カテゴリ「読んだ本」の1643件の記事 Feed

2016年4月17日 (日)

年刊句集「福井県」第54集(1)

Cimg8757 先の3月16日の記事(←リンクしてある)で届いた事を報せた2冊の内、「平成27年版 年刊句集 福井県 第54集」(2016年3月、福井県俳句作家協会・刊)の、作品欄を40ページまで読み進む。

 1ページ2段、1人1段10句の掲載だから、80人800句を読んだことになる。

 全213ページ、426名、4260句の出句となる。

 1時程の数ではないが(手許の乏しいバックナンバーでは、「平成17年 同 第44集」で650名の出句)、県内の短歌、詩の年刊アンソロジーと比べて、格段に参加者が多い。

 僕が付箋を貼ったのは、巻頭、Y・透思朗さん(福井県俳句作家協会・顧問)の「九回裏」より、無季らしい次の1句。

怖いもの無しの老化や共白髪

 まさに豪壮な老いぶりである。

 

2016年4月13日 (水)

「トラークル全集 Ⅵ 遺稿」(2)

 青土社「トラークル全集」(1987年・刊)の第Ⅵ章「遺稿」より、第2節「詩 一九〇九年―一九一二年」を読みおえる。

 第1節に当たる「一九〇九年集」は、先の3月10日の記事(←リンクしてある)で紹介した。

 第2節(章、節、という呼び方は、自分のつけたものである)には、35編の詩を収める。トラークルは1887年生まれなので、12歳頃~15歳22歳~25歳頃の作品である。

 1897年に入学したギムナジウムで既に、彼は煙草、酒、更に麻酔剤に手をつけ始めたとされる。

 この節の最後に置かれた「十二月のソネット 第二稿」の終連は静謐であり、以下に引く。


少年が、おずおずと 一人の女の所へ走っていく。

尼僧がひとり 暗がりで 優しく翳って 蒼ざめていく。

葉を落した樹が 眠る者の番をする。

Photo_5 フリー素材サイト「Pixabay」より、花水木の1枚。

2016年4月12日 (火)

歌誌「歌壇」4月号

Cimg8759 総合歌誌「歌壇」2016年4月号を、次号の発売日も近くなって、ようやくほぼ読みおえる。

 散文では、読まなかったものも多い。

 特集の「初心者の気になる表現――気をつけたいポイント」の8編を読んだけれども、短歌を読み・詠むの経験を重ねるしかないのか。

 4女性の座談会「修辞を支えるもの――現代短歌のゆくえ 前編」はまだ途中で、後半にも期待したい。小島なおさんが、言葉、時代への意識を鋭くしている事、石川美南さんが、心が動いてから3年くらい寝かせて短歌になる場合もある事、などの発言に感慨があった。

 短歌作品では、安保法(戦争法とも呼ばれた)が成立した後の、茫然とした世相・人心の様が表れているようだ。

2016年4月 9日 (土)

詩誌「果実」74号

Cimg8794 先日、同人詩誌「果実」の編集・発行人、T・篤朗さんより、お便りをそえて同誌・74号を頂いた。

 2016年4月、果実の会・刊。

 6名18編の詩と、3名3編の評論・詩論を収める。

 N・昌弘さんの「パンドラの小箱」は、USBメモリがクラッシュした後を描いているようだが、余裕のある所にユーモアを感じる。

 W・本爾さんの散文詩「ときに父を想う」は、情の優しかった父を偲んで、真実の姿を捉えた。

 F・則行さんの童話風な散文詩「さざんか」「野菊」は、僕は苦手である。高く評価する読者もいるだろう。

 T・篤朗さんは、6編の詩を寄せている。「階段」の寓喩、「確かなもの」のリフレイン、「行ってしまった」の観念性、等いずれも真実を衝いている。

2016年4月 7日 (木)

詩誌「青魚」No.84

Cimg8792 僕の参加している同人詩誌「青魚(せいぎょ)」の、No.84が千葉・発行人より送られてきた。

 2016年4月5日・刊。B・5判、2段組み、35ページ。

 僕は「治ったものとそうでないもの」以下、6編のソネット(のようなもの)を、巻頭に載せてもらった。

 もう1つのブログ、「新サスケと短歌と詩」(←リンクしてある)の、4月4日以後の記事で、毎日1編ずつ紹介している(横書きになり、1部推敲してある)。

 T・幸男さんの「ツイッター」以下6編が、独特のボキャブラリィを用いて、社会を批判し続けている。

 また同人・山本修三さんへの追悼文、2編を載せる。

 この詩誌「青魚」にも、散文が多くなってきていると、危惧する。

2016年4月 6日 (水)

詩誌「角」第39号

Cimg8790 最近、二人の方から、同人詩誌「角(つの)」第39号を頂いた。僕が編集役をしていた同人詩誌「群青」が、終刊した事を、ご存じないのかも知れない。

 2016年3月15日・刊。

 13名15編の詩と、2名2編の散文を収める。

 S・章人さんの「廃品回収」と、N・としこさんの「アメリカンブルー」が、老齢者の生活の哀歓を描いて、共感を呼ぶ。

 「戦後詩」や「新しい詩」の過ぎたと思われる今、素直な詩が僕には好ましい。

 童話風(連載)、物語風(2段4ページぎっちり)の散文は、詩誌に似合わないようだ。他ジャンルからの、寄稿は別として。

2016年4月 5日 (火)

若山牧水「山桜の歌」

 Kindle本「若山牧水大全」より、第14歌集「山桜の歌」を、タブレットで読みおえた。

 この前の「くろ土」は、先月22日の記事(←リンクしてある)で紹介した。

 タブレットで本を読むと、残りの量がわからないので、ピックアップや時間の調整に困る場合がある。

 「山桜の歌」は、1923年(大正12年、牧水39歳)、新潮社・刊。741首。

 「くろ土」に続いて、家での執筆・家族等、また重ねる旅行を詠んで、充実した歌集である。自序で、「くろ土」が動的なら「山桜の歌」が静的である旨を述べている。

 以下に8首を引く。

ちりぢりに燃ゆるはさびし烏羽玉の夜空のやみに見えわたる野火

もぎとりていまだ露けき椎茸を買へと持て来ぬ春日の縁に

生れ来てけふ三日を経つ目鼻立そろへるみれば抱かむとぞおもふ

つつましく心なりゐて富士が嶺の裾野にまへるうづら鳥見つ

ガラス越し射す日ながらにわが頬にほてりおぼゆる今日の冬の日

うすべにに葉はいちはやく萌えいでて咲かむとすなり山桜花

学校にもの読める声のなつかしさ身にしみとほる山里すぎて

貧しくて時を惜しめば命さへみじかきものに思ひなさるれ

Photoダウンロード写真集「フォト満タン」より、桜の1枚。

2016年4月 1日 (金)

有川浩「三匹のおっさん」

Cimg8788 先日、某ドラッグストアで粒ガムを買った帰りに、TSUTAYA某店に寄り、有川浩「三匹のおっさん」(新潮文庫、2014年・刊)を買い、読みおえた。

 帯付き、443ページ、723円(内、Tポイント323ポイントを使う)。

 有川浩(ありかわ・ひろ、女性)の小説は、これまで4冊を読み、直近の「ヒア・カムズ・ザ・サン」は今年1月15日の記事(←リンクしてある)で紹介した。

 帰りの車を出しながら、「しまったかな」という思いが過ぎった。3人を「三匹」と人間扱いしていないからだ。

 還暦を迎えた男性3人が、私設自警団を結成し、町内の悪を成敗する、6話を収める。

 鬱屈のカタルシスにはなるが、私刑や暴力の問題もあり、彼女のバイオレンス物は読むまい、と思った事だった。

2016年3月31日 (木)

「梅崎春生全集」第1巻(4)

 沖積舎「梅崎春生全集」第1巻(1984年・刊)より、4回めの紹介をする。

 3回めの紹介は、先の2月16日の記事(←リンクしてある)にアップした。

 今回に読みおえたのは、「故郷の客」、「無名颱風」、「小さな町にて」の、3作品である。

 「故郷の客」と「小さな町にて」は、戦後、従軍中の仲間を訪ねる話である。語りかける文体に、親しみを覚えそうになるけれども、従軍小説の衝迫力はすでにない。敗戦後の元軍人同士の心理的絡み合いに、僕は慣れない。

 「無名颱風」は、敗戦による兵団解散の後、多くの者と帰郷途中、強い台風に遭って難儀する話である。命に関わりそうな避難の場面があって、惹き付ける力がまだある。

 この第1巻には、12編の小説(多くは短編)が残っている。

Photoフリー素材サイト「Pixabay」より、花水木の1枚。

2016年3月30日 (水)

「シュメール神話集成」(5)

 ちくま学芸文庫「シュメール神話集成」より、5回めの紹介をする。

 今月24日の記事(←リンクしてある)では、同(4)「イナンナの冥界下り」を紹介した。

 今回は、「ギルガメシュとアッガ」、「ドゥムジとエンキムドゥ」を読みおえた。

 「ギルガメシュとアッガ」では、ギルガメシュの都市「ウルク」がアッガ軍に攻められるが、ギルガメシュが城壁より顔を出しただけで、アッガ軍は圧倒されてしまう。

 また「ドゥムジとエンキムドゥ」では、女神イナンナが、兄より牧羊神ドゥムジを夫にするよう勧められるが、農夫エンキムドゥが良い、と言い張る。ドゥムジが弁舌を揮って、イナンナの好意を得て夫になり、エンキムドゥも身を引く、という物語だ。

 いずれも、おおらかな神話時代の物語である。リフレインなど、細かい筋があるので、一読を勧めたい。

Photoフリー素材サイト「Pixabay」より、花水木の1枚。

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