊。

 会員の阪下ひろ子さんが亡くなられ、遺稿「仰臥したまま」が収められた。

 社会的に活躍して来た、S・周一さんが詩「老いに向かう日々」で、病気・金欠・孤独の3苦とは、にわかには信じがたい。詩と向き合っているのは、良い兆しだろう。

 N・としこさんが久しぶりに、詩「スキップする」を寄せている。

 I・信夫さんの中野鈴子・評伝「続続すずこ記」も快調である。

 N・えりさんの小説「母の料理」が最終回を迎えた。

 記録等、活動のバックアップが、行き届いている。

2016年5月10日 (火)

最近買った2冊

Cimg8826

Cimg8828

 最近、わずかだが商品券を入手したので、ショッピングモール「ワッセ」内の書店「KaBoS ワッセ店」へ行き、2冊を買った。

 1冊は、永田和宏「新版 作歌のヒント」(NHK出版、2015年2刷)である。好評の作歌論のようだ。

 もう読み始めているのだけれど、少し「アララギ」流の所があるようだ。

 もう1冊は、「ポケット図解 超簡単 タイピングが1週間で身につく本 最新版」(秀和システム、2014年3刷)である。

 僕のタイピングは、1本指ではないけれど、正式でなく、ブラインドタッチができない。なんとかブラインドタッチができるように、なりたいものだ。

ブログランキング

  • 応援のクリックを、よろしくお願いします。
  • ブログ村も、よろしくお願いします。

最近のトラックバック

ブログパーツ

  • ツイートをフォローしてください。
  • 3カウンター
  • アクセス解析

更新ブログ

Powered by Six Apart
Member since 04/2007

日本ブログ村

  • 日本ブログ村のリストです。

人気ブログランキング

  • 応援の投票を、お願いします。

アンケート