カテゴリ「歌書」の467件の記事 Feed

2014年6月26日 (木)

「歌壇」7月号

Cimg7772 総合歌誌「歌壇」(本阿弥書店)2014年7月号を読みおえる。

 散文では1部、読まなかったものもある。

 「巻頭作品二十首」4氏では、福島泰樹「光の雨 わが亡友録」に惹かれた。世代が近いせいだろうか。

 特集「大野誠夫生誕百年、没後三十年」は、執筆者が皆、誠実だった。全歌集の実費販売(作風社)の広告を、いきなり出されても(163ページ左下)、先着40冊でもあり、僕は申し込めなかった。

 特別企画「夏の風物を詠んだ歌」の、7編も爽やかな作品が多く選ばれている。

 吉川宏志「谷の花」50首では、震災・原発事故、戦争への危惧なども詠まれて、社会と対峙している。

2014年6月25日 (水)

浅野美紀「木犀の道」

Cimg7769 浅野美紀さんの第2歌集、「木犀の道」を読みおえる。

 2011年9月、砂子屋書房・刊。

 管理画面で記事検索した所、彼女の第1歌集「嫩葉」を読んでいた。2013年4月10日の記事(←リンクしてある)にアップしてある。

 彼女は、「未来」会員、ただしこの歌集の短歌は、無選で掲載されたもの。

 想像の(と推測される)恋歌や、レトリックの勝った歌もある。

 子供さん(一人息子?)が、社会人として巣立ったことは喜ばしい。

 以下に6首を引く。

まどろめば窓辺はいつか夕映えて青林檎ひとつ照らされている

新涼の雲の動きを映しつつカップの紅茶冷めてゆくとき

夫と子にバレンタインのケーキ焼くキッチンの窓粉雪舞う日に

若葉揺れる五月を歩む君を待つ光と影のいくつの扉

明けがたの激しい雨に目を覚ます水底に潜む魚の気分で

気象台の標準木のかえでの葉色付かぬまま立冬となる

2014年6月23日 (月)

歌誌「コスモス」7月号

 結社歌誌「コスモス」2014年7月号の、いつもの所を読みおえる。

 初めより「その一集」特選欄までと、「COSMOS集」、「新・扇状地」、他。

 巻末に近い「選者小言」(「せんじゃ・しょうげん」と読む)を素直に読めた。

 僕が付箋を貼ったのは、「その一集」特選欄の三重県、T・寿真子さんの次の1首(33ページ下段)。

十一の兄の怒りのツボに触る九歳の妹の「上から目線」

 そう、男の心の広野には若干個数の地雷が埋まっていて、それに触れると大変な事になる。

Photoフリー素材サイト「足成」より、サクランボの1枚。

 

 

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2014年6月17日 (火)

6月号「その一集」末まで

 先日、結社歌誌「コスモス」2014年6月号の、「その一集」通常欄を、外国より北海道に入り南下して、末まで読みおえた。

 その前すでに、初めより「その一集」特選欄までと、「COSMOS集」、「新・扇状地」などは読みおえていた。

 このところ、「コスモス」をしまいまで読みおえていたが、7月号がすでに届いているので、6月号を読むのは、これまでとなる。

 僕が付箋を貼ったのは、静岡県、K・常代さんの次の1首(75ページ上段)。

「男前」と自らを言ふ女の孫は草食系の男子を従ふ

 こういう関係が現実にあるのだ。なお「女」は「め」と読み、「従ふ」は「従える」の古典文法、旧かなの表記。

Photoフリー素材サイト「足成」より、百合の1枚。

2014年6月10日 (火)

水上比呂美「潤み朱」

Cimg7738 東京都にお住まいで、「コスモス」会員・「棧橋」同人の、水上比呂美さんの第2歌集「潤み朱」を、取寄せて読みおえた。

 2014年3月、柊書房・刊。

 高野公彦・選、502首。

 第1歌集「ざくろの水脈」は、2009年9月26日の記事(←リンクしてある)で紹介している。

 豊かな心が、豊かな発想の短歌を創らせる。

 連作「八雲立つ」の大作96首に苦吟したようだが、あとがきに「その苦労は大きな財産になるとてもよい経験でした。」とある。

 以下に7首を引く。

ポケットが七つ付きたるズボン穿き戸隠森林公園あるく

日曜の市庁広場に古(ふる)のつく本、服、箪笥ひろげられをり

一斉に銀色の蝶飛びたてり十のハンドベル打ち鳴らすとき

西調布駅工事中ホームより栄螺のなかをくぐるごと出づ

犀川はをとこ川とふ浅野川はをんな川とふ日本海で逢ふ

武蔵より肥後の空まで飛ぶ鳩よ八十円の切手になりて

肩幅の座席にすわり膝幅のカバンを持ちて渋谷に向かふ

 

2014年6月 1日 (日)

同人歌誌「棧橋」合本

Cimg7716

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 5月30日の同人詩誌「群青」第30号の編集会議(5月31日付け記事あり)のあと、帰宅して「宮本印刷」へ電話すると、5月31日(昨日、第5土曜日)も営業しているとの事だった。

 それで昨日、プリントし直した誌面稿と割り付けサンプルを持って「宮本印刷」へ行き、100部の作成をお願いした。

 その時に、以前より依頼してあった、季刊同人歌誌「棧橋」の合本6巻を受け取った。

 No.67より(2001年7月・刊。僕の発表はNo.69より)、No.108(2011年10月・刊)に至る(うち1冊・欠)の41冊を、1巻ほぼ7冊で、6巻に仕上げてもらった。

 「棧橋」(A5判)は分厚いので、例えば6巻めは、厚さ4、8センチもある。

 有料だが(詩誌「群青」の合本製本だと、無料でしてくれた例がある)、サービス価格で、実費もないだろう。「宮本印刷」の主は、地元文学の興隆に志のある方で、このような依頼も廉価で引き受けてくださる。

 題の印刷はしてもらえないので、今年4月21日の記事で購入を報せたテーププリンターで打って、貼りつけ、短時間で仕上がった。

 写真は全部をアップしても仕方がないので、初めの1巻としまいの6巻をアップした。

 僕は「棧橋」をNo.108で退会してしまったけれど、これで貴重な資料を、散逸の恐れなく、便利に閲覧できる。

 

 

2014年5月28日 (水)

鈴木千登世「向きあふ椅子」

Cimg7714 山口県にお住まいで、「コスモス」会員、「棧橋」同人の鈴木千登世さんが、第1歌集「向きあふ椅子」を送ってくださった。

 僕が1時期、「棧橋」同人だったご縁で、贈ってくださったのだろう。

 2014年5月、柊書房・刊。

 小島ゆかり・選・帯文、394首。

 家庭や仕事(教職)を、短歌と共に堅実に歩み続けて、その足跡が1冊の歌集となった。娘さんが生まれた事をきっかけに始めた短歌が、「コスモス」で20年となり、子供たちも社会人・学生となり、家を出て自立を始めた。
 以下に6首を引く。
 これら以外にも、反抗期の息子さん、震災・原発事故を詠んだ、気になる歌があるのだけれど、ここでは引かない。
メメント・モリ 生れ出でし子は終(つひ)の日の老いし顔もてわれに対へり
火遊びをして待ちをりし二人の子日暮れそんなにこはいかこはいか
歌を詠むわれのほとりにちんまりと正座して子が「ごんぎつね」読む
通夜といふ終(つひ)のだんらん父の辺に母とわたしと妹とをり
捨てられぬもろもろ抱へ老い母はほうと息吐きやはらかく笑む
胸びれをそよがすやうに手を振りて娘は雨の校舎に消えぬ

2014年5月27日 (火)

「歌壇」6月号

Cimg7711 今月19日の記事で、Amazonより届いた事を報せた歌誌、「歌壇」(本阿弥書店)2014年6月号を読みおえる。

 短歌作品はすべて読んだけれども、散文では1部、読まなかった編もある。

 特集「短歌の主題をどう歌うか」では考えさせられるし、特別企画「競詠 学生短歌会の歌人たち」では、数は少ないけれども、学生短歌の今を知る事ができる。

 小島ゆかり「遠きひとり」50首では、父親を亡くしたあとの心境を示している。

 短歌作品では、お年を召した方の作品につい惹かれる。僕も43歳で「コスモス」に入会して20年を経ており、ベテランとは言えないが古株となったのか、年齢を重ねたのだな、と感慨が湧くのである。

 他の作品も含めて今号は、充実した1冊だった。

2014年5月26日 (月)

北川浩久「オドロキ」

Cimg7708 北川浩久さんの第3歌集、「オドロキ」を読みおえる。

 2011年4月、短歌研究社・刊。

 北川浩久(きたがわ・ひろひさ)さんは、1984年・生、「塔」所属。

 毎日5首を創り、三年間続けて、5000首より「驚き」のテーマで200首をまとめたと、後記にある。

 これまでの歌集を含め彼の活動を知らない。しかしこの創作法は無理があるようで、破調に近い作品も混じる。

 生活の折りおりを詠み溜めてゆけばよい、とは思わないけれども。

 若者の力業(ちからわざ)である。

 以下に6首を引く。

てのひらに乗せたる水の逃げてゆかざりし分にて顔を洗いぬ

怒らないことを学んで僕たちは水のこころに近づいてゆく

太陽はたった一つさ大切なものはたくさんいらないのです

生きて行く上で必要な塩の壜を固まらぬように逆さに置きぬ

ポットに水を注ぎ入れつつ気付きたりポットにもあるココマデ・ライン

幸せの極の極とはこのことかオムレツの黄色ケチャップの赤色

2014年5月25日 (日)

「コスモス」6月号

 今月17日に届いた結社誌、「コスモス」2014年6月号の、いつもの所を読みおえる。

 初めより「その一集」特選欄までと、「COSMOS集」、「新・扇状地」など。

 日常生活を詠うだけでなく、社会問題も詠い続けられて、立派な事だと思う。

 僕が付箋を貼ったのは、「COSMOS集」より「あすなろ集」特選、静岡県のI・とくよさんの1首(134ページ下段)である。

どの家も花を咲かせて豊かなり越し来て夫と廻る町内

 豊かさを財や地位に見るのではなく、庭などに咲かせる花に見る所は、意外と新しいのではないか。

 同誌を、この後も読み続ける予定である。

Photo「フリー素材タウン」より、清流の1枚。

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