カテゴリ「小説」の116件の記事 Feed

2014年5月16日 (金)

「三島由紀夫全集」第1巻より、初期短編(1)

 36巻本「三島由紀夫全集」第1巻より、初めの初期短編小説、5編を読みおえる。「酸模」「座禅物語」「鈴鹿抄」「暁鐘聖歌」「館」である。

 僕がこの全集を入手した時期は古いことだが、資料がある。歌誌「コスモス」2000年12月号に、僕の1首「欲りてゐし三島由紀夫の全集が相場の半値とあれば購ふ」が載っていて、同年9月頃に購入したらしい。ちょっとしたエピソードがあるのだが、別の機会に述べたい。

 この5編について、特別書き立てる事もない。「酸模(すかんぽう)」の絶対的な純粋への郷愁が心を惹く。

 いつ読みおえられるか知らないが、この全集を蝸牛の歩みで読み進めたい。

 なお1部で、三島由紀夫の神格化が進んでいるが、1読者の僕には厭な事だ。

Imgp0562キッチンの窓辺の鉢で、ミニ薔薇が6度めの花を咲かせた。

2014年4月24日 (木)

村上春樹「女のいない男たち」

Cimg7637 村上春樹の短編小説集「女のいない男たち」を読みおえる。

 2014年4月20日、文藝春秋・刊。

 本の題通りのモチーフで、6編を収める。

 帯のコピー通り、「より深く、より鋭く、予測を超える」。

 しかし、女に去られた男たちの物語であって、恋人がいない、あるいはいても結婚できない、成年男女の物語ではない。社会問題の解明を彼に大きく求めるのではないから、それはそれで良い。

 また多く、男の側から描かれており、女性心理は比喩的に描かれたりするから、女性には女性の言い分もあるだろう、と僕は思う。

 村上春樹が、海外サスペンス小説の翻訳ばかりしているように見えて(いくらファンでも翻訳サスペンスは読まない)、不満だったが、この小説集を読んで、その深化に満足した。

2014年4月18日 (金)

発売日に届く

Cimg7635 村上春樹の短篇小説集「女のいない男たち」が、発売日今日の夜に届いた。

 Amazonに予約注文してあったが、今日の内に届くとは思わなかった。

 ただし「郵便物お預かりのお知らせ」が15時20分付けで入っていて、その時刻に僕は家にいたはずなのだが。

 それを見つけたのが17時過ぎで、再配達の17時~19時までは無理で、19時~21時を指定して、依頼の電話を済ませた。

 21時近くなり、今日の配達は無理かと思っていたが、20時45分に玄関のチャイムが鳴り、本が届いた。

 郵便局員さん、ご苦労さまです。

 2014年4月20日、文芸春秋・刊。

 6編の短編小説を収める。カバーの絵が、とても日本的だ。

 内容も知らずに村上春樹の本を買うなんて(今回の連載時にも僕は読まなかった)という意見があるようだが、内容も良いが僕は彼の文体が好きなのだ。だから小説、エッセイ集などの翻訳(サスペンスものは避けるけれど)の本も、読んで楽しんでいる。

2014年4月 5日 (土)

高浜虚子「虹」連作

 「筑摩書房版 現代日本文学全集(66) 高浜虚子集」(1957年・刊)より、短篇連作集とも呼ぶべき、「虹」「愛居」「音楽は尚ほ続きをり」「小説は尚ほ続きをり」を読みおえる。

 「虹」以下の4編は、療養所で出会った森田愛子と伊藤柏翠が、愛子の三国の家で(結婚せずに)母と3人で暮らし、俳句に励むけれども、愛子は若くして亡くなってしまう物語である。虚子はその家を、何度か訪れている。

 虚子の愛子宛ての葉書に3句「浅間かけて虹の立ちたる君知るや」「虹たちて忽ち君の在る如し」「虹消えて忽ち君の無き如し」があり、愛子の句に「虹消えてすでに無けれどある如し」「虹の上に立ちて見守るてふことも」「虹の上に立てば小諸も鎌倉も」がある。

 「小説は尚ほ続きをり」では、柏翠、杞陽(虚子・門下)からの来信で埋められて、文学的富の収奪という気もする。

 1947年~1948年の発表である。エッセイとも、写生文とも、短編小説とも言える、連作である。

 坂井郡(現・坂井市)三国町は、僕の家から車で1時間ほどの所で、高校生時代から森田愛子の名前を知っていたので、親近感がある。彼女の句集は持っていないけれども。


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2013年11月24日 (日)

江國香織「がらくた」

Cimg7390 江國香織の小説、「がらくた」を読みおえる。

 新潮文庫、2010年・発行。339ページ。

 江國香織の本を読んだのは、去年6月25日の記事(←リンクしてある)で紹介した、「つめたいよるに」以来である。

 またこの本の購入は、2011年4月28日の記事(←リンクしてある)で紹介している。

 この長編小説は、何組かの男女の感情と性を描いている。周囲を含めて、描写は緻密である。

 パターンがあって、横柄な男と、従順な女ばかりである。

 これらは「がらくた」であって、現実的な将来のない関係である。

 ともかく童話から出発して、彼女がこのような描写力を得たことは、驚異である。

2013年10月17日 (木)

ムックとポール・ニザン

Cimg7291

Cimg7295  Amazonより、冊子「アマゾン&楽天 ネット通販 完全ガイド」を買った。分厚い書籍だと思っていたら、大判で薄いムック(雑誌と書籍をあわせた性格をもつ刊行物←ウィキペディアに拠る)だった。広告の写真では、サイズがわからない。

 Amazonを利用する、完全マニュアルみたいな本が欲しかったのだが、この冊子でも新しく知ったポイントはあるから、まあ良しとしなければ。

 またAmazonのマーケットプレイスの、古本屋「もったいない本舗」より、「ポール・ニザン著作集」の「1 アデン アラビア」を買ってしまった。これで「著作集」はそれに足して、「3 アントワーヌ・ブロワイエ」「9 妻への手紙」「別巻1 ポール・ニザンの生涯」の4冊(全11冊のうち)となった。

 僕はニザンを読む年齢ではない、と思う。もっともニザンやパヴェーゼを読むのは、僕らの世代だけだろう。

2013年10月 7日 (月)

プーシキン「スペードの女王 ベールキン物語」

Cimg7267 プーシキンの小説集、「スペードの女王 ベールキン物語」を読みおえる。岩波文庫、1993年32刷。

 神西清が昭和初期に翻訳したものを、新仮名、新漢字に改めた訳文は、興趣の深いものである。

 「スペードの女王」は、カード賭博を巡る怪奇物語である。筋は戒めているように見せるが、賭博の狂気をよく表わしていると、僕は思う。

 「ベールキン物語」は、5編よりなる連作短編集で、故人等の原稿に序文を付けて発表する、という体裁は古今東西を問わぬ形式である。

 旧・ロシアの階級を問わぬ人情が描かれて、僕の好みの物語である。最後の「贋百姓娘」は、「ロミオとジュリエット」のように、対立する2家の娘息子の恋物語だが、喜劇的な展開の果て、ハッピーエンドに至る、微笑ましいストーリーである。

2013年9月28日 (土)

干刈あがた「黄色い髪」

Cimg7245 久しぶりの小説という形で、干刈あがたの「黄色い髪」(朝日文庫、1989年・刊)を読みおえる。

 干刈あがた(ひかり・あがた)は、1943年・生、1992年に胃癌のため逝去、享年49.

 「樹下の家族」でデビューし、10年間ほどの作家活動で、多くの作品を遺した(ウィキペディアを参照した)。

 「黄色い髪」は、中学2年生の夏美が、苛め、登校拒否、非行(体制側の呼び方とされる)を経験する物語だ。僕は痛ましい思いで読むだけだ。

 ただしご都合主義的な点もあって、苛めっ子が自ら転校するとか、非行(?)グループに加わらず、丸刈り頭にしてもらって、登校するようになる、などの筋がある。

 彼女の小説を、もっと読みたいと思う。

2013年9月17日 (火)

歌誌と小説

Cimg7216

Cimg7218 今日の午前中に、書店「KaBoS ワッセ店」へ行き、総合歌誌「歌壇」(本阿弥書店)の10月号を買った。

 今号にはミスがあり、目次全体が9月号ぶんのページだった。部数が多いから、珍本にならないだろう。

 帰宅して昼食を摂ると、結社歌誌「コスモス」10月号が届いた。

 僕の歌は(10首出詠の内)、3首選だった(残念)。

 Amazonのマーケットプレイス「Urotauso」に注文していた、古井由吉の小説、「水」(1980年、集英社文庫)が届いた。

 文庫本棚に寄せてある、古井由吉の文庫本小説が、これで6冊になった。行方不明の文庫本がある事も、わかっている。いつに読み始めるものか。

2013年9月 3日 (火)

原田マハ「一分間だけ」

Cimg7181
 原田マハの小説、「一分間だけ」を読みおえる。

 宝島社文庫、2009年2刷。

 今年5月29日の記事(←リンクしてある)、「原田マハと囲碁年鑑」で、「囲碁年鑑2013」と彼女の「夏を喪くす」とともに、購入を紹介した本である。

 「夏を喪くす」については、辛めの感想を、今年6月3日の記事(←リンクしてある)にアップした。

 泣ける小説には要素があって、ペット・病気・死・失恋、等だそうだ。この「一分間だけ」もそれが当てはまる。

 しかし感激が薄い、というか浅い。北條民雄「いのちの初夜」までとは言わないが、もっと揺すぶられるものがほしい。

 そうでなければ、「泣ける物語」以外の路線を走ってほしい。

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