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2016年6月の28件の記事

2016年6月 8日 (水)

原子公平「浚渫船」

 年刊句集「福井県」第54集を読みおえ、今年3月17日の記事(←リンクしてある)、石原八束「秋風琴」以来の、「現代俳句大系」(角川書店)第10巻(1972年・刊)に戻る。

 今回、僕が読んだのは、原子公平「浚渫船」である。

 原著は、1955年、風発行所・刊。

 金子兜太の序、554句、細見綾子の跋、あとがきを収める。句の前半は、戦前の作品である。

 原子公平(はらこ・こうへい、1919年~2004年)は、戦後、「社会性俳句を推進、論作ともに活躍する」(三省堂「現代俳句大事典」2005年・刊に拠る)。

 以下に5句を引く。

四方(よも)の蟬鳴き出づる朝父死せり

根深汁すすり泣く喉(のど)痛みけり

月白の丘に煮炊きの火の手見ゆ

牡蠣飯も当座の気負いも母に享く

母と乗るロマンスカーや稲稔る

Photo「フリー素材タウン」より、花菖蒲の1枚。

2016年6月 7日 (火)

花ザクロ、他

Photo

Photo_2 

Photo_3  庭で花ザクロの花が咲いている。大株にたくさんの花がこぞっている。

 キッチンの窓辺では、ミニ薔薇が咲いた。切り戻した細幹の脇芽のシュートより咲いた花で、5月29日の記事の花より小さい。

 八重の白花(赤みがかっている)のアマリリスが咲いている。

 5月29日の記事で残りの莟の花と、同じ球根から伸びた花茎の花と、3輪である。

 昨年は1輪も咲かなかったので、今年に咲かなかったら、全株を廃棄する予定だったが、2、3鉢が花咲くので、それは取り止めとした。

2016年6月 6日 (月)

若山牧水「樹木とその葉」(1)

 Kindle本「若山牧水大全」の全14歌集を読みおえ、それに続く「樹木とその葉」より、1回めの紹介をする。

 「序文に代へてうたへる歌十首」を含め、「若葉の頃と旅」に至る8編である。

 いわゆる随筆と言ってよく、紙誌の求めに応じて書かれた作品だろう。

 身辺を描いたものの他に、紀行文と呼べる旅の記録があり、深い山を訪ね、川を遡っている。自然詠などに発するものかも知れないが、社会の煩わしさを嫌った、牧水の人間嫌いの1面かも知れない。

 「若葉の頃と旅」以降は、どこまでか判らないが、詩編が続いており、次の機会に紹介したい。

Photo_2

「フリー素材タウン」より、花菖蒲の1枚。

2016年6月 5日 (日)

歌誌「コスモス」6月号「COSMOS集」

 結社歌誌「コスモス」2016年6月号より、「COSMOS集」を読みおえる。

 その前の「その一集」特選欄は、先の6月2日の記事(←リンクしてある)で紹介した。

 「COSMOS集」は、「その二集」と「あすなろ集」の、特選欄である。「あすなろ集」より30名、「その二集」より12名、各5首(稀に6首)が選ばれて、選者による題名を付されて載る。望みの叶った場だろう。

 僕が付箋を貼ったのは、次の1首。T・竹子さんの「妖怪ゲーム」5首より。

マットレスに転び飽かずに遊びをり幼き妹兄が助けて

 兄妹、姉弟の助け合いは、独特の情感のあるもののようだ。僕は2人兄弟だけれども。

Photo「フリー素材タウン」より、花菖蒲の1枚。

2016年6月 4日 (土)

「梅崎春生全集」第2巻(2)

 沖積舎「梅崎春生全集」第2巻(1984年・刊)より、2回めの紹介をする。

 同(1)は、先の5月20日の記事(←リンクしてある)にアップした

 今回、僕が読んだのは、「紐」、「蜩」、「行路」の3編であり、戦後に発表された非戦記もの・非従軍ものの初めである。

 「紐」は戦時下の留置所で、贈賄罪を問われる鬼頭と、同房の確信政治犯・六車の話である。鬼頭に絹の紐が与えられ、自殺を示唆される。鬼頭と六車が共に、死を選ぼうとして、迷っている所で終わる。執筆当時、今とは違う世相状況があったのか。

 「蜩」は、作家が出版社に3度めの前借りをしようとするが、首尾が悪く、身重の妻に出向かせる話である。郷里の母と弟、他の出版社の者も絡んで、心理的にねじれた状況をよく描写している。ただし単なる私小説では、ないだろう。

 「行路」は、少女が男と戦争に苦しめられ、地下道に寝泊まりまでしながら、小さな鰻屋を営んで行くまで、おりおりに関わった「私」の視点で描く。戦後風ながら、危うさも作者は見抜いている。

Photo「フリー素材タウン」より、花菖蒲の1枚。

2016年6月 3日 (金)

「歌壇」6月号

Photo 先の5月21日の記事(←リンクしてある)「歌誌2冊」で報せた内、総合歌誌「歌壇」(本阿弥書店)2016年6月号を、短歌作品を中心に読みおえる。

 特集の「結社の進路――結社の近未来を考える」では、結社中枢の歌人の声ではなく、投稿歌人、ネットや同人誌で活動する歌人、結社に入ったが辞めた人、の結社観を公にした方が有意義、とする声がツイッター上でかあり、もっともだと僕は思った。総合歌誌で、結社論が繰り返し取り上げられるのは、それだけ反発もあり、結社中枢の歌人も引け目を感じているからだろう。

 栗木京子による高野公彦(いずれも敬称略)へのインタビュー、「ぼくの細道うたの道」が始まった。彼の作品への理解が、深まるだろう。

2016年6月 2日 (木)

歌誌「コスモス」6月号「その一集」特選欄・読了

 結社歌誌「コスモス」2016年6月号より、「その一集」特選欄を読みおえる。

 同「月集」読了は、先の5月30日の記事(←リンクしてある)にアップした。

 特選の歌は、内容が(本人にとり)大きく、レトリックも用いられている。

 各選者により、多少は歌風の傾向があるようだ。

 僕が付箋を貼ったのは、次の1首。K・蕃さんの5首より。

ふるさとは大黒舞の来しころよおぼろに思ふ松尽し唄

 大黒舞は、新年の門付け芸らしい。めでたい「松」尽くしの詞を述べたようだ。

Photo_2

「フリー素材タウン」より、花菖蒲の1枚。

2016年6月 1日 (水)

竹山広「葉桜の丘」

 ながらみ書房「定本 竹山広全歌集」(2014年・刊)より、第2歌集「葉桜の丘」を読みおえる。

 第1歌集「とこしへの川」は、先の5月25日の記事(←リンクしてある)で紹介した。

 「葉桜の丘」は、1987年、雁書館・刊。357首。

 彼はクリスチャンの家庭に生まれた。1941年(21歳)、結核病を発病、療養。

 1945年、浦上第一病院に入院中、原爆被爆。1948年(28歳)、結婚。1978年、長女・ゆかり死去。

 多くの悲惨を乗り越えられたのは、表には出していないが、信仰の力ゆえか、と思われる。短歌の徳も与っているだろう。

 以下に7首を引く。

文字植うる眼(まなこ)いくたびおしぬぐひ鈴懸に鳴る風を仰ぎつ

ま夜中の冷蔵庫などさしのぞくいかなる闇をわたる若者

逝きし子も学びゐる子も杳かにて夜ごと夜ごとの闇くだる天

鼻ごゑを売りまくるこの若者をののしりたれば心ほどけつ

子に点す蠟燭の焔(ひ)をたわめたる扇風機の風われに戻りく

ひとの歌を崇めしばしば毒づきて夏もしんそこ食ふものうまし

核実験にあらがひ坐るわれらただみづからの背骨(はいこつ)を味方に

Photo「フリー素材タウン」より花菖蒲の1枚。

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