カテゴリ「小説」の116件の記事 Feed

2015年1月31日 (土)

岡本かの子「母子叙情」

 Google Playブックスより、岡本かの子の小説「母子叙情」を、「青空文庫」発でタブレットにダウンロードし読みおえた。

 同様にして読んだ岡本かの子の小説は、先の1月8日の記事(←リンクしてある)、「巴里祭」以来、6作めである。

 1家がヨーロッパ外遊より帰国する前、パリに美術修業のために置いていく息子との別れの直前の様子。日本で息子に似て見えた青年との交際。パリから息子の先輩画家が来日して、展覧会を催すなど夫婦しての活躍。おもに3つの件が描かれる。

 母親の息子を想う心、という事にはなっているけれど、一貫したテーマは無いようだ。

 また表現は豊かとはいえ、内容は私小説的であり、長編ではあるが感興が弱かった。

 まだタブレットには、彼女の小説を何編かダウンロードしてある。ちくま文庫版全集の端本、3冊も持っている。

Orchid535212_1920フリー素材サイト「Pixabay」より、コチョウランの1枚。

2015年1月 8日 (木)

岡本かの子「巴里祭」

 Google Play ブックスよりタブレットにダウンロードして、岡本かの子(1989年~1939年)の小説、「巴里祭」を読みおえる。

 昨年12月24日の記事(←リンクしてある)で、「老妓抄」を紹介して以来である。こうして読む彼女の小説も5作めとなる。

 岡本一平・かの子・太郎の家族は、1929年~1932年にヨーロッパ外遊(太郎は美術の勉強のためフランスに残る)をしており、その時の経験を生かした作品と思われる。

 パリに来て16年、追放人(エキストパリエ)と自嘲するにさえ飽いた主人公、淀嶋新吉に、日本から手紙を寄越した妻、遊び女リサ、服飾家ベッシェール夫人、田舎娘、などが絡んだ、巴里祭(7月14日、中流・上流の人たちは避暑に出掛けている)の1日とその前後を描く。花やかで寂しい情景である。ハッピーエンドにはなっているけれども。

Photoフリー素材サイト「足成」より、ロウバイの1枚。

2014年12月24日 (水)

岡本かの子「老妓抄」

 Google Play ブックスより「青空文庫」発で、岡本かの子の小説「老妓抄」を、タブレットにダウンロードし、読みおえた。

 同様にして最近に読みおえた彼女の小説は、12月4日の記事で紹介した、「鶴は病みき」がある。

 この「老妓抄」は、老妓の小そのが、電気職人の青年、柚木のパトロンになって、彼の発明を応援しようとする。しかし柚木はやがて発明の夢を失い、小そのの養女、みち子にも親しくなりかけて止める。やがて彼は、小家出を繰り返すようになる。小そのは青年に、自分とは違った真摯な生き方をさせたかったのである。彼女は、青年が戻らなくなる事を怖れている、という所で話は終わる。

 老妓の気まぐれな保護も、青年の被保護生活もうまく行かないという、世間の隅にありそうな話である。

 こうして、岡本かの子の小説何編かを、無料で読める事は嬉しい。

Tablet431647_640フリー素材サイト「Pixabay」より、タブレットの1枚。

2014年12月 4日 (木)

岡本かの子「鶴は病みき」

 Google  Play ブックスより「青空文庫」発で、岡本かの子の小説「鶴は病みき」を、タブレットにダウンロードし読みおえた。

 同様な方法で読んだ本として、11月27日の記事、同じ岡本かの子の小説「花は勁し」に継ぐ。

 この小説は再読であり、高校生時代、日本文学全集の「昭和名作集」で読んだと記憶する。

 岡本かの子(1989年~1939年、享年・49)は、歌人、仏教研究家として活動したが、亡くなる3年前の1936年、この「鶴は病みき」を発表して作家デビューした。

 芥川龍之介をモデルとし、後年に回想する体裁である。夫や自分の活動があり、個人的な交際で知り得た事柄が曝されている。

 故人や周囲の人を鞭打つようで、しかもこれで作家デビューとなると、印象は好くない。

 特異な作家、未読作の多い作家として、僕は関心がある。

 なおGoogle Play ブックスには検索機能があり、作家名・作品名・等で検索して出て来た作品(有料・無料)を、ダウンロード出来る。

Dlダウンロード・フォト集より、紅葉の1枚。

 

2014年11月27日 (木)

岡本かの子「花は勁し」

 Google Play ブックスより「青空文庫」発で、岡本かの子の小説「花は勁し」をタブレットにダウンロードし、読みおえた。

 同様な方法で読んだ本として、この11月23日の記事で紹介した、「島木健作『赤蛙』」に継ぐ。

 華道の家元を継いで前衛華道家として成功してゆく桂子と、無名画家として肺結核で衰えて亡くなる小布施が中心人物である。桂子22歳、小布施20歳の時から長い交際がありながら、小布施は圭子から金銭的・生活的・援助を受ける間柄だった。

 桂子の姪、せん子が小布施の身の回りの世話をする内、小布施の子を産み、亡き人の子を守り育てようとして、自足はあるだろうが、先が思いやられて哀れである。

 桂子という一人の、生活よりも芸術を取った女性の、栄光と悲惨を描いた小説であろう。

Photo「フリー素材タウン」より、シクラメンの1枚。

 

2014年11月23日 (日)

島木健作「赤蛙」

 Google Play ブックスより青空文庫発で、島木健作の短編小説「赤蛙」をタブレットにダウンロードし、読みおえた。

 同じようにして前回に読んだ「エッセイ3編」は、11月18日の記事(その月中は、右のカレンダーの日をクリックすれば、その日付けの記事が開く)で、紹介した。

 「赤蛙」は再読である。高校文芸部員時代、同級生のM・晴美さんと「島木健作の『赤蛙』って、いいよねえ」と、1年先輩のA・洋治さんに告げると、彼は苦笑いしていた。

 「赤蛙」は、島木健作(1903・9・7~1945・8・17)らしい遺作である。

 彼は苦学して大学に入るが中退して、労農運動、検挙、転向を経て、肺結核で敗戦2日後に亡くなった。

 ともかくも生き延びて来た僕は、赤蛙が最後に力尽きて流される様子には、共感できない。

 僕には彼の長編「生活の探求」(正・続)を読みたい気持ちがある。

Photo庭の公孫樹の黄葉を撮る好ポイントは、敷地の外にあった。

2014年10月23日 (木)

「三島由紀夫全集」第1巻(2)

 新潮社・36巻本全集の第1巻より、2回めの紹介をする。

 今年5月16日の記事(←リンクしてある)で、1回めの紹介をして以来である。

 今回読んだのは、「彩絵硝子」「花ざかりの森」「荢菟と瑪耶」「みのもの月」「うたはあまねし」「玉刻春」の6短編である。

 なぜそんなに月日がかかるか。後の傑作を知る身には、少年時代の初期短編に惹かれないからである。

 文体に凝り、王朝貴族趣味に耽る作品があり、成功しているとは思えない。

 それでも僕は、読み進んで行くだろう。

Photoフリー素材サイト「足成」より、薩摩芋の1枚。

2014年10月11日 (土)

岡本かの子「夏の夜の夢」

 Google Play ブックスより青空文庫発で、岡本かの子の短編小説「夏の夜の夢」を、タブレットに無料でダウンロードし、読みおえた。

 岡本かの子(1889年~1939年、享年49.)の小説は、彼女のデビュー作、芥川龍之介をモデルとした「鶴は病みき」を、日本文学全集の昭和名作集で読んでいただけである。

 彼女にはマニアックな(?)ファンが多く、ちくま文庫版の全集が、Kindle版になって販売されている。

 この「夏の夜の夢」は、旧かな遣いでルビも多く、好感を持って読んだ。

 内容は、結婚前の娘が、婚約者ではない青年と数回の夢幻的な逢瀬をするが、何事もなく別れて婚約者の許へ戻り、婚約者も告白を受け流す、という男には気に入られそうなストーリーである。彼女の本領ではあるまい。

 機会を見つけて、彼女の本を読んで行きたい。

Photo無料素材サイト「足成」よりの、レモン(秋の季語)の写真を、トリミングした1枚。

2014年10月 3日 (金)

中島敦「山月記」

 Google Playブックスより青空文庫発で、中島敦の短編小説「山月記」を、タブレットに無料ダウンロードし読みおえた。

 「山月記」は国語の教科書によく載るらしいが、僕は教科書やそれ以外でも読んだ事がない。

 中国らしい、怪異変身譚である。翻案として良い作品である。

 ただし古拙がなく、虎と旅人の泣き別れなど、日本的なようである。

 僕は「聊斎志異」ほか、中国古話の本を持っているが読んでいず、上田秋成なども多くは読んでいない。中島敦の小説も初めてなので、評価ができない。これからも彼の作品に出会えば、読んでゆくだろう。

 中島敦(1909年~1942年)は、漢学の家の出自で、東大を出て作家となったが、33歳の若さで逝いた。

Photoフリー素材タウンのコスモスの写真を、トリミングした1枚。

 

2014年9月14日 (日)

坂口安吾「肝臓先生」

 昨日の記事、「タブレットの設定」の末尾に書いたように、タブレットへGoogle Play ブックスより、本をダウンロードし、読んでいる。

 これまでにも電子書籍を読んでいて、抵抗感はなく、紙の本よりもむしろ心地良かった。

 「青空文庫」経由の、無料文芸書を狙うのだが、作者名や題名で検索してのダウンロードは出来ないようだ。おすすめの本より、選ぶしかない。

 今回、坂口安吾「肝臓先生」を読んでみた。文庫本で同題の中くらいの厚さの本があった(今はどうなっているか、わからない)が、読んでみると、短編小説だった。

 敗戦近く、本土空爆の始まる中で、大陸より入って蔓延した流行性肝臓炎を、一人の町医者が治療しようと奔走する、非戦闘的な美談を仕立ててある。

 この初出は、「文学界」の1950年1月1日発行ぶんであるけれど、1949年にはレッドパージが始まり、1950年には公職追放解除、朝鮮戦争勃発、警察予備隊設置があり、占領政策の変化の中で、戦中懐旧も非戦的なら許される時勢だったのだろう。作家にも、何かを救抜したい思いが、あったのかも知れない。

Photoフリー素材サイト「足成」より、林檎の1枚。

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