2011年9月、砂子屋書房・刊。
管理画面で記事検索した所、彼女の第1歌集「嫩葉」を読んでいた。2013年4月10日の記事(←リンクしてある)にアップしてある。
彼女は、「未来」会員、ただしこの歌集の短歌は、無選で掲載されたもの。
想像の(と推測される)恋歌や、レトリックの勝った歌もある。
子供さん(一人息子?)が、社会人として巣立ったことは喜ばしい。
以下に6首を引く。
まどろめば窓辺はいつか夕映えて青林檎ひとつ照らされている
新涼の雲の動きを映しつつカップの紅茶冷めてゆくとき
夫と子にバレンタインのケーキ焼くキッチンの窓粉雪舞う日に
若葉揺れる五月を歩む君を待つ光と影のいくつの扉
明けがたの激しい雨に目を覚ます水底に潜む魚の気分で
気象台の標準木のかえでの葉色付かぬまま立冬となる
結社歌誌「コスモス」2014年7月号の、いつもの所を読みおえる。
初めより「その一集」特選欄までと、「COSMOS集」、「新・扇状地」、他。
巻末に近い「選者小言」(「せんじゃ・しょうげん」と読む)を素直に読めた。
僕が付箋を貼ったのは、「その一集」特選欄の三重県、T・寿真子さんの次の1首(33ページ下段)。
十一の兄の怒りのツボに触る九歳の妹の「上から目線」
そう、男の心の広野には若干個数の地雷が埋まっていて、それに触れると大変な事になる。
先日、結社歌誌「コスモス」2014年6月号の、「その一集」通常欄を、外国より北海道に入り南下して、末まで読みおえた。
その前すでに、初めより「その一集」特選欄までと、「COSMOS集」、「新・扇状地」などは読みおえていた。
このところ、「コスモス」をしまいまで読みおえていたが、7月号がすでに届いているので、6月号を読むのは、これまでとなる。
僕が付箋を貼ったのは、静岡県、K・常代さんの次の1首(75ページ上段)。
「男前」と自らを言ふ女の孫は草食系の男子を従ふ
こういう関係が現実にあるのだ。なお「女」は「め」と読み、「従ふ」は「従える」の古典文法、旧かなの表記。
東京都にお住まいで、「コスモス」会員・「棧橋」同人の、水上比呂美さんの第2歌集「潤み朱」を、取寄せて読みおえた。
2014年3月、柊書房・刊。
高野公彦・選、502首。
第1歌集「ざくろの水脈」は、2009年9月26日の記事(←リンクしてある)で紹介している。
豊かな心が、豊かな発想の短歌を創らせる。
連作「八雲立つ」の大作96首に苦吟したようだが、あとがきに「その苦労は大きな財産になるとてもよい経験でした。」とある。
以下に7首を引く。
ポケットが七つ付きたるズボン穿き戸隠森林公園あるく
日曜の市庁広場に古(ふる)のつく本、服、箪笥ひろげられをり
一斉に銀色の蝶飛びたてり十のハンドベル打ち鳴らすとき
西調布駅工事中ホームより栄螺のなかをくぐるごと出づ
犀川はをとこ川とふ浅野川はをんな川とふ日本海で逢ふ
武蔵より肥後の空まで飛ぶ鳩よ八十円の切手になりて
肩幅の座席にすわり膝幅のカバンを持ちて渋谷に向かふ
5月30日の同人詩誌「群青」第30号の編集会議(5月31日付け記事あり)のあと、帰宅して「宮本印刷」へ電話すると、5月31日(昨日、第5土曜日)も営業しているとの事だった。
それで昨日、プリントし直した誌面稿と割り付けサンプルを持って「宮本印刷」へ行き、100部の作成をお願いした。
その時に、以前より依頼してあった、季刊同人歌誌「棧橋」の合本6巻を受け取った。
No.67より(2001年7月・刊。僕の発表はNo.69より)、No.108(2011年10月・刊)に至る(うち1冊・欠)の41冊を、1巻ほぼ7冊で、6巻に仕上げてもらった。
「棧橋」(A5判)は分厚いので、例えば6巻めは、厚さ4、8センチもある。
有料だが(詩誌「群青」の合本製本だと、無料でしてくれた例がある)、サービス価格で、実費もないだろう。「宮本印刷」の主は、地元文学の興隆に志のある方で、このような依頼も廉価で引き受けてくださる。
題の印刷はしてもらえないので、今年4月21日の記事で購入を報せたテーププリンターで打って、貼りつけ、短時間で仕上がった。
写真は全部をアップしても仕方がないので、初めの1巻としまいの6巻をアップした。
僕は「棧橋」をNo.108で退会してしまったけれど、これで貴重な資料を、散逸の恐れなく、便利に閲覧できる。
山口県にお住まいで、「コスモス」会員、「棧橋」同人の鈴木千登世さんが、第1歌集「向きあふ椅子」を送ってくださった。
僕が1時期、「棧橋」同人だったご縁で、贈ってくださったのだろう。
2014年5月、柊書房・刊。
小島ゆかり・選・帯文、394首。
今月19日の記事で、Amazonより届いた事を報せた歌誌、「歌壇」(本阿弥書店)2014年6月号を読みおえる。
短歌作品はすべて読んだけれども、散文では1部、読まなかった編もある。
特集「短歌の主題をどう歌うか」では考えさせられるし、特別企画「競詠 学生短歌会の歌人たち」では、数は少ないけれども、学生短歌の今を知る事ができる。
小島ゆかり「遠きひとり」50首では、父親を亡くしたあとの心境を示している。
短歌作品では、お年を召した方の作品につい惹かれる。僕も43歳で「コスモス」に入会して20年を経ており、ベテランとは言えないが古株となったのか、年齢を重ねたのだな、と感慨が湧くのである。
他の作品も含めて今号は、充実した1冊だった。
2011年4月、短歌研究社・刊。
北川浩久(きたがわ・ひろひさ)さんは、1984年・生、「塔」所属。
毎日5首を創り、三年間続けて、5000首より「驚き」のテーマで200首をまとめたと、後記にある。
これまでの歌集を含め彼の活動を知らない。しかしこの創作法は無理があるようで、破調に近い作品も混じる。
生活の折りおりを詠み溜めてゆけばよい、とは思わないけれども。
若者の力業(ちからわざ)である。
以下に6首を引く。
てのひらに乗せたる水の逃げてゆかざりし分にて顔を洗いぬ
怒らないことを学んで僕たちは水のこころに近づいてゆく
太陽はたった一つさ大切なものはたくさんいらないのです
生きて行く上で必要な塩の壜を固まらぬように逆さに置きぬ
ポットに水を注ぎ入れつつ気付きたりポットにもあるココマデ・ライン
幸せの極の極とはこのことかオムレツの黄色ケチャップの赤色
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